レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。
1960年代のスズキ50㏄GPレーサーの出力、最高速の数値はこちらにあります。
スズキ・ホンダ・ヤマハ・他のマシン諸元と性能 (iom1960.com)
記事をまとめられた中野氏によると「出力は後車軸相当」です。つまり変速機出力軸と動力計をチェーンで結んで測定したものです。変速機+チェーンの伝達効率を0.87とすると、クランク軸換算出力はこれの1.15倍になります。
また、最高速はスズキテストコースでの測定ですので、1964年までは米津浜、1965年以降は竜洋での測定です。当然、直線がさらに長ければ、もう少し最高速が伸びるでしょう。
最高速は出力の1/3乗に略比例しますので、1962年型スズキRM62の最高速を117km/hに落とすためにはクランク軸出力を6.0PSに落とせばよいことになります。ただし、速度が低くなるほど転がり抵抗の影響を無視できなくなりますので、実際にはもう少し出力が必要です。
さて、近兼氏のマシンは「スクータークラス」だそうですので、と125㏄アンダーボーンのスーパーカブC125の富士スピードウェイでの最高速と比較してみます。富士のホームストレートは昔は若干下り坂だった記憶ですが、ゼロヨンはともかく最高速にはあまり影響しないとします。
また、最高速度記録時と現在のマシンの出力等が同じかどうかわかりませんが、現モデルの出力も記載しました。
ホンダ スーパーカブC125 9.8PS/7500rpm 107.4km/h
参考
ホンダ モンキー125 9.4PS/6750rpm 113.8km/h
出典
計算上、この最高速記録時にエンジン回転数は現モデルで
カブC125 7850rpm(最高出力回転数の1.05倍)
モンキー125 8000rpm(最高出力回転数の1.19倍)
程度です。
カブの回転数はほぼ適切ですが、バックミラー、方向指示器、レッグシールド、後フェェンダー等を取り外し、最終減速比を見直し、後席に座り座面を低くし前傾姿勢を強くすれば、117km/h程度は楽に出そうに思います。
モンキーは現状でも回転数が上がりすぎですので、最終減速比を変更し、バックミラー、方向指示器、後フェンダーを外せば120km/hは確実に超えるでしょう。
要するに近兼氏の「スーパーチャージャー付50㏄エンジンのマシンで117km/h」の価値はこの程度だということです。
それにしても、このマシン
時価総額3000万円、125ccで時速200km!? 「世界最速の原付バイク」が秋田サーキットで走行テストを公開 | バイクのニュース (bike-news.jp)
ライダーが伏せれば伏せる程、ライダーの後ろにある「ドラッグシュート」の性能が向上するように見えます。
なお、「時価総額3000万円」とありますが、「時価」は市場価格とほぼ同義だと思います。低レベルのマシンに注ぎ込んだ金額は「時価」ではありません。
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