レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。
標題の雑誌を購入しました。
いつもながら発売を楽しみにしており、今回も発売当日に購入しました。今回も、vol03同様、スズキが保存しているマシンの撮影ができなかったため、というかそのおかげというべきか、SERT(フランス)に保存されているマシンの写真が掲載されています。スズキが保存しているマシンは見たことがありますので、うれしい誤算となりました。
また、vol03と異なり、GSX-R全体の変遷が分りにくいのが難点かもしれませんが、当時の動きを知っている人にとってはあまり気にならないでしょう。
実のところ、私は「油冷」をあまり評価していません。単純に冷却媒体としてみた場合、油より水の方が優れているからです。もちろん、油でしか冷やせない部分は油に頼るしかありませんが、その他の部分は水で冷やした方がよいのです。冷却媒体として油が水より優れているのなら、F-1エンジンは水の冷却経路に水の代わりに油を入れていたことでしょう。結局、油冷は空冷の改良に過ぎないのです。
記事中に「熱の発生」という言葉が用いられますが、冷却損失は、出力、熱効率が変わらなければ大きくは変わりません。「熱の発生」ではなく、「冷却能力の不足による局部的な温度の増加」、「局部周辺空気温度の高温化及び輻射熱量の増大」だと考えています。
46頁左下の「1秒間に20ℓものオイルをヘッドに供給するシステム」は「1分間に20ℓ」の誤りですが、水冷の冷却水流量に比べれば、悲しい程少ない量に過ぎません。
もちろん、エンジンの性能はある要素だけで決まるものではありませんし、レーシングマシンとして見た場合、その性能はマシン総体で考えるべきです。だからこそGSX-Rがあれだけの成果を挙げることができたのでしょうが・・・
紹介した二輪グランプリ60年史ですが、この中でエルンスト・デグナーとスズキの関係についてTEAM SUZUKI by Ray Battersby が次のように引用されています。 「スズキのチーム監督とメカニック達は彼(デグナー)がたくさんのハードウエアも持ってきたことを肯定した~」
TEAM SUZUKIについてはこちら。
http://noda-kenichi.hp.infoseek.co.jp/zakkan/teamsuzuki.htm
TEAM SUZUKIの弱点は「日本語」のようです。1970年代以降については、著者が1976年初めにHERON SUZUKIに加わり、当時のレース活動を直接(あるいは間接)携わったので、読んでいて明らかにおかしいといった記述はあまりありません。しかし、1960年代についての記述は結構間違いがあります。著者は来日して日本人関係者に取材しているはずなのですが、日本人でも英語が堪能な人は限られます。マシンを前にしての会話ならともかく、日本語で書かれた資料を前にしての会話となると、かなり意思疎通に不具合があったのではないかと思います。
TEAM SUZUKIで、RS65(125cc4気筒)からRS67Ⅱに至る開発過程が全く間違って記述されているのは、この「日本語の壁」が原因ではないでしょうか。あるいは著者自身の思い込みのせいかもしれませんが。
このようなことから、TEAM SUZUKIに記述されたデグナーとスズキの関係について、どこまで信じていいのかと思っています。
私が考えるデグナーとスズキの関係は次のとおりです。
http://noda-kenichi.hp.infoseek.co.jp/zakkan/degner-s.htm
これまで雑誌等の間違い記事について
http://noda-kenichi.hp.infoseek.co.jp/nkmenu.htm
の「4 雑感」に書いていました。数が増えてきましたので、「4 雑感」の最初に「公開校正」を設け、
http://noda-kenichi.hp.infoseek.co.jp/zakkan/kousei/kousei.htm
のリストにリンクするようにしました。
少しでも間違いの無限連鎖が減少することを祈ります。