http://jfrmc.tou3.com/%EF%BD%8A%EF%BD%86%EF%BD%92%EF%BD%8D%EF%BD%83%E5%86%85%E3%81%AE%E8%A8%98%E4%BA%8B/nr500%E3%81%AE%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%96%E6%8C%9F%E8%A7%92
で、RACERS Volume 54と、「ホンダNRストーリー」(1992年山海堂)の食い違いについて書きました。Volume54と55に掲載されたバルブ挟角55度ヘッドの写真等からすると、NR500のバルブ挟角に関するRACERSの記述に誤りはないという結論になりました。
一方、ホンダNRストーリーの記述も誤りというわけではなく、15頁と54・55頁の記述に時期が書いていないために、私が誤解したという結論です。
「K0→初期0Xの段階では、吸排気バルブの挟角は65°に設定されていた~後に55°ヘッドが製作されることになる」(15頁)。
「デビュー戦イギリスGPとフランスGPの2戦を終えたNRメンバーは、早速NR500に生じた問題点の対策を開始した」
「シリンダーヘッドに関しては~バルブ挟角が55°から~40°に変更され、65°のときには110PSであった出力が55°のときには113PSに上がり、40°ではさらにどんどん向上していったのである」
「'79年末の時点では、エンジン出力もコンスタントに115PSを上回るようになったのである」(以上、54~55頁)
これらの記述からすると「65度ヘッドのマシンがイギリス・フランスに送られる一方、日本では55度ヘッドの製作が進行しており、帰国後に55度ヘッドのマシンがテストされ、その前後に40度ヘッドのエンジンの設計開始し、1979年末には40度ヘッドエンジンがテストされた。」ように思えます。
ホンダRC115-RC116その1
http://jfrmc.ganriki.net/rc50/rc115/RC115-1.htm
の1965年第2戦ドイツGPについて、ブライアンズ、タベリのマシンがRC115ではなく2RC114E搭載車としていましたが、少なくともタベリのマシンはRC115の可能性が高いことが判明しましたので修正しました。申し訳ありません。
RACERS Volume 54 の40頁に、1979年イギリスGP出場仕様として、バルブアングル65°とあります。
NR500を実質500㏄V型8気筒と見なすなら、ストローク36mmなので、ストローク/ボア=36/47=0.766になります。
一方、当時の4輪用4ストロークレーシンンエンジンのバルブ挟角はストローク/ボア比との兼ね合いで40度から20度の範囲にあります。ストローク/ボア比が大きいほどバルブ挟角が大きくなる傾向でした。
フォード・コスワースDFVはストローク/ボア比0.756・バルブ挟角32度で、当時の標準的な値です。このエンジンが1967年に登場しレースでも実績を上げたのですから、その先進性は高く評価されるべきです。
これと比べると1979年に登場したNRの65度は非常に大きな値で、前世期の遺物のようです。もちろん、真円ピストンと長円ピストンの違い、気筒当たり排気量の違いがあり、これらがどう影響するかはわかりませんが、65度と32度ではあまりにも違いが大きすぎます。
さて、「ホンダNRストーリー」(1992年山海堂)には次の記述があります。
「K0→初期0Xの段階では、吸排気バルブの挟角は65°に設定されていた~後に55°ヘッドが製作されることになる」(15頁)。
「デビュー戦イギリスGPとフランスGPの2戦を終えたNRメンバーは、早速NR500に生じた問題点の対策を開始した」
「シリンダーヘッドに関しては~バルブ挟角が55°から~40°に変更され、65°のときには110PSであった出力が55°のときには113PSに上がり、40°ではさらにどんどん向上していったのである」
「'79年末の時点では、エンジン出力もコンスタントに115PSを上回るようになったのである」(以上、54~55頁)
これらの記述からすると、1979年イギリスGP出場車のバルブ挟角は55度のように思えます。これでも当時としては異常に大きな値には違いありませんが。