黒数字 直線長(m) 推定
青数字 コーナー半径(m) R 公式
です。コース中央下のコーナー(デグナーカーブ)は1987年シーズン中に2つのコーナーになりましたが、1986年時点では80Rの単一コーナーでした。
直線手前にある高速コーナーは、最終コーナー(250R)、100・180R複合コーナー(ダンロップコーナー)、130Rですが、コーナーに続く直線が長いのはホームストレート(800m)で、他の2つに続く直線は200m程度です。
ただし、250Rは手前にシケインがあるため、250Rへの進入はシルバーストーンの最終コーナー(240R、Woodcote)より容易です。
そして、西ストレートは長いのですが、その前のスプーンカーブ (60R)は高速コーナーとはいえないでしょう。
鈴鹿はシルバーストーンよりコーナー脱出速度が直線タイムに与える影響が少ないのです。
JFRMCブログ テクニカルコース(2)で書いたように、スロットル全開時間、全開率(スロットル全開時間/ラップタイム)は
1983年シルバーストーン(ケニー・ロバーツ) 25秒 27~28%(その他:72~73%)
1986年鈴鹿(平忠彦) 25秒 18~19%(その他:81~82%)
程度です。これだけ見ると、その他(ブレーキング+コーナーリング)の割合が大きい鈴鹿の方がライダーのテクニックの差がラップタイムに表れやすいように感じられるかもしれませんが、この数値だけでは何も分らないのです。
そして、高速コーナーでは速度が高いため、ライダーがマシンの挙動からミスに気が付いて修正を開始するまでの許容時間(修正が間に合う時間)が短くなります。240Rでは60Rでの反応時間の1/2でライダーが対処する必要があります。高速コーナーでは低速コーナーより正確なマシンコントロールが要求されるのです。そして、ライダーのミスにより転倒した場合のリスクも低速コーナーより大きいでしょう。
「シルバーストーンはライダーにcourage and Skillを要求するサーキット」なのです。
付け加えるなら、シルバーストーンでは直線に入った時の速度が高いため、スリップストリームを使いやすく、出力の低いマシンであっても接戦に持ち込めば十分勝機があります。
私は、シルバーストーンは、コーナーの多い「テクニカルコース」とは別の意味での「テクニカルコース」だと考えています。
※ロバーツは最終コーナー(Woodcote)を4速で走るとしている。他の地点は推定。
・Techniques of Motor Cycle Road Racing by Kenny Roberts, Hazleton 1988
・Kenny Roberts by Barry Coleman, Arthur Barker 1982
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