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レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。

タンデム2気筒

 前回(リンク)カワサキKR250/350の前にMZが125㏄クラスでクランク横置タンデム2気筒を走らせていたことを紹介しましたが、別にカワサキのタンデム2気筒が「世界初ではない」からどうだと言う意図はありません。

 1963-65年にスズキは250㏄クラスでスクエア4気筒を走らせていましたが、これを縦に半分にすればタンデム2気筒になります。
 そもそも、ロータリーディスクバルブ2気筒でエンジン幅を極小にしようとすれば、必然的にタンデム2気筒かクランク2軸V型2気筒になってしまうのです。

 タンデム2気筒というレイアウト自体、誰でも思いつきそうなものです。しかし、レーシングマシンは形だけの品評会に出展するためのものではありません。大事なの
は、タンデム2気筒エンジンの振動を抑え、長いエンジン長のために車体の軸距が長くなりがちなマシンをレーシングマシンとして成功させることなのです。
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MZの125㏄タンデム2気筒

こちら(リンク)でベロセットのクランク縦置きのタンデム2気筒を紹介しましたが、カワサキKR250/350の前にクランク横置タンデム2気筒が存在します。

 1970年のGPを走ったMZ(東ドイツ)の125㏄2気筒です。
https://motorostalgie.de/hersteller/mz/mz-rennsporterfolge/2017_e_8882_kopie_kl_b-2

 この写真は近年、レストアされた状態のようです。
 前クランクシャフト中心がクラッチ外周部に近接し、後クランクシャフト中心がクラッチ外周部から離れているので、クランクシャフト左側で両クランクがギアで連結し、前クランクがクラッチギアを駆動しているようです。

 後クランクにパルサーらしいものが180度間隔で配置されていますが、これだけでは180度間隔点火なのか同時点火なのかはわかりません。2ストロークエンジンでは1回転で2回、上死点前と下死点前でプラグが発火する例があるからです。ヤマハRZ250/350がその例です。
  
 1970年当時の写真はこちら。

 エンジン左側にマグネトが2基装着されています。
 また、クラッチ、前チェーンスプロケット、シフトシャフトの位置関係からすると、動力伝達経路は

 後クランク→前クランク→クラッチ・動力伝達軸→変速機入力軸→変速機出力軸・前スプロケットのようです。したがって、クランク回転方向は

後クランク:前方、前クランク:後方

と思われます。わざわざ動力伝達軸を加えているのは、高温になる変速機をクランク室から離したかったからでしょうか。

IOM TT Paddock Scenes 1960

https://www.youtube.com/watch?v=qmRVzl1oaSA

 コメント欄にあるように、1960年ではなく1966年のマン島TTで、レース中の映像もあります。

 撮影したFreddie Hawken は元TTライダーということですが、その成績は次のとおりです。

https://www.imuseum.im/search/collections/people/mnh-agent-1276479.html
 個人が撮影したフィルムがこういう形で公になる時代の幸せを感じる映像です。

9月13日

は私にとって思い出深い1980年日本GP予選(土曜日)の日です。

 その数日前、ヤマハの金谷秀夫さんが書かれたこの本(リンク)を購入し、土曜日の車両検査の時に金谷さんにこの本にサインを頂きました。日付もちゃんと入れていただいて。金谷さんが「もう買ってくれたんや~」、「本の中で「パーシャル」と言ってるけど分った? スロットルを1/5ぐらい(だったかな?忘れた)開けた状態なんやけど」と話されたのをよく覚えています。

 予選で金谷さんはポールタイムを出しながら転倒して心配しましたが、パドックを覗くと金谷さん、高井幾次郎さんらが談笑しており、ケガは大したことはなかったようです。ただ、翌日のレースは欠場、そして高井さんが優勝したのです。

 この日本GP、私にとって他にも意味があり、そんなわけで9月13日という日付はずっと記憶にあります。

 私が金谷さん、高井さんの走る姿を見るのはこの日本GPが最後になりました。そして高井さんはその1年半後、金谷さんは33年後に亡くなられました。

タンデム2気筒の慣性力の釣り合い

 1975年に登場したカワサキKR250(T601)はタンデム2気筒でした。簡単に言えば、単気筒を前後に繋げたエンジンですが、ここでは2気筒の各クランクシャウトが平行に位置するように連結したものをタンデム2気筒エンジンとします。

 このKR250、当初は180度等間隔点火でしたが、振動に悩まされ、1976年10月の日本GPに登場した新型で2気筒同人点火になり、振動問題が解決されました。

 世界で初めてのタンデム2気筒がどんなものが知りませんが、私が着目しているのは第二次世界大戦前に製作されたベロセット・Roarer(500㏄スーパーチャージャー)です。
http://velobanjogent.blogspot.com/2014/06/the-roarer-re-createddan-smith-in.html
 一見、並列2気筒に見えますが、タンデム2気筒です。
https://www.flickr.com/photos/velton/4640552918

 なぜ、このようなエンジンレイアウトにしたかというと、

1 当時はチェーンドライブの信頼性が低かったので、シャフトドライブにしたかった。
2 シャフトドライブにするためには、クランクシャフト縦置きの方がよい。
3 クランクシャフトを縦濃きすると、トルクモーメントがハンドリングに大きく影響する→クランクシャフトを2本にして、相互逆回転にすればトルクモーメントは相殺される。

です。

 この1次慣性力を釣り合わせるために、クランクシャフトのバランスウエイトを1次慣性力相当分にし、ピストンの動きを2気筒同じにすれば1次慣性力を打ち合わせることができます。

 ピストンが上死点にあるときはバランスウエイトが1次慣性力を打ち消してくれます。赤矢印が1次慣性力、青矢印バランスウエイトの遠心力です。


 そこから90度回転すると1次慣性力はゼロになり、横方向のバランスウエイト遠心力は互いに逆方向なので打ち消されます。


 2ストロークであれば必然的に同時点火になりますが、Roarerは4ストロークですので、360度等間隔点火だったと思います。ただ、その場合、2気筒を連結するギアの耐久性が心配です。
http://jfrmc.ganriki.net/zatu/2crank/2crank.htm

 もう一つ心配なのは、クランクベアリングの荷重です。バランスウエイトを1次慣性力相当分にしますと、横方向に1次慣性力相当分の遠心力が働くからです。

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