レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。
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こちらのマシン
Bonhams : The ex-Kork Ballington, World Championship-winning,1978 Kawasaki KR250 Racing Motorcycle Frame no. to be advised
エンジンは1979年型ですが、カラーリングは1978年仕様です。スイングアーム・後クッションユニットは1978年以降のものです。しかし、肝心のフレームは?
これは現存する61E-051/601F-7810 。
クランクケース(ギアボックス部)のブリーザーがフレーム(バックボーン部)に繋がっており、フレームがキャッチタンクの役割を果たしています。スイングアームピボット左上のボルトはキャッチタンクのドレインプラグになります。
実戦の写真で確認できた1978年型以降のフレームも同様ですが、1977年型以前はこのようになっていません。
上のマシンは1977年型以前と同様、フレームにブリーザーパイプが繋がっていませんし、フレームにドレンボルトもありません。
1978年型フレームの中には、フレームをブリーザーキャッチタンクにしていなかったものがあった可能性もありますが、前述のように実戦の写真で確認できないこと、私が確認した7台の601F-78××(または601F78××)すべてがフレームをブリーザーキャッチタンクにしていた※ことから、その可能性は非常に低いと考えます。
このフレームは1977年型の可能性が非常に高いと考えます。
※フレーム番号が601F-78××(または601F78××)であっても、1979年以降に新造され、古い番号が打刻された可能性はあります。

WEB Mr.BIKE - ライムグリーン伝説・KR250 (mr-bike.jp)
のゼッケン番号のないマシンはこちらのマシンでしょう。
JFRMCブログ 現存するKR250(3) (tou3.com)
ゼッケン1で「AKAI」のステッカーが貼られているマシンはこちらでしょう。
JFRMCブログ 現存するKR250(4) (tou3.com)
そして一番下のアントン・マング仕様のマシンは、1983年に雑誌の取材に供された下のマシンと思われます。
エンジン、スイングアームは1982年型。
エンジン番号左端の「TE6」が読み取れます。

JFRMCブログ 現存するKR250(2) (tou3.com)
TE601-106の番号付けを踏襲しているなら
TE601-×××
なのでしょうが、1982年型エンジンでエンジン番号の最後が3桁ではなく82で始まる4桁の例があるので
TE601-82××
かもしれません。ただカワサキの場合、エンジン番号、フレーム番号のルールが厳格ではないようなので、1981年型と同じTE601-×××の可能性も十分あります。
参考
こちらのエンジン番号は8202。
Lot 25 - 1981 Kawasaki KR250 (handh.co.uk)
61E-054/601F-7803
RACER Volume42の68-69頁のマシンです。
シリンダーヘッド:1979年型一体型シリンダー:1979年以前クランクケース:1981年以前クラッチカバー:1979年に登場した大穴型ではない。ただし、この小穴型は1979年以降も用いられた。
カラーリング:1979年仕様。それほど奇麗ではないので、撮影時は現役当時そのままか。
おそらく、1979年シーズン後に日本に返却されたマシンと思われます。
このマシンは明石に現存しているでしょう。
LIME GREEN - 挑戦者の証し (khi.co.jp)



61E-051/601F-7810
シリンダーヘッド:1978年型 一体型シリンダー:1979年以前 クランクケース:1981年以前 クラッチカバー:1979年に登場した大穴型ではない。ただし、この小穴型は1979年以降も用いられた。 スイングアーム:1980年に姿を見せた三角型 カラーリング:1979年仕様 ただし、奇麗すぎるので再塗装されたものか。 RACERS Volume 42の70頁では、このマシンを「’78年型とされるKHI所蔵の個体。テールカウル形状やスクリーンの大きさなどは間違いないが、リンクに直接接合する三角形のスイングアームは最終の’82年型のみ採用。修復時に再構成された仕様と思われる」としています。 JFRMCブログ 1980年型KR250のスイングアーム (tou3.com) で書いたように三角スイングアームは1980年後半に姿を見せていますから、RACERSの「’82年型のみ採用」は誤りです。そもそも1982年に三角スイングアームのマシンは確認できませんし、できたとしても「1982型=三角スイングアーム」といえるものではなかったことは間違いありません。 ただし、このマシンは1978年型シリンダーヘッドと1980年型スイングアームの組合せですから、「修復時に再構成された仕様」である可能性は十分あります。 さて、The Ultimate Motorcycle Book by Hugo Wilson, Dorling Kindersley 1993にこのマシンと思われる写真が掲載されています。ですから「修復時に組み合わされた」とするなら、遅くとも1993年までにこの状態になっていたことになります。 もう一つの可能性は「カワサキUKチームから日本にマシンを返却する際に、このような形でマシンを組み上げた」です。 他メーカーの例ですが、スズキが保有する2台の1982年型RGΓ500の1台のエンジンが1981年型なのも、この類の理由ではないかと思います。 「カワサキUKチームから日本にマシンを返却する際に、このような形でマシンを組み上げた」と仮定しますと「1981年からカワサキUKチームが500㏄クラスに専念したのになぜ?」という疑問が生じますが、次のことが考えられます。
〇KR250を日本に返却する時点では、1981年のUKチーム500㏄クラス専念は決定していなかった。
あるいは
〇カワサキUKチームが他のKR250/KR350使用レーシングチームに対してパーツ等を提供するため。「使用する予定がない部品を組み合わせて返却すれば、使う可能性のある部品がイギリスに残る」からです。 なお、三角スイングアームは1980年後半で確認できますが、バリントンはレース本番では使用しなかったようで、返却対象部品になったとしても不思議ではありません。 どちらにしても、このマシンは実戦で使用された形態(部品の組合せ)ではないと考えます。
