レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。
これら実戦写真で確認された3種のフレームのうち、B改修型(補強型)はシーンのみが使用したようです。ロバーツ用のこのフレームは確認できていません。
第6戦オランダの車検時、ロバーツのマシンが3台あります。手前からA型、B型、C型のような気がします。第6戦以降、ロバーツはA型フレームを使用しなくなり、B型とC型のみを使用したと仮定します。
第6戦オランダ、第7戦ベルギーではB型が使用され、第8戦サンマリノは欠場、第9戦イギリスで初めてC型が、第10戦フィンランドではおそらくC型が、第11戦(最終戦)はC型が使用されました。
C型は、オランダでシーンにも与えられ、ベルギーのプラクティスでC型も使用していますが、シーンはこのフレームを好まなかったようで、B改修型をよく使用しています。
また、シーズン後半、高井幾次郎が参戦しますが、高井のマシンはC型のみが確認できます。
フレームだけでなく、ステアリング・トップブリッジ(三又の上側)も外観上、3種あります。これは第3戦イタリアのプラクティス時のロバーツのマシン。シーズン前公表写真のものとよく似ています。これを仮に1型としましょう。
これは第9戦イギリス(レース時)のロバーツのC型フレーム車。オフセットが小さく、前フォークを締め付けるボルトが付く部分が前に突き出していません。これを2型とします。
そして、3型。下のオランダ・プラクティス時の2台のマシン共、トップブリッジが1、2と異なり平板状で、オフセットも小さい。なお、前述のように手前のB型フレーム車がレース本番で使用されました(スタートできず)。
ベルギーでもB型フレームに3型を装着しレース出場しましたが、イギリスではC型フレームに2型が装着されレースに出場しています。
シーンは1型を好んだようです。
この1~3型ですが、さらに細かい寸法が異なる派生型があると思われます。
(続く)
ヤマハ0W54のフレーム等についての書籍等の記述をまとめました。
1 MOTOCOURSE1981-82(Hazleton Publishing 1981)
500㏄第4戦フランス ”Yamaha had produced two new bikes, one for Roberts, and one for Sheene. Basically very shimilar to that used by Kenny for the first three Grands Prix, the engines were mounted a little lower in the frames”
500cc第5戦ユーゴスラビア "Although using the second frame developed for the discvalve machine, Kenny Roberts was still certain that the engine was placed too high in the frame which overwokred both the susupension and and the tyres.」
500㏄第6戦オランダ "Barry Sheene and Kenny Roberts also had something new for Assen in the form of new frames for their square fours that mounted the engine lower in answer to some o their criticisms about the machines' handling characteristics."
2 ライダースクラブ誌(枻出版社)
1981-9 オランダ「足廻りの改良を主たる新フレームをケニーのために持ち込む」
1981-10 ベルギー「予選2番手は、スクエア4のYZRをようやくスペアマシンまで揃えてもらったB・シーン~」
3 MOTORCYCLE RACING '81(枻出版社1982)
ユーゴスラビア「フレームを改良したマシンをユーゴに持ち込んだ。しかし、ケニーによればまだエンジン位置が高すぎ、サスペンションとタイヤの両方にオーバーワークを強いると指摘する」
オランダ「主に足廻りの改良を施したニューフレームYZRをケニーに託す」
4 RACERS Volumu19 RGΓ 500㏄タイトル奪還の使者(三栄書房)
22頁「ユーゴスラビアGPにヤマハはエンジン搭載位置を下げたニューフレームを投入してきた」
MOTOCOURSEの記述を主にストーリーをまとめると、
(1) 第4戦フランスで新型フレームのマシンが2台登場、1台がロバーツ、1台がシーンに与えられた。シーンがシーズン当初0W53(並列4気筒)に乗り、第4戦フランスGPから0W54を与えられたことはよく知られているが、フランスGPでシーンに与えられた0W54はこの新型フレーム1台のみ。
(2) MOTOCOURSEの第5戦ユーゴスラビアの記述は(1)で登場したマシンについてのもの。ユーゴスラビアで登場したとは書いていない。
(3) 第6戦オランダでさらに新新型フレームが登場。この頃にはシーンも2台体制になっていた。
MTORCYCLE RACINGのユーゴスラビアGPの記述は、MOTOCOURSE(あるいはその出典)を訳したものと思われます。ただ、フランスGPでのフレームの記述がないために、新型がユーゴスラビアで登場したかのような記事になってしまったようです。あるいは出典のフランスGPの記事を読まなかったのかもしれません。RACERSの記事もこのMOTORCYCLE RACINGの記述を参考にしたものではないでしょうか。
(続く)