レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。
KR250は1980年型になるとシリンダーヘッド/シリンダーヘッドが各気筒別体になり、サーモスタットは装着されません。世界GP250ccクラスは全10戦でしたが、これは第7戦フィンランドでのバリントンのマシン。
シリンダーの鋳込み文字は「125CC」。
これはアントン・マングのマシン。
バリントンのマシンとシリンダー/シリンダーヘッド形状が異なること、冷却水パイプをシリンダーヘッドにボルトを用いず固定していること、そしてシリンダーに排気量を示す鋳込み文字がないことから、これらは現地で製作されたものと思われます。
この年、マングはドイツカワサキ(Kawasaki Motoren GmbH)の予算削減により、マシン貸与のみになったのですが、Kawasaki RACERS by Ian Faloon, Haynes 2002では次のように記述されています。
(バリントンのKR250エンジンのシリンダー/シリンダーヘッドが前後別体になったことに関して)Mang too had individual cylinders for his KR250, but Sepp Schlögl developed these independently.
With Virtually no spares, many componets were specially constructed, including the crankshaft and primary drive, and wint tunnel developed faring.
なお、他のKRはポンプから前後気筒にそれぞれ並列に流れますが、このマシンは直流で、流れはポンプ→前気筒→後気筒→ラジエーター→ポンプになっています。前後気筒で水温が異なるデメリットを承知の上で、冷却水の流速を上げてエンジンの高温部の温度を下げるためでしょう。
次は1981年型。
これは1982年シーズン前に試乗に供された1981年型で、シリンダー/シリンダーヘッドの外形は1980年型と同じです。
これはマングのマシンで、シリンダー/シリンダーヘッド外形はマングの1980年仕様によく似ていますが、排気管路の角度が上のエンジン(1982シーズン前試乗車)と異なります。
Kawasaki RACERS では次のように記述されており、1980年と同様、現地製作のシリンダー/シリンダーヘッドが使用されたと考えられます。
As in the previous season, Mang and his engineer Sepp Schlögl developed their own cylinders, pistons, crankshafts and exhaust pipes.
(続く)