先日、陸上自衛隊広報センターに行ってきました。新たに10式戦車が展示されているのです。
展示されているのは試作1号車です。公表されている諸元
http://www.mod.go.jp/gsdf/equipment/ve/1_26.html
では、
重量 約44t
最高速度 約70km/h
エンジン出力 1200PS
です。
この諸元から最高速度時の燃費を計算してみましょう。
変速機・操向装置伝達効率80% とすると、出力=力×速度なので、最高速度時の走行抵抗は
1200PS×0.7355×0.8/(70/3.6)=36.3kN
エンジンの熱効率40%、軽油比重0.85、軽油低発熱量10000kcal/kgとすると、最高速度時の燃費は
0.85×10000×4.19×0.4×0.8/36.3=314m/リットル
よく記事になっている一般的な戦車の燃費に近い数字になります。もちろん、航続距離が問題になる条件の速度は最高速度ではないでしょうし(そもそも最高速度を維持することは困難)、通常速度の走行抵抗も最高速度時とは異なりますが、まあ当たらずとも遠からずの数字が簡単な計算で出てきます。
90式戦車の公表航続距離がドイツのレオパルト2より小さいことについて、「90式戦車は2サイクルディーゼルだから」と2サイクルガソリンエンジンの熱効率の悪さが2サイクルディーゼルにもそのまま当てはまるような記事を見かけることがあります。
車と同じで戦車の燃費も走行条件により大きく変わることや2サイクルディーゼルエンジンがどんなものかを理解せずに書かれた記事は無価値だと思います。
PR