レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。
こういう人にとって、電動航空機は物理の法則を逆転させるものなのでしょう。そうでないとこういう結論にならないと思います。
元のSKYDRIVEの資料
Invited202202_SkyDrive.pdf (toyota-ti.ac.jp)
についてもいろんな方が指摘されていますが、私は騒音について考えてみます。
ヘリコプターの騒音の大部分がメインローター回転音、テールローター回転音です。次の文献の図ー1参照。dBの加算方法を知らない方は見ても無駄です。
ja (jst.go.jp)
「空飛ぶ自動車」であっても物理の法則に従って飛ぶ以上、既存のヘリコプターと同程度の重量で、ローターの回転速度(m/s)が同程度なら、同程度の騒音になると考えるべきです。
さて、SKYDRIVEがいう「都市上空150mで65dB」はどこから来たのでしょうか?
SKYDRIVEの試作機は1人乗りのSD-03しか完成していませんし、これは高度150mを飛行していないはずです。
SD-05は製作着手したかどうかはわかりませんが、完成する前に新仕様に変更されました。
SkyDriveの空飛ぶクルマ、仕様変更等を発表 搭乗人数が2名から3名へ - ドローンジャーナル (impress.co.jp)
飛んでもいないのにどうやって騒音を求めたのでしょう? おそらく同社のドローン・Skyliftのデータではないかと推測します。この機種の騒音データは見当たりませんでしたがが、これより少し大きな他社ドローンの騒音測定結果がありました。
ロジクトロン/最大積載量55kgの大型運搬用ドローンによる物流実証実験を実施|株式会社ロジクトロンのプレスリリース (prtimes.jp)
機体重量 22.5kg
全長・全幅 3.19m
試験時積載物 水50kg
騒音
高度15m直下 110dB
高度25m直下 80dB
どちらも1桁目がゼロという騒音値ですので、1桁目を丸めている可能性がありますね。また、全長・全幅3.19mに亘って騒音源がありますので、15m直下では拡散した騒音がかなり重複します。
そこで25m直下の騒音80dBを基準にして150m直下での拡散騒音を計算すると64.4dBになります(空気吸収減衰は未計算)。
このドローンはSkyliftより少し大きいのですが、SKYDRIVEが主張する数字とほぼ同じ数字になりました。
さて、2機種のヘリコプターの騒音レベル(dB)の差は、log(機体重量比)に略比例します。
SD-05(3人乗り) 最大離陸重量 1400kg
ロビンソンR44 Cadet Maximum Gross Weight 998kg ※1
仮にR44 Cadetの上空150m直下の騒音レベルがローターのみで80dBなら、SD-05では81.5dBぐらいになります。
さらに、SD-05のローターの総回転面積がR44より少し小さいにも関わらず重量が大きいことから、ローターの回転速度(m/s)はR44より速くならざるを得ず、騒音はさらに大きくなると推測されます。
ですから、原動機の差を考慮しても※2、SD-05の騒音がR44 Cadetより小さくなるとはとても思えません。
それにしても、SKYDRIVEの資料、正しいところがあるのでしょうか?
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※1 R44 Raven Ⅰは4人乗りで、しかも乗員+荷物で351㎏を許容しているので、SD-05の比較対象としては大きすぎます。371㎏を許容するRaven Ⅱも同じです。そのため、2人乗りですが、乗員+荷物で220㎏を許容するのR44 Cadetを比較対象にしました。
※2 前述のようにヘリコプターの騒音源は大部分がローターブレードです。
80dB+70dB→80.4dB
80dB+75dB→81.2dB
ですから、原動機の差は騒音にあまり影響しません。
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