レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。
https://jfrmc.ganriki.net/ow48/ow48-2.htm
の最後に「Jack MiddelburgのTZ500」を加えました。
ミドルブルフのチームはI,M,N(Inter Motor Nederland)NVです。
ヤマハ・モーター・ヨーロッパNVがヤマハのヨーロッパ総輸入元で、各国の支社、別法人が輸入元で、オランダ輸入元は(ホンダ輸入元だったこともある)Het Motorpaleisでした。
これからI.M.N.が分離した形です。このI.M.N.がYamaha Motor Nederland BVとなり、現在はヤマハ・モーター・ヨーロッパNVの支社となっています。
Het MotorpaleisとI.M.N.のボスはハンス・モーカルクです。
Het MotorpaleisとHans Moerkerk
浅見貞男は1979年、F750世界選手権でランキング4位、世界GP350㏄でランキング9位でした。
そして、1980年はTZ500で世界GP500㏄に参戦しましたが、得点はフィンランドGP9位の2点のみで、ランキング20位に留まりました。
RACERS Volume 76の20頁に第2戦スペイン(写真説明の「R5 Belgium」は誤り)での浅見とTZ500の写真があります。TZ500は基本的に市販状態ですが、消音器はCFRP製のようです。
そして、こちらは500㏄第6戦フィンランドでの浅見とTZ500。
Sadao Asami 1980-1.jpg
スタンダードのTZ500との違いは次のとおり。
1 補強スイングアーム
2 車体右下の2本の排気管の互いの位置関係が若干異なる
3 このうち下側排気管がフェアリング底部に密着していない
4 前フォーク・ブレーキキャリパー間のブラケット
5 アルミ製消音器(市販状態)
1については、おそらくヤマハから提供されたものではないでしょうか?
2、3については、エンジンから排気管最大径部までの長さが短くなっている(高回転化?)ようです。
なお、タイヤはミシュランからグッドイヤーに変わっています。1980シーズン前インタビューで、浅見はグットイヤーを使いたい旨、語っていましたが、シーズン当初は供給がなかったのでしょうか?
OW48 YAMAHAの日本GPでのTZ500にも加筆しました。
あ
https://x.com/racersofficial
6月24日発売予定のRACERSはヤマハTZ500(市販レーサー)特集だそうです。
TZ500の価格(スペアパーツ込み)は
TZ500G(1980年型) 195万円
TZ500H(1981年型) 230万円
TZ500J(1982年型) 280万円
でした。
2ストローク市販レーサーで初めて排気制御機構(ヤマハの制御機構はYPVS(ヤマハ・パワー・バルブ・システム))が装着されたマシンというだけでなく、マグネシウム合金製クランクケースの採用等により1980年型は半乾燥で145㎏程度と当時としてはかなり軽量でしたし、1~3速の変速比が各3種用意され、クランクケース右側からギアクラスタを抜き出して交換できるようになっている等、当時の市販レーサーとしてはかなり進んだ内容でした。
1979年型ファクトリーマシン・0W45をベースにしているのですから当然といえば当然です。また、1980年型ファクトリーマシン0W48のクランクケースもTZ500のものになりました。
1980年世界GPでTZ500に乗った浅見選手のTZ500の評価は非常に低かったのですが、オランダGP(ダッチTT)でJack Middelburgが優勝する等しましたし、全日本選手権では大活躍しました。
しかし、1981年にはスクエア4気筒のファクトリーマシン0W54が登場、TZ500が時代遅れのマシンとなることが確定してしまったのです。
写真は1980年日本GPに出場した芳賀信二選手のTZ500G。