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JFRMCブログ

レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。

1975年シーズン前半の0W17(2) 高井のマシン

 下写真は第1戦フランスでの高井のマシンですが、スイングアームがTZとは異なる角型断面です。


 次に、下の第2戦スペインでの高井のマシン。

 スイングアームが第1戦時と同じく箱型断面であることが分りますし、フレームパイプの取り回しがTZと異なり、1974年以前の0W16/0W17のものです。
 下の写真において各色が1本のパイプを示していますが、上のスペインGPの写真は下の1974年型0W16と同じです。なお、1973年型0W16/0W17も1974年型と同じ取り回しです。

TZフレーム


1974年型0W16フレーム


  もちろん、0W17とTZ250ではクランクケースが異なるので、フレームがTZでない以上、エンジンもTZではなく0W17であることは言うまでもありません。   

  以上のことから(高井の手記とは異なり)高井のマシンは0W17であり、

〇1974年型0W16を250㏄に改修したもの
〇クッションユニットはサーマルフロー付の新型
〇フェアングは1975年型0W16のもの

と考えられます。

 なお、スペインGPの写真から、後ブレーキドラムはTZのものと思われます。


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1975年シーズン前半の0W17

 1975年250㏄クラス第1戦フランスから第5戦イタリアまで高井幾次郎が参戦しました。第3戦オーストリアで250ccクラスは開催されなかった(予定どおり)ので、250ccクラスには4戦出場しました。戦績は次のとおりです。なお、リタイア原因の記述はMOTORCYCLE YEAR 1975/76(英語版)によります。こんな本です。
Motorcycle Year 1975 / 76 No. 1 book published by Edita - l'art et l'automobile (arteauto.com)

250㏄第1戦フランス 0W17に乗るジョニー・セコットとの接戦の末に2位。
250㏄第2戦スペイン リタイア(コンロッド大端部)
250㏄第3戦ドイツ  リタイア(足痙攣)
250㏄第4戦イタリア リタイア(コンロッド大端部)

 プラクティスの順位は次のとおりです。
250㏄第1戦フランス  1
250㏄第2戦スペイン 10 
250㏄第3戦ドイツ   4 
250㏄第4戦イタリア  3

 さて、オートバイ誌1975-6に掲載された第1戦フランスGP等についての高井選手の手記では、高井、そしてセコットのマシンについて次のように記述されています。

「3月10日、(デイトナ200で)7位入賞した河崎裕之さんにデイトナビーチ・エアポートまで送ってもらい、一路、ヤマハのヨーロッパの基地であるオランダ、アムステルダムに向かう。」
「ここで知らされたことは、最初予定されていたモノクロス・サス付0W16(250㏄)が、スタンダードのサーマルフロー付きのTZ250に変更されたことだった。」
「~このフランスGPの250/350ccクラスに~J・セコットが~出場するということだ。マシンは、昨年アゴスチーニが使用した0W16をスケール・ダウンした250㏄である。」

 この記事からすると、高井のマシンはTZ250、セコットのマシンは0W17ということになります。
 なお、サーマルフローとは通常のツインショックのクッションユニットの外側に冷却フィン付オイルタンクを設けたものです。

https://global.yamaha-motor.com/jp/stories/offroadmania/ch3/

 実際はどうだったのか、フェアリングから見ていきます。

 第1戦フランスでの高井。

 同じくセコット。

 
 両車のフェアリングのカラーリングは0W16/0W17のものですが、2車のフェアリング形状が異なります。いずれもTZ250のものとは大きく異なります。

 第1戦での高井、セコットの0W17のフェアリングを、下の1974年、1975年の0W16のフェアリングと比較すると、セコットのフェアリングは1974年型0W16、高井のフェアリングは1975年型0W16と同じようです。

 1974年スペインでのアゴスチーニと0W16。


 1975年スペインでのアゴスチーニと0W16。


(続く)






1975年型0W16の排気管

 下のシーズン前公表写真では左右の排気管の後端が後車軸まで伸びています。このスイングアームは私がA型と呼ぶタイプです。




 スイングアーム部の拡大。




 第1戦フランスGPでのアゴスチーニの0W16びスイングアームはA型です。

 スイングアーム部。

 排気管の後端が後車軸の鉛直線上まで伸びるのはシーズン前公表写真のマシンと同じですが、後端高さが後車軸の下です。スイングアームの沈み込みを考慮しても排気管後端が低くなっています。排気管膨張部からテールパイプが真っすぐ伸びずに少し下向き(路面と平行)に曲がっているのです。

 下は第5戦イタリアGPでの金谷の0W16でスイングアームはB型。排気管は後者軸まで伸びており、形も第1戦でのアゴスチーニの0W16のものに似ています。




 次も金谷のマシン(つまりシーズン前半)でスイングアームはA型ですが、この排気管も第1戦のアゴスチーニの0W16と同型のようです。


 しかし、下は第2戦スペインGPでの金谷秀夫の0W16ですが、排気管の形は上のマシンに似ているものの、排気管後端が後車軸より後に伸びています。スイングアームはB型です。


 下は350cc第8戦フィンランドGPでのアゴスチーニの0W16で、スイングアームはA型です。
 
 排気管はシーズン前公開写真のマシンに似ていますが、後車軸の後まで伸びています。
 レース名不明ですが、下のアゴスチーニのマシンも同様です。


 これらのことから、次のようなことを想像しました。
〇スイングアームのA型とB型の差がスイングアーム長なのかは分らない。
〇シーズン前半に用いられた排気管には少なくとも2種類ある。
〇フィンランドGPでアゴスチーニの0W16に装着された排気管は3番目のタイプ。


