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レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。

スズキXR34M1とXR34M2(6)

  イアン・キングのXR34M1がネット上ではランディ・マモラのXR34M2とされていますが、このマシンの戦績として、1980年の500cc第2戦スペインから第8戦(最終戦)ドイツまでのGPと、4月のトランスアトランティックレース、そして1981年のラグナセカでのレースが示されることがあります。

 このマシンのフレームが第2戦で登場したXR34M1とフレームが同型であることはすでに書きましたが、1981年のラグナセカでのXR34M2の写真がネット上にあるので紹介します。
Throwback Thursday: Problems for Kenny Roberts at Laguna Seca (1981) - Cycle News

Mamola’s “Antique” Herron Suzuki RG500 – Rider Files (wordpress.com)

 このマシンとイアン・キングのマシン
車体左側
車体右側

と比較すればフレームが異なることはすぐ分ります。





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スズキXR34M1とXR34M2(5)

 XR34M2とされるイアン・キングのXR34Mを見ていきます。

車体左側
車体右側

 フレーム形状、スイングアームの縦パイプの位置が左右で異なること、スイングアームのプッシュロッド取付部の穴、そして後サスペンションのロッカーアーム(車体左側写真を拡大してください)からすると、このマシンは第2戦スペインで登場したXR34M1にしか見えません。
 

 次に、前に紹介したこちらのXR34
British GP and Senior TT winning XR34 Suzuki | MCNews
は、記事ではこのマシンをXR34M1で「The bikes debuted at the second round of the season at Jarama in Spain」としていますが、フレーム形状、スイングアームの縦パイプ位置からするとXR34M2にしか見えません。


 ただ、シーズン後に雑誌取材に供されたXR34M2のストリップ写真


のマシンとは次の箇所が異なります。

(1) 後サスペンションロッカーアームがアルミ合金製

(2) スイングアームのプッシュロッド取付部にXR34M1のように小穴がある

(続く)

スズキXR34M1とXR34M2(4)

 下左は500㏄第7戦イギリスでのマモラのXR34M。レース中かプラクティス中かは不明。右に比較のためオランダでのマモラのマシンの写真を示します。

 イギリス              オランダ 
 
 フェアリング向かって左上のボルト(クイックファスナー)の位置が異なります。
 また、後サスペンションのロッカーアームビボットの前のパイプが左のマシンでは見当たりません。
 このマシンのフレームはシーズン後に雑誌の取材に供されたB型(下)と同型です。

 RACERS Volume 12(2012三栄書房)57頁のXR34Mは同じイギリスGPで撮影されたものですが、これと同一個体と思われます。
 
 そして、これと同型のマシンは500㏄第6戦フィンランド以前では確認できません。

 ですから、前に紹介したMOTOCOURSE 1980-81のイギリスGPの記述
 He(注 Mamola) had a new machine for Silverstone~. The new frame for his RG500 Suzuki was slightly lighter as it had two less tubes supporting the rocker arm pivot. More importantly, it had a slightly revised leverage ratio endowed the rear suspension with better rising rate characteristics.

は正しく、このB型フレームが500㏄第7戦イギリスで姿を見せたと考えられます。
 
 そして、A型は第2戦スペインで登場したことから、これが最初のXR34M、即ちXR34M1であり、500㏄第7戦イギリスで登場したB型がXR34M2と考えられます。

(続く)


スズキXR34M1とXR34M2(3)

  次にスイングアームのプッシュロッド接続箇所付近。
A型


B型(左側)    B型右側)
 
 
 A型にはプッシュロッド接続箇所の後側に穴がありますが、B型にはありません。

 そして、スイングアームの縦パイプとプッシュロッド接続箇所の位置関係が異なり、A型の縦パイプ位置が少し後です。 
 ただ、この違いは左スイングアームだけです。右スイングアームではA型もB型も縦パイプの位置はほぼ同じです。

 これは500㏄第6戦フィンランドでのマモラのXR34M。

 後サスペンションのロッカーアームピボットの前のパイプ、フェアリングステーの位置からフレームはA型と分りますし、左スイングアームの縦パイプ位置はA型と同じです。

 しかし、右スイングアームを拡大すると縦パイプの位置がB型と同じことが分かります。

 つまり、A型スイングアームは左右非対称で縦パイプの位置が左右で異なり、右スイングアームではB型と同じ位置で、左スイングアームではB型より後側にあるのです。

 さて、XR34Mが初登場した第2戦スペインでのマモラのXR34M。フェアリングステーの位置からするとフレームはA型です。


 
 スイングアームはA型です。

 同じく第2戦でのロッシとXR34M。

 映りが悪く、サスペンションのロッカーアームピボット付近はよくわかりませんが、フェアリングステーの位置からするとフレームはA型です。


 スイングアーム取付部付近。

 縦パイプ位置はB型と同じですが、前述のようにA型スイングアームは左右非対称なので不思議ではありません。

 次に500㏄第4戦オランダのスタート時のマモラのXR34M。

 フレームはA型で、スイングアームの縦パイプ位置はB型と同じです。

(続く)



スズキXR34M1とXR34M2(2)

 XR34Mは1980年第2戦スペインで登場しましたが、下は第3戦フランスGPでのマルコ・ルッキネリのXR34M。これを仮にA型としましょう。


 そして、これはシーズン後に雑誌の取材に供されたXR34M。これを仮にB型とします。


 後サスペンションのロッカーアームピボット付近を拡大すると、
A型


B型 

 ピボットから前に伸びるパイプがBにはありません。MOTOCOURSE 1980-81でイギリスGPで登場したとされるフレームに関する記述のとおりです。
 また、ロッカーアーム、クッションユニットも異なります。

 次にバックボーン部。

A型

B型


 略図で示すと
A型


B型


 ステアリングダンパーが取り付けられるパイプとシートレールパイプの位置関係が異なり、B型ではバックボーンパイプ前後でほぼ同じなのに対して、A型では段があります。
 また、略図上で白丸で示すフェアリングステー取付部の位置が異なります。
(続く)




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