レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。
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Carlos Lavado Yamaha YZR250 | With Phil Anysley | MCNews
のYZR250-B-602ですが、フレーム右側のこの部分が溶接で付加されています。

下のシーズン前公開写真と比較すれば違いが明白です。
そして、実戦の写真、映像で確認できた限りでは、ラバード、ヴィマー、平の0W82はいずれもシーズン前公開写真と同じでした。
ラバードの601は、日本GP及びフジスーパースプリントでもシーズン前公開写真と同じでしたし、私が1988年に見た601も同様です。
602は第6戦オランダではシーズン前公開写真と同じでしたが、第7戦~第10戦では不明です。第11戦(最終戦)サンマリノの不明瞭な映像からはシーズン前公会写真と同じように見えます。
現存する602の溶接跡は、世界GP後のテストのため、あるいはヤマハの手を離れた後の補修のため、いずれかによるものだと思います。
1986年全日本選手権では、長谷川嘉久、片山信二に0W82が与えられ、シーズン終盤には奥村裕が復帰し、0W82勢に加わります。
全日本で走った0W82は基本的にパワーバルブ仕様のようで、今のところ無パワーバルブ仕様は確認できません。
第3戦菅生
1分35秒あたりで、ゼッケン2(片山)、ゼッケン98(長谷川)の0W82にパワーバルブコントローラーから伸びる2本のケーブルが見えます。
第5戦筑波
32秒あたり。
片山の0W82はパワーバルブです。
第8戦筑波
18分33秒あたり。
片山の0W82はパワーバルブです。18分44秒あたりからすると、長谷川の0W82もパワーバルブのように見えます。
日本GPでは片山、長谷川、奥村が出場しましたが、映像からすると片山、長谷川のマシンはパワーバルブエンジンのようです。

ヴィマーの0W82のパワーバルブの有無です。
第1戦スペインGPレース後、ヴィマーが「ボクはパワーバルブの付いていないほうのマシーンを使っていたんだ」と語っています(グランプリ イラストレイテッド1986-7)。
しかし、その後のレースでの状況はよくわかりません。
世界GP前のミサノ(イタリア)のレース(プラクティスかどうかは不明)。
Martin Wimmer (highsider.com)
無パワーバルブ
オランダGPプラクティス ゼッケン4T(おそらく)YZR250-B-604
Martin Wimmer (highsider.com)
無パワーバルブ
ラバードと異なり、ヴィマーのマシンの写真は少ないのですが、ラバードと同様、無パワーバルブエンジンを多く使用したようです。
平選手については、下の平選手のインタビュー記事、そして少ない写真等からすると平選手はパワーバルブエンジンを使用することが多かったようです。
「彼(ラバード)の場合は、ヤマハの二タイプのエンジン、パワーバルブ付きと無しと。それで自分が乗った時、どうしても低速コーナーでバルブ付きが欲しいと思った所で、ラバードは高速仕様のバルブ無しを使ったりね。それで半クラッチを多用する~我々とは違うテクニックがある」(平忠彦写真集 きらめく汗のむこうに」(角川書店1987)
参考まで、オランダGPプラクティスでのおそらくパワーバルブエンジンの(おそらく)YZR250-B-606。
Tadahiko Taira (highsider.com)
下は第7戦ベルギーGPプラクティスの映像で、平選手が7:06 9:49 11:05 11:56あたりに登場しますが、無パワーバルブエンジンのようです。

世界選手権後のレースでは、
日本GP(鈴鹿)は601に乗り優勝。
スーパースプリント(富士)ヒート2は601に乗り優勝。
下は日本GPのレース映像から切り出したもので、パワーバルブコントローラーから延びる2本のケーブルが見えます。
テールカウルに1本線があります。
なお、ライダースクラブ誌1986-11では「~予選ではYPVSなしで2分20秒493の1位、レースではYPVS装備で格闘戦に備えながら~」とあり、レースではYPVS(ヤマハ・パワー・バルブ・システム)エンジンが使用されたとしています。
フジスピードウエイで行われたフジスーパースプリントは2ヒート制で、雨のヒート1でラバードがどちらのマシンに乗ったか確認できませんが、ドライになったヒート2で601に乗り優勝。
高速コースのフジであれば無パワーバルブエンジン/602が適していたと思われますが、ヒート1は雨だったので601を選択し、ヒート2もそのまま601に乗ったようです。
ヒート1とヒート2でマシンの変更がレギュレーションで認められなかったのかどうかは分りません。
(続く)