レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。
朝日新聞に航研機についての次のような記述があります。
「試作エンジンで実験していた空気に対する燃料の比率を薄くして燃費を上げる方式は当時の常識に反し、「爆発するのでは」と疑われたという。90年代に乗用車で盛んになった「リーンバーンエンジン」を半世紀も先取りしていた。完全引き込み式の車輪は世界初だ。
航研機のデザインの工夫や軽量化のための徹底した管理は、太平洋戦争初期に性能を誇った零戦や戦後の国産旅客機YS11などにも受け継がれている。後継者たちはほかの産業にも進出し、新幹線や自動車の開発など戦後の復興に貢献した。」(https://aspara.asahi.com/blog/science/date/20101214 から引用)
航研機の空気過剰率がそれほどでもなく、1.2~1.3程度だったという記憶です。燃費を考えるなら希薄領域で運転するのは当然(比熱比↑)で、失火(ミスファイア)寸前の空燃比で運転したのでしょう。燃費優先なら「常識に反し」はおかしな記述です。「常識に反し」というのは、「日本での常識に反し」かもしれませんが。
また、「完全引き込み式の車輪は世界初だ」とありますが、航研機初飛行の1937年5月当時、
http://ja.wikipedia.org/wiki/Me109
のようにな完全引き込み脚の軍用機が「実用化」(試作ではなく)されていました。
また、航研機の技術がその後の国産機にどれだけ活かされたかについては、私は否定的です。
どちらにしてもこの記事を書かれた鍛冶記者は航空機の歴史や技術についての素養に欠けていることは否めず、「中学生の夏休みの宿題」レベルに留まっています。このあたりが新聞の限界で、ネット上ではこれより素晴らしい記事がいくらでも読むことが出来ます。こういう新聞記事を読むと、新聞の価値はすでに終わっており、残っているのはタイアップ記事の「三百代言」の役割だけだと思います。