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真の最高速は、加速が終わり速度一定になった状態、かつ最高出力を発揮した状態の速度とします。しかし、サーキットで記録される最高速は直線部分がそれほど長くないため、加速する余力を残した状態で減速せざるを得ません。ですから、サーキットでの最高速には車重(以下、体重を含む)も大きく影響します。
しかし、真の最高速に影響するのはCdA(空気抵抗係数Cd×前面面積A)と最高出力で、車重はあまり影響しません。1989年以前のルマン24時間レースではHunaudièresストレートにシケインがなく直線長(緩いベンドを含む)が約5.7km※1もありましたので、真の最高速に近い速度が記録されたのではないかと考えます。
1967年のルマン24時間に出場したポルシェ910、907は何れも2リッター水平対向6気筒で最高出力は220PSでした。
CdAは
910(ショートテール) 0.462㎡(推定※2)
907(ロングテール) 0.352㎡
ルマンでの最高速は
910 267km/h(推定、出典では907は910より30km/h近く速く、とある)
907 295km/h
(出典:「ポルシェ 906/910/907/908/917」(檜垣和夫、二玄社2006)
真の最高速は出力/CdAの1/3乗に略比例しますので、910を基準にし、そのCdAを907と同等にすると
267×(0.462/0.352)^(1/3)=293 km/h
実測値とほぼ同じ数字になります。もちろん、最高速は風向・風速、気温(出力、空気抵抗)等々の影響を受けるので、計算値と実測値の差が2km/h程度しかないというのは奇跡的です。
※ wikipedia、toyotagazooracing.comでは約6kmとなっているが、google(下)では5.7km程度に見える。
※2 出典の次の数値、記述を参考にした。
906 空気抵抗係数0.346
910ロングテール仕様 前面面積1.319㎡
「910~ホイール径が13インチとなり、前面投影面積が減ったにもかかわらず、空気抵抗は906とさほど変わらなかった。つまり空気抵抗係数は906より悪化していたのである」