レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。
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伊藤真一さんが富士スピードウェイでCB125R(15PS/10000rpm)の最高速を測定したデータです。
【最高速】DOHC化されたホンダ CB125R で伊藤真一が本気の最高速チャレンジ! - YouTube
124km/hでした。計算するとこの時のエンジン回転数は10400rpmです。
風向・風速が分りませんので、これからの記述は参考程度にしてください。
以前に近兼マシン、15PSと称していたような気がしますが、実際はどれくらいなのでしょう?
カブエンジンをベースにしているとはいえ、内部にかなり手が加えられ、スーパーチャージャーも装着されたエンジンですから、少なくとも10PSは出ているのではないでしょうか?
仮に近兼氏の50㏄マシンとCB125R+伊藤真一のCdA(空気抵抗係数✖前面面積)が同じとしましょう。
近兼氏の50㏄マシンの出力は、CB125Rの出力15PSに(117/124)の3乗を乗じて12.6PSになります。先の数字と近い値ですね。
したがって、近兼マシンは、バックミラー、方向指示器、リアフェンダー、ナンバープレートを装着し、小さなフェアリングすら装着していないCB125RとCdAがそんなに変わらないことになります。
2台の前部を重ね合わせてみました。
ヘルメット高は、近兼マシン:80cm、CB125R:120cmあたりです。前車の方が平均幅が広いようですが、明らかに前面面積は前車<後車です。
となると、Cd:前車>後車になります。
一見するとCdが小さいようですが、車体後部の前側が開口しており、矢印から風が進入してしまいます。ライダーの後にドラッグシュートを引っ張っているようにすら見えてしまいます。
設計者はカウル内部に空気を流した方がよいと考えたのでしょうか?
また、車体後半分外面は滑らかに見えますが、表面積が大きく空気の摩擦抵抗が大きくなってしまっています。
JFRMCブログ 50㏄世界最速は117km/h?(2) (tou3.com) で、スーパーカブC125、モンキー125との比較もしましたが、近兼マシンが117km/hしか出せない理由はこんなところかなと思います。
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正直に言うと私は近兼氏の取り組みに否定的です。
製作したマシンのクラス分けについて触れず、117km/hという低レベルの数字を「50㏄世界最速」と謳っているからです。
50㏄最高速記録挑戦、世界GP50㏄はもちろん、ミニバイクレース、スクーターレースの参加者、マシン製作者を侮辱しているとさえ感じます。
提灯記事をそのまま流す専門誌のサイトも同罪ですね。

1960年代のスズキ50㏄GPレーサーの出力、最高速の数値はこちらにあります。
スズキ・ホンダ・ヤマハ・他のマシン諸元と性能 (iom1960.com)
記事をまとめられた中野氏によると「出力は後車軸相当」です。つまり変速機出力軸と動力計をチェーンで結んで測定したものです。変速機+チェーンの伝達効率を0.87とすると、クランク軸換算出力はこれの1.15倍になります。
また、最高速はスズキテストコースでの測定ですので、1964年までは米津浜、1965年以降は竜洋での測定です。当然、直線がさらに長ければ、もう少し最高速が伸びるでしょう。
最高速は出力の1/3乗に略比例しますので、1962年型スズキRM62の最高速を117km/hに落とすためにはクランク軸出力を6.0PSに落とせばよいことになります。ただし、速度が低くなるほど転がり抵抗の影響を無視できなくなりますので、実際にはもう少し出力が必要です。
さて、近兼氏のマシンは「スクータークラス」だそうですので、と125㏄アンダーボーンのスーパーカブC125の富士スピードウェイでの最高速と比較してみます。富士のホームストレートは昔は若干下り坂だった記憶ですが、ゼロヨンはともかく最高速にはあまり影響しないとします。
また、最高速度記録時と現在のマシンの出力等が同じかどうかわかりませんが、現モデルの出力も記載しました。
ホンダ スーパーカブC125 9.8PS/7500rpm 107.4km/h
参考
ホンダ モンキー125 9.4PS/6750rpm 113.8km/h
出典
計算上、この最高速記録時にエンジン回転数は現モデルで
カブC125 7850rpm(最高出力回転数の1.05倍)
モンキー125 8000rpm(最高出力回転数の1.19倍)
程度です。
カブの回転数はほぼ適切ですが、バックミラー、方向指示器、レッグシールド、後フェェンダー等を取り外し、最終減速比を見直し、後席に座り座面を低くし前傾姿勢を強くすれば、117km/h程度は楽に出そうに思います。
モンキーは現状でも回転数が上がりすぎですので、最終減速比を変更し、バックミラー、方向指示器、後フェンダーを外せば120km/hは確実に超えるでしょう。
要するに近兼氏の「スーパーチャージャー付50㏄エンジンのマシンで117km/h」の価値はこの程度だということです。
それにしても、このマシン
時価総額3000万円、125ccで時速200km!? 「世界最速の原付バイク」が秋田サーキットで走行テストを公開 | バイクのニュース (bike-news.jp)
ライダーが伏せれば伏せる程、ライダーの後ろにある「ドラッグシュート」の性能が向上するように見えます。
なお、「時価総額3000万円」とありますが、「時価」は市場価格とほぼ同義だと思います。低レベルのマシンに注ぎ込んだ金額は「時価」ではありません。

50ccバイクで時速117キロ! 映画監督の近兼拓史さん、世界最速の自己記録、非公認ながら更新|丹波|神戸新聞NEXT (kobe-np.co.jp)
スタッフたちと抱き合って喜んだ近兼さん。「日本の技術、メード・イン・ジャパンのすごさを証明できた」
低レベルな「世界最速」ですね。記事も低レベルですが。「日本の技術、メード・イン・ジャパンの酷さを証明できた」ではないかと思います。
こちらは1965年に200kmを越えています。
Teardrops on the salt (1966) - Maarten's Kreidler Club!
January、1966とありますが、これは雑誌の発行月です。
その映像
記録車のカテゴリーが異なるのでしょうが、今回の記録、1965年から58年後に117km/hとは低レベルです。
最高速度域での走行抵抗を空気抵抗のみ、空気抵抗(kgfまたはN)は速度の2乗に比例するとすると、最高速度は出力(PSまたはkW)の1/3乗に比例します(1/2乗ではありません。)
ですから117km/hを200km/hにするためには出力を5倍に、224km/hにするためには出力を7倍にする必要があります。
このことからすると、近兼氏のマシン、エンジンだけでなく車体にも大きな問題があるようです。
某駐屯地に置かれていました。
当時のパンフレットから
今なお人気で価格も高騰中! 誕生40周年を迎えたヤマハ・RZ250ヒストリー【2020年で○周年!のモデルたち】 | モーサイ (mc-web.jp)
塗装等では前フォークぐらいしか違いが分かりません。当時、300台限定だったということですが、オリジナルの塗装のままなのでしょうか?
輸出用にこのカラーリングのものがあったようですが、今回のもののバックミラーは国内仕様です。
駐屯地所在地の管轄陸運局とは遠く離れた陸運局のナンバープレートでしたので、転勤族の幹部自衛官の愛車なのかな?