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1983年鈴鹿8時間耐久レースでグレーム・クロスビー/ロブ・フィリスが乗ったモリワキ・ヨシムラスズキGSX1000の騒音測定。測定は金曜日午前の予選後に行われた記憶です。
ストローク66mmなので測定回転数は5000rpm。
排気管から50cmの位置決めをするための細棒が見えませんが、他のマシンの騒音測定で細棒が写っているものもあります。たまたま写らなかったか、マシンによって細棒を使用したりしなかったりしたのかは記憶がありません。
このマシンはGSX1000(4バルブ)をヨシムラがチューンしモリワキ製アルミフレームの車体に搭載したもので、出場チームはヨシムラ。
クロスビー/フィリスは予選で1位、レースでは首位争いの中、エンジントラブルで遅れてしまい13位でした。
優勝マシンはスズキ・フランスからエントリーしたスズキGS1000R(XR41)で、GS1000ヨシムラチューンエンジン(2バルブ)をスズキ製車体(アルミフレーム)に搭載したものです。
これは1980年日本GP750㏄クラス(9月14日)のレース後再車検での騒音測定。
2位入賞した河崎裕之のスズキXR34M2(RGB500、500㏄スクエア4気筒)、測定回転数は7220rpm。
3位入賞した水谷勝のヤマハTZ500G(500㏄並列4気筒)、測定回転数は7690rpm。
測定器が路面に対して平行ではありませんが、マイクロフォンは広い指向特性がありますので、この程度の角度は問題ありません。
この2台の騒音測定については次の問題があります。
〇XR34M2はエンジン周りにカバーが掛けられており、エンジン本体の騒音(機械音)を遮っている。
〇TZ500Gは車体右側に排気管が3本あり、乾式クラッチも車体右側にあるのに、車体左で測定している。
TZ500Gについては車体左で測定しても(基準110dB(A)に対して)測定値106dB(A)程度なら、XR34M2についてはこの状態で測定値109dB(A)以下なら、問題ないレベルだとは思いますが。
測定器の位置決めのための細棒を使用しています。写真では細棒の先端が測定器の黒玉の中央部にありますが、黒玉は防風スクリーンですので、これが正しい位置です。
前回紹介した1984年鈴鹿8時間耐久レースでの騒音測定では細棒は使用されていませんでした。
ロードレーサーの騒音規定が設けられたのは
世界GP 1976年第7戦ベルギーGP~ ※1
F750 1976年~
ヨーロッパ耐久選手権(1980から世界選手権) 1976年~
全日本選手権 1977年~ ※2
※1 第1戦から適用される予定だったが、多くの出場チームの対応が遅れたため実施が延期されたもの。スズキXR14(500㏄ファクトリーマシン)は第1戦からサイレンサーを装着していた。
※2 1976年後半に高井幾次郎が乗ったヤマハ0W31(750㏄ファクトリーマシン)はサイレンサーを装着していた。最終戦日本GPで金谷秀夫が乗った0W31には装着されていなかった記憶。
これは1984年鈴鹿8時間耐久レースでの騒音測定で、マシンは優勝したホンダRS750R。
RS750RE-4808/RS750RF-4808
測定は金曜日朝一番の車検時ではなく金曜日午前の予選後に行われた記憶です。写真では新品タイヤが装着されていますが、順番に測定するので順番待ちの間にタイヤ交換したのでしょうか?
さて、当時の規制値は、4ストロークエンジンの場合
ピストン平均速度11m/sで測定
排気管後方45度50cmで測定
測定値115dB(A)
でした。RS750Rのストロークは48.6mmですので、6790rpmでの測定になります。
2ストロークではピストン平均速度13m/sで測定し110dB(A)でした。実回転数は
ストローク54.5mm 7160rpm
54mm 7220rpm
50.7mm 7690rpm
になります。
1960年代のホンダ250㏄6気筒、300㏄6気筒レーサーのウォームアップの排気音は猛烈なもので、当時のホンダF-1エンジンより騒音が大きいと感じました。排気量は違いますが、F-1では3-1の集合排気管なのに対して250㏄6気筒等は6本メガホンですから。耳垢が剥離して耳の中で踊っていると感じました。
騒音規制によりレースの魅力が少し失われたように思いますが、サーキットによっては周辺騒音が問題になる地域もありますし、ライダー、ピットクルー等の健康被害(聴力低下)防止のためにも騒音規制があってよかったと思います。