レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。
[
661]
[
660]
[
658]
[
657]
[
655]
[653]
[
654]
[
652]
[
651]
[
650]
[
649]
前回(リンク)書いたように「最高回転数が異なるエンジンのパワーバンドの広さを回転数の幅だけで比較することは無意味」です。
さらに例を出すなら、NR750が9000~16000rpmのパワーバンド7000rmで、マツダ・ロードスター(ND)の1.5リットル4気筒エンジンのパワーバンド1500~7000rpmより「広い」ということは無意味なのです。
マツダ1.5リッター4気筒エンジンのトルク曲線(マツダ技報から引用(縦軸の数値を加筆) )
そこで、NR750(NZ0B、NZ0a?)とRVF750(NW1C)のトルク曲線における横軸の回転数を、各エンジンの最高出力発生回転数に対する比率で整理してみました。
例えば、この比率が0.8なら、実際の回転数はそれぞれ
RVF750(NW1C) 13000×0.8=10400rpm
NR750(NZ0B) 15000×0.8=12000rpm
NR750(NZ0A) 15750×0.8=12600rpm
になります。
整理した結果です。
なお、RACERS Volume.22によると、NW1Cのボアは市販車のボア70mmに対し70.4mmで750㏄を超過していた(レギュレーション適合)ので、グラフ中のMW1Cのトルクは実トルクに70/70.4の2乗を乗じて排気量750㏄に補正した値を表示しました。
この図から、回転数比で見ればRVF750(NW1C)のパワーバンドの広さはNR750とほぼ同じで、パワーバンド内のトルクも大きいことが分ります。
・・・・・・・・・・・・・・・・
なお、回転数比0.48~0.56あたりでは、トルクがNR750(NZ0B)>RVF750(NW1C)ですが、実はNR750の出力チューニングレベルはそれほど高くないことを考慮する必要があります。
「排気量と回転数」で示したように、同一排気量なら回転数、出力は気筒数の1/3乗に比例します。NR750はバルブ、コネクティングロッド数が8気筒と同じなのですから「NRの評価」で書いたとおりこれを8気筒と見なし、NR750(NZ0B)の出力チューニングレベルをRVF750(NW1C)並とするなら(NW1Cの排気量が750㏄を若干超過していることは無視して)
最高出力は134.5×(8/4)^(1/3)=169PS > 155PS(NZ0B公表値)
最高出力発生回転数は
13000×(8/4)^(1/3)=16400rpm > 15000rpm(NZ0B公表値)
になります。つまり、NR750(NZ0B)の出力チューニングレベルは市販車ベースのRVF750に及ばす、逆にRVF750をデチューンすれば、そのパワーバンドはさらに広くなる可能性が高いでしょう。 PR