EVアンチが指摘する「ガソリン車よりトラブル多い」って本当?JAFの調査で分かった実情 (msn.com)
「2024年5月には月662件の出動要請があり、理由としてもっとも多かったのは「タイヤのパンク、バースト、エアー圧不足」(242件、36.6%)だった。 これだけを見ると「BEVはバッテリーを積んでいて重量があるからタイヤのトラブルが多いのだろう」と思われるかもしれないが、実はそうでもない。ガソリン車やハイブリッド車も含んだ4輪車全体の出動要請理由(2024年5月)を見てみると、「タイヤのパンク、バースト、エアー圧不足」は一般道の22.3%、高速道路の41.6%を占めていた。タイヤのトラブルはEVに固有の不具合ではなく、あらゆる車種に共通するものだと言えそうだ。 」
EV(電気自動車)と四輪車全体、それぞれの出動理由別の割合(%)を比較していますが、何の意味があるのでしょうか? そもそもEVと四輪車の国内保有台数、JAF出動数が異なるのですから、互いの出動理由比率の比較は無意味です。
また、「タイヤのトラブルはEVに固有の不具合ではなく、あらゆる車種に共通するもの」
なのは小学校高学年でも分ることで、ジャーナリストがご高説を垂れるようなことではありません。
という訳で、次の記事を書きました。
「EVがガソリン車よりトラブル多い」って本当? (ninja-x.jp)
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正しい手順は以下の通りです。
・1. 車を完全に停止させる
・2. シフトレバーをパーキングに入れる
です。
また、トヨタ・ヤリスの取扱説明書では
1.シフトレバーはDのまま、ブレーキペダルを踏み、車を完全に停止させる
2.パーキングブレーキをかけて、シフトレバーをPにする
ですので、ベストカーの記事と同じです。
最初の記事はライター氏の勘違いでしょう。私の車は2台とも6MTですので関係ありませんが。
「速度の2乗」で増える空気抵抗 アリエル・アトム 4 効果絶大のスクリーン トンネルでテスト(AUTOCAR JAPAN) - Yahoo!ニュース
「さらに空気抵抗は、速度に対して約2乗で増える。速度が2倍になったら、空気抵抗は約4倍に増える。3倍まで加速したら、約9倍に増加する。65km/hで走るのに40psが必要だとした場合、195km/hで走るには約360psが必要だということ。これは単純計算ではあるものの、空力特性の改善へ多額の予算が割かれることを納得させる物理の法則だ。」
物理の法則を理解していない方が書いた記事です。
速度の2乗で増えるのは空気抵抗(力(ちから))。
出力=力×速度なので空気抵抗に対応する出力は速度の3乗に比例します。
記事は誤りですし、平坦路時速65kmで40PSも必要な普通乗用車はありません。
マツダロードスター(1.5リッター、モデルチェンジ前132PS)の65km/h時の空気抵抗出力を3.5PS、転がり抵抗出力を3PS程度としますと、最高速204km/時には各々108PS、9PS、計117PSになります。65 km/hの抵抗に相当する出力の18倍です。27倍にはなりません。
なお、204km/hでのロードスターのエンジン回転数は5速で6600rpm程度で、この時の発揮可能出力は126PS程度です。
参考 (131PS仕様、頁名が技報でなく技法になっているのがマツダらしい)
マツダ技法32_150216 (mazda.com)
EV・ハイブリッド車人気の陰で、「天然ガス自動車」がいまいち普及しないワケ(Merkmal) - Yahoo!ニュース
~天然ガス自動車(NGV)を忘れてはならない。
NGVは、
・液化石油ガス(LPG)
・圧縮天然ガス(CNG)
などのガスを燃料としている。
NGVの概要として、LPG車は主にタクシーや一部の商用車に使用され、CNG車はバスやトラックなどの大型車に使用されることが多くなっている。
ライター氏さん、LNG(液化天然ガス)=LPG(液化石油ガス)という認識のようです。
天然ガスの主成分はメタンですが、石油ガスにはプロパン主成分のものとブタン主成分のものがあります。
ライター氏さんの知識レベルが分るので助かります。
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さて、「ガソリンやディーゼルよりもCO2排出量が少ないことだ」について考えます。
元記事がネタにしていると思われる東邦ガスの記事
天然ガス自動車の環境性 | 天然ガス自動車 | 東邦ガス (tohogas.co.jp)
では次のように条件(赤字)付きで比較しています。
ガソリン車との比較
「現在、都市内を走行している天然ガス自動車をガソリン車と比較すると1~2割のCO2排出量削減効果があります」
ディーゼル車との比較
「大型トラック(車両総重量12t超クラス)の平成27年度燃費基準適合ディーゼル自動車と比較して、高速走行を主体とした使用方法により、概ね10%以上のCO2排出削減が可能な大型天然ガストラックが販売されています。」
「都市内を走行」は、単に「天然ガス自動車は航続距離が短いので都市内走行用車が多い」という意味だと思いますが、「高速走行を主体~」は特別な意味があると考えます。
ディーゼルエンジンはガソリンエンジンより圧縮比が高く熱効率が高いといわれますが、現在ではガソリンエンジンの圧縮比も高くなり、それぞれの最高熱効率の差はかなり小さくなりました。
差が大きいのは部分負荷時、例えば60km/h以下でのんびり走るような条件です。このような条件では、ガソリンエンジンではスロットルバルブを絞ることにより吸入空気量を制限してトルクを抑制する(ポンプ損失大)のに対し、ディーゼルエンジンでは吸入空気量は制限せず(ポンプ損失小)燃料だけを絞ってトルクを抑制します。
天然ガス自動車はガソリンエンジンと同様にスロットルバルブで吸入空気量を制限します。高速走行のようにエンジンに負荷を掛ける条件では、スロットルバルブを開けるためポンプ損失が少なくなり、ディーゼルエンジンに対抗できるのですが、市街地では天然ガス自動車のポンプ損失が大きくなり(熱効率低下)、燃料中の炭素分がディーゼル車の軽油より少ないとはいえ、CO2排出量がむしろディーゼル車より多くなってい可能性もあります。
環境省がまとめた資料 LEV_chapter1.pdf (env.go.jp) 5頁では「CO2 排出量についても、ガソリン車より 2 ~ 3 割少なく」とあり、ディーゼル車との比較がないのはこのためだろうと推測します。
また、東邦ガスが「高速走行を主体とした使用方法により、概ね10%以上のCO2排出削減が可能な大型天然ガストラックが販売されています。」としているのは、「高速走行だけならCO2排出削減が可能です。大型天然ガストラックは後続距離が短いので、高速走行で長距離移動することはないけど」という意味でしょうか?
ディーゼル車代替としての天然ガスバス、天然ガス配送車を見かけます。窒素酸化物、粒子状物質がディーゼル車より少ないメリットは大きいと思いますが、これらが高速で長距離移動することは珍しく、CO2削減効果については疑問があります。