2気筒・2本クランクシャフトで、2本のクランクシャフトを直接ギアで連結したエンジンとしては戦前のベロセット・Roarerがあります。ただし、クランクシャフトは縦置きですので、一見、普通の並列2気筒に見えます。
このマシンがタンデム2気筒(クランクシャフト縦置)になった理由は
後輪駆動チェーンの信頼性が低い
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シャフトドライブにする。
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クランクシャフト縦置きにする
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クランクシャフト1本ではクランクシャフトのモーメントが問題になるので、クランクシャフト2本にしてモーメントを互いに相殺する
でしょう。
クランクバランス率は100%で1次慣性力は完全に釣り合いますが、クランクベアリングの横方向の負荷が大きくなります。
また、2つのクランクピンは同位相ですので、各クランクシャフトの慣性トルク変動は(向きが異なるだけで)同じですが、360度等間隔点火ならガス圧トルク変動がクランクギアに悪影響を与えたでしょう。
このマシン、1939年のマン島TTのプラクティスで少し走ったのみで、同年9月の第二次世界大戦勃発、そして戦後のスーパーチャージャー禁止により、レースを走ることはありませんでした。
しかし、AJSのPorcupine(500cc並列2気筒)は戦前にスーパーチャージャー付で製作され、戦後、スーパーチャージャー無しで再設計されレースを走った(1949年500㏄世界GPチャンピオンマシン)のですから、Roarerが技術的に何らかの問題を抱えていた可能性もあります。
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