RS750D等、ホンダのダートトラックマシンが取り上げられています。
あまり詳しくないので、読み物として興味深く読ませていただきました。
54~55頁に、フォード・コスワースFUA F2エンジンのことが書かれていますが、F
UAではなくFVAだと思います。2箇所でFUAになっていますが、元資料の紙記事を電子化する際のソフトの問題でしょうか?
FVAについてはこちら。
http://www.grandprixengines.co.uk/cosworthstory.pdf
疑問なのは、なぜこんな古いエンジンのデータを参考にしたのか、ということです。考えられることとして
○ホンダのF2エンジン(2リッター6気筒)はS/B比が大きく異なり参考にならなかった。
○ホンダF2エンジンのライバルだったBMW M12/6 2リッター4気筒(89×80)のデータはなかった。
○BMWのデータがあったとしても
・ホンダの4輪部隊の手元にあり、2輪部隊から問い合わせし難い雰囲気だった。
・FVAの方が気筒あたり排気量が400とRS750に近く、より参考になった。
ということを想像しました。少なくともFVAのデータがホンダの手元にあったことは事実のようです。とすると、1976年のホンダRCBの燃焼室設計の参考になったのかもしれません。
「Collection Hallでは、歴代の製品やレーシングマシンを走行可能な状態に保つ「動態保存」を行っています。」(
http://www.honda.co.jp/Racing/spcontents2014/collectionhall/)
徳島県にある大塚美術館に展示されているのは「複写物」です。でも、それを承知の上で見学しています。しかし、航空機でも車でもバイクでも、絵画とは異なり「動いてナンボ」だったものです。ですから歴史的なものを保存する場合、
○そのままの姿で保存
○稼働可能ではないが、一部部品を新造して保存
○稼働可能状態で保存(一部部品を新造)
★そのままの姿の展示の例 紫電改
に分けられます。「動いてナンボ」だったものですから、稼働状態を維持することにも大きな意味があります。しかし、機械はいつかは朽ち果てていくもの、動態を維持することはできません。動態を維持しようと思えば、かなりの部品を新造する必要があります。時にはエンジンのシリンダーブロック、シリンダーヘッドも、機体、フレームも新造する必要があります。
しかし、当時と異なる材質、製法で製作したエンジン、フレームのマシンを単なる展示物として見た場合、大塚美術館の展示物と同等でしかありません。意味があるのは「動態」であることで、飛行・走行するマシンを見て、当時のシーンを目に浮かべることができることにも多いに意味があります。
出来得れば、「動態保存」のマシンのどこをどう新造したのかを示していただけないかと思います。「これは当時のマシンそのものではないが、当時の動態に近い姿を維持している」ことは「当時のマシンをそのまま維持していると誤解させる」より素晴らしいことだと思います。