レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。
[
541]
[
543]
[
542]
[
540]
[
515]
[539]
[
538]
[
537]
[
530]
[
535]
[
529]
問題なのは、「塩素ガス0.5ppm」を参照していることです。https://jpn.faq.panasonic.com/app/answers/detail/a_id/11872/p/1746,2908,2909/related/1
ではEUリスク評価書の数字とのことです。
EUリスク評価書
http://www.nihs.go.jp/hse/chem-info/eu/euj/7782-50-5_j.pdf
一部引用すると
「ヒトにおける NOAEL が 0.5 ppm(1.5 mg/m3)であることを示す詳細な証拠が、Schins et al. (2000)が公表した Emmen and Hoogendijk(1997)の試験によって示されている。この試験は、 十分な記載がなされており、また臨床試験の実施基準(GCP)に準拠している。この試験の 目的は、以下の通りである。 1) 低濃度の塩素への曝露により、げっ歯類で誘発される様な鼻への影響が、人間でも 誘発されるかどうかを見極める。 2) ヒトのボランティアを 0、0.1、0.3 ないしは 0.5 ppm(0、0.3、0.9 ないしは 1.5 mg/m3) の塩素に曝露し、曝露により生じ得る呼吸器系への影響を確認する。
8 名の男性ボランティアが、4 つのうちのいずれかの濃度で、1 日 6 時間で連続 3 日間曝露 された。1 名のボランティアは、試験とは無関係な理由により参加を中止したため、デー タ分析は 7 名の被験者のものに限られた。
いくつかの有害影響がボランティアから報告され、医師がそれを記録した。それらのほとんどは、曝露に関連していると考えるのは「難しい」ものであるか「妥当性が低い」ものであった。以下に示す影響が、投与に関連していると考えるのが「妥当である」と判断された。 鼻洞の緊張(1 例)、眼の刺激症状(5 例)、咳(2 例)、鼻詰まり(2 例)、喉の渇き(1 例)、口 の渇き(1 例)、喉の刺激症状(1 例)、呼気喘鳴(1 例)、鼻腔における粘液産出(1 例)。」
原文(英語)はこちら。
Some adverse effects were reported by the volunteers and registered by the physician. Most of them were classified as “impossible” or “unlikely” to be treatment related. The following effects were judged as “possible” to be treatment related: sinus tension (1 case), eye irritation (5 cases), coughing (2 cases), nose congestion (2 cases), dry throat (1 case), dry mouth (1 case), throat irritation (1 case), expiratory wheeze (1 case), mucus production in nasal cavity (1 case). The study concluded that nasal lavage measurements did not support an inflammatory response or irritant effects on the nasal epithelium. Furthermore no significant effect on lung function parameters was found. The study did not support an inflammatory effect in the nose nor shows changes in the respiratory function at repeated exposure up to 0.5 ppm (1.5 mg/m3).
そして、急性毒性のまとめとして
「ヒトのボランティアを対象とした信頼性の高い試験では、最高 0.5 ppm(1.5 mg/m3)の塩素 に数日間曝露しても、鼻腔に炎症性の影響が生じることはなく、また、呼吸機能にも変化 は示されなかった(NOAEL)。 」
0.5ppm以下で影響が出ている(しかも、0.5ppmなのか0.3ppmなのか示されてない)のにこのような評価になっているのは、試験が呼吸器系への影響(呼吸機能)を確認することが目的なためなのか?
どちらにしても「6時間/日、3日間」の結果であり、毎日噴霧する、時間が6時間が越える、若年者、という条件でないことは確かです。
また、刺激性について
「ヒトのデータに基づくと、眼に対する刺激性影響は、0.2~4 ppm(0.6~12 mg/m3)の濃 度の塩素で認められている。」
とあります。
この基準は「ACGIH」のようです。アメリカ産業衛生専門家会議が定めた許容限度です。日本産業衛生学会の許容濃度等はTWAではなく最大値です。なので、メーカーがいう基準はACGIHと判断しました。
どちらにしても、この基準は環境基本法に基づく「環境基準」と異なります。環境基準は、年齢、(原則)暴露時間を考慮しないのに対して、(例えば)産業衛生学会許容濃度等は条件があります。当然、労働者ですから中学生以下は対象外でしょう。
許容濃度の説明を引用しますと、
許容濃度等の性格及び利用上の注意(1~4、8~10は略)
5.人の有害物質等への感受性は個人毎に異なるので、許容濃度等以下の暴露であっても、不快、既存の健康異常の悪化、あるいは職業病の発生を防止できない場合がある。
6.許容濃度等は、安全と危険の明らかな境界を示したものと考えてはならない。従って、労働者に何らかの健康異常がみられた場合に、許容濃度等を越えたことのみを理由として、その物質等による健康異常と判断してはならない。また逆に、許容濃度等を越えていないことのみを理由として、その物質等による健康異常ではないと判断してはならない。
7.許容濃度等の数値を、労働の場以外での環境要因の許容限界値として用いてはならない。
1.化学物質の許容濃度
許容濃度とは、労働者が1日8時間、週間40時間程度、肉体的に激しくない労働環境で有害物質に暴露される場合に、当該有害物質の平均暴露時間がこの数値以下であれば、ほとんど全ての労働者に健康上の悪い影響が見られないと判断される濃度である~(注:塩素のような)一部の物質の許容濃度を最大許容濃度として勧告する理由は、その物質の毒性が、短時間で発現する刺激、中枢神経抑制等の生体影響を主とするためである。
このような性格の違いから、同一物質について環境基準と産業衛生学会許容濃度が定められている場合、環境基準値が小さい値になります(塩素の環境基準は定められていません)。
ですから、「0.5ppm」を「環境基準」と、いかにも一般環境に適用される基準であるかのように表示し、これを参照することは問題があります。
このように見ていくと、0.5ppmという数値を室内に適用される安全な基準として参照することはできないとしかいいようがありません。
そもそも、前回、示したように連続使用で室内濃度が上昇し塩素0.5ppmを越える可能性がありますし、室内の実条件は部屋の形、家具の配置が大きく異なり、人の位置によって、実際の濃度が想定より高くなることは十分考えられます。また、気体ではなくミストを吸い込むこともあります。
ラットの吸入試験をしているじゃないか、とおっしゃられる方もおられると思いますが、これだけで人体へ悪影響がないことが確認されるのなら、こんなに楽なことはありません。また、ラットの吸入試験の条件と実条件がどの程度異なるかすら、私にはわかりません。
メーカーが行った実験だけで、「安全」とすることには疑問があります。
ましてや、このメーカー以外の製品については、さらに高濃度の次亜塩素水を噴霧する例もあります。この場合、0.5ppmですら越えることが予想されます。
そもそも、化学物質を空気中に拡散し人に吸引させることのへのリスク評価がこの程度のレベルなのが信じらせません。PM2.5に大騒ぎしたのが嘘のようです。
PR