わがつちおさんはTwitterを使っています 「@ugisu777 @cannon33604078 @Marre_Ishii 様式が整っていればいいと思いますよ。あなた日本全国で全く同じものを使っていると思ってるんですか?」 / Twitter
死亡診断書(死亡検案書)の様式の件ですね。以下「死亡診断書等」とします。
死亡診断書等は医師法施行規則で定められた様式を市役所等から入手して手書きする、ダウンロードしてプリントして手書きする、あるいは死亡診断書作成ソフトを用いて作成することが普通でしょう。
ただ、それ以外の方法で作成された死亡診断書等が法的に無効かといえば疑問があります。
医師法第19条 診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。
2 診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会つた医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があつた場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない。
医師法施行規則第第20条 医師は、その交付する死亡診断書又は死体検案書に、次に掲げる事項を記載し、記名押印又は署名しなければならない。
一 死亡者の氏名、生年月日及び性別
(ニ~十一 略)
十二 当該文書を交付した年月日
十三 当該文書を作成した医師の所属する病院等の名称及び所在地又は医師の住所並びに医師である旨
2 前項の規定による記載は、第四号書式によらなければならない。
刑法第160条 医師が公務所に提出すべき診断書、検案書又は死亡証書に虚偽の記載をしたときは、3年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処する。
医師法施行規則はこちら。
・医師法施行規則(◆昭和23年10月27日厚生省令第47号) (mhlw.go.jp)
医師法施行規則第20条第1項で定められた死亡診断書等記載事項は、それぞれ意味があるものですので、記載漏れ、重大な誤記があるものは無効となるでしょう。仮に誤記があったとしても、誰でも「正しくは〇〇に違いない」と判断できる誤記は、そのままでも有効かもしれません。普通は訂正を求められると思いますが。
問題は(例えば)
A 書式を自作したもの。罫線長、罫線間長が異なったり、文字サイズが異なるもの。
B Aに加えて枠外の記入上の注意が削除されているもの。
C 罫線がなく、記載事項を箇条書きで書いたもの。
に法的にどうなのかです。
様式が異なっても刑法第160条には抵触しないでしょう。
さて、施行規則様式の大きさは施行規則では定められていません。様式のサイズが定められていない以上、A4サイズでない死亡診断書等であっても、官公署の実務(書類の整理等)では問題があっても、その届出書が果たすべき効果には何ら差はないと考えられます。
このことからAの場合は、死亡診断書として有効ではないでしょうか。
B、Cの場合、医師法施行規則で定められた書式とは異なるので、形式的には施行規則違反ということになりますが、罰則も定められていませんし、届出書が果たすべき効果も得られるのですから、これも有効の可能性が高いと考えます。この「形式違反」だが有効という考え方は馴染みがないと思いますが。
今回紹介したツィッターの記事は、ネット上にアップされた「死亡診断書」が捏造かどうかという議論が発端です。
それが捏造かどうかは私には分りません。記載事項におかしな点がありますが、医師の中にはこんな記載をする人もいるでしょう。ただ、おかしな記載事項をもってその「死亡診断書」が死亡診断書等として有効ではないといえるかどうかは私にはわかりません。もちろん、仮に死亡診断書等として有効だとしても、記載された死亡の原因が正しいかどうかは別の問題です。
そして、書式が法定書式ではないことをもって死亡診断書等として有効ではないとはいえない可能性は十分あると考えます。
念のため言いますが、仮に法定書式以外でも有効だったとしても、A4サイズの医師法施行規則書式以外を用いることは控えるべきだと思います。医師なら知っているはずの法定書式を用いず、わざわざ別の形で作成した書類の真正さに疑いが生じるのは当然です。「それ以外の方法」で作成された死亡診断書等は、届出窓口でいらぬトラブルの元になりかねません。
なお「法定書式以外も可であれば偽造し放題になる」という意見もありますが、法定書式が公開されているので、本気で偽造するなら法定書式を用いると思います。
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