1975年型0W16のフレーム等

1 シーズン前公開写真の0W16
1975年型0W16(350cc)の後サスペンションはモノクロスです。





 スイングアーム部を拡大すると




 左側から見たスイングアームはこんな形です。これをA型とします。



 実戦では次の形のスイングアームも用いられました。これをB型とします。


2 アゴスチーニの0W16
(1)第1戦フランスGP
 A型です。


 スイングアーム部。


(2)350cc第8戦フィンランドGP
 これもA型です。



3 金谷の0W16 
(1)第2戦スペインGP
 B型です



(2)第5戦イタリアGP
 B型です。



(3)レース名不明
 金谷の0W16が全てB型という訳でもないようです。こちらのマシンはA型です。

http://home.kpn.nl/twostrokes/images/OW16vince.thu.JPG

 A型とB型はスイングアーム長が異なり、コースによって使い分けていた可能性もあります。

4 セコットの0W17
 ジョニー・セコットはシーズン当初、250ccクラスでは0W17(通常のツインショック)に乗っていましたが、250cc第6戦オランダGPでモノクロスの0W17が与えられました。


 B型です。

 金谷は第5戦イタリアGPを最後に帰国したので、金谷の0W16がセコットに渡り、0W17エンジンが搭載されたのではないかと想像します。
・・・・・・・・・・・・・・・
 なお、シーズン前公開写真の0W16の燃料タンクはフレームのバックボーン部の両外側下に張り出していますが、上の写真では3-(3)のマシンを除き、シーズン前公開のものとは異なります。

 これはアゴスチーニの0W16でシーズン前公開写真と同様に燃料タンクがフレームのバックボーン部の両外側下に張り出しています。

http://home.kpn.nl/twostrokes/images/OW16.mack.thu.JPG









電気自動車のヒーター

低位発熱量(LHV)と高位発熱量(HHV)が区別されていない提言?

を9月24日に書いたのですが、その時に引用した産業技術総合研究所の櫻井氏のtwitterの記事は、その後に大幅に修正されました。

 水素発熱量:高位発熱量
 発電効率:低位発熱量

で計算するというミスも修正され、低位発熱量ベースで統一されています。その結果、「水素を自動車に利用するならFCV(燃料電池車)ではなく、ガスタービンCC(コンバインドサイクル)で発電しEV(電気自動車)で利用した方が高効率」という結論も「同じくらい」に修正されました。

 現在の櫻井氏のtiwtter。
Keiichiro SAKURAIさんはTwitterを使っています 「水素1kg=33.3kWh(LHV) (33.3-5)/33.3=85% 402x1.6/5.6x0.85= 輸入水素1kgあたり98km走れる。 留意点:輸入からタンク充填までの損失・消費電力の見積もりが大雑把。 (もっと良いデータがあれば、このコメントにぶら下げます)」 / Twitter

 で、次のようにも書いています。
「なお水素を発電所で電力に変換するなら、熱も同時に利用して、さらに全体の効率を上げることも可能です。車ですと、冬期に暖房に利用するぐらいになります。」

 「ぐらい」ということですから、

「なお水素を発電所で電力に変換するなら、熱も同時に利用して、さらに全体の効率を上げる」

の方が

「車ですと、冬期に暖房に利用するぐらい」

より効果がある、という櫻井氏の意識が見えるように思います。


 さて、電気自動車の暖房=ヒーターについて、こちら
三菱i-MiEVの性能評価と効果的な活用策 (chuden.co.jp)
では三菱自動車のiMievの市街地実走行時航続距離を

空調未使用   約160km
クーラー使用時 約120km
ヒーター使用時 約80km

としています。この数値の元データは三菱自動車の資料です。

 FCVではFC作動後にはFCの廃熱をヒーターとして利用できますが、EVでは電気ヒーターを使用するため、これが電力を消費し、航続距離が大幅に低下するのです。また、低温になると、電池の性能が低下することも影響しているでしょう。
 もちろん、どの程度ヒーターを使用するかは気温等によります。

 仮にヒーターを使用する期間を年間3か月とすると、航続距離は年間平均

 (160×3+80)/4=140km

となり、

140/160=0.875 

 年間平均では航続距離が12.5%低下することになります。

 さて、櫻井氏のtwitterの計算ではGTCC(ガスタービン・コンバインドサイクル)の発電効率を60%と50%(何れもLHV:低位発熱量ベース)で計算していますから、ガスタービンの廃熱は蒸気タービンの熱源になっており、排気ガス、排水の温度は100℃以下になっています。
100906325.pdf (nedo.go.jp)

 この排気ガス、排水の廃熱を近隣の工場等で利用できればいいのですが、100℃以下の熱源を利用できる需要には限りがあります。
 
 低温熱源から発電する方法として、バイナリー発電、熱電対等がありますが、発電効率60(50)%のGTCCの損失:40%(50%)からどの程度の電気エネルギーを回収できるものでしょうか?


 電気自動車の電気ヒーター(ヒートポンプではない)利用による航続距離低下に対抗するためには、GTCCの発電効率60%を

60/0.875=68.6%

まで高める必要がありますが、GTCCの廃熱利用でそこまで高められるのなら、とっくの昔に行われているように思います。


 なお、 電気自動車でヒーター熱源にヒートポンプを使用するものもあり、この場合はヒーター使用時の電力消費をかなり抑制することができます。ただし、ヒートポンプのCOP(成績係数:発生熱量/消費電力)は外気温に大きく左右され、低温になればなるほど低下することに注意が必要です。



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