これは公開校正ではありません。
68頁に、ホンダの宮腰氏によるRC165のコンロッド長の設定について
「1955年にF-1で活躍したメルセデスベンツW196Sのコンロッドレシオ3.8を参考にし~」
とあります。
ところが「勝利のエンジン50選」(カール・ルドヴィクセン、二玄社2004)では、1955年のメルセデス・ベンツF-1エンジンのコンロッドレシオを4.0としています。
また、F-1カーはW196R(エンジンはM196R)で、W196S(エンジンM196S)は3リッタースポーツカー(ルマン24時間レース等を走る)ですので、宮腰氏の言う「W196S」はF-1ではなくスポーツカーのはずです。
各エンジンのボア×ストロークは
M196R 76×68.8 mm
M196S 78×78 mm
69頁右上の図の説明に「~M196のエンジンは~2496㏄~先進的エンジンだった」とありますから、この図はM196Rということになります。
しかし、図を拡大してみると
ボア(黄線)とストローク(赤線✖2)が同じに見えますので、本図のエンジンはM196Sのものと思われますし、同様に図ではコンロッドレシオ(白線/赤線)=3.8あたりに見えます。
このようなことから、宮腰氏がF-1エンジンと思っていたコンロッドレシオはスポーツカーエンジンのものの可能性が高いと思われます。
ところで、「先進的エンジン」とは他者の先駆けになるエンジンだと思いますが、他社が採用しないようなメカニズムのエンジンが先進的なエンジンなのでしょうか?