レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。
ここ数年、スポーツ番組でよく聞くフレーズです。
こちらの辞書 gear upの意味・使い方|英辞郎 on the WEB (alc.co.jp)
では
〔自動車などの〕ギアを高速にする
〔~に備えて〕準備をする
とあります。
一つ目の意味から転じて、陸上の長距離トラック競技で「速度を上げる」意味ならよく分ります。しかし、例えば野球で先頭バッターに2塁打を許したピッチャーが三者連続三振で切り抜けたことを「ピッチャーがギアを上げた」と表現されると違和感があります。
4速は3速と比べて、エンジン回転数が同じなら高速ですが、等速走行からスロットルを開けた時の加速度は小になります。
ピッチャーが速球の初速を上げるために腕の加速度を上げるなら、ギアダウンが必要なのではないでしょうか?
また、野球に限らず、坂道を困難に例えるなら、困難に打ち勝つためには「ギアダウン」が必要なことも多いでしょう?
レースの世界でライダーがレース中にラップタイムを上げてことを「ギアを上げた」と表現されたらおかしく感じるでしょう? レース中は変速しまくりですし、何速だからラップタイムが遅い、早いというわけではないからです。
さて、こちらのgear up は辞書の2番目の意味です。
"Just excited to face that lineup," Shohei Ohtani is all geared up to face the United States at the WBC Finals 2023 (firstsportz.com)(WBCメキシコ戦後=アメリカとの決勝前の記事)
ひょっとしたら、英語の野球中継で「gear up」を聞いた日本の放送関係者が、これを変速機のギアアップと思ったのかもしれません。
さて、詳しく調べた訳ではなく個人の感想ですが、「準備をする」意味は飛行機用語からかと思います。つまり(landing) gear up→降着装置を上げる(引込脚を仕舞う)です。
ですから「準備をする」といっても長期的な準備ではなく、何かの直前の状態です。絶好機に4番打者がバッターボックスに入ることもギアアップでしょう。
(参考)
gearには歯車以外に、装置、装備という意味があります。私はvalve gear で装置という意味を知りました。 PR