レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。
タイトルの雑誌が23日に発売されています。1982年のRS1000RWから1985年のRVF750までのホンダV4レーサー特集です。市販車のエンジンとしてV型4気筒を採用し市販に至る過程にについての記述が少なくなく、レーサーそのものについての記述が不足気味とは感じますが、いつものように「買い」です。
私が4ストロークV型4気筒の排気音を聞いたのはホンダNR500が最初です。4輪のV型6気筒エンジンと異なる異様な排気音が印象的で、1983年のRS850Rでも排気音に慣れず、1984年のRS750Rで何とか「これはこれであり」という印象になった記憶です。あの頃の裏側がかなり明らかにされたのが嬉しいですね。
さて、V型4気筒の慣性力の釣り合いについて、23頁に「やっぱり90度っていうのは振動バランスが大変にいい訳です。一次振動で完全バランスするんですね。直4は多くの場合、振動を軽減する部品を装着する必要があるんですね。エンジンをラバーマウントするとか~でもV4にすればそういうことをする必要がない。」
また、52頁にも「基本的にV4エンジンは、シリンダー挟角90度なら前後シリンダーの一次振動が完全バランスして低振動であり~」とあります。
並列4気筒の1次振動は完全バランスしますが、360度クランクの90度V型4気筒の1次振動は完全バランスではありません。前後気筒のコンロッドが左右にずれている分、わずかに偶力が残ります。
一方、2次慣性力(1次慣性力の約1/4)については、並列4気筒では各気筒の不釣り合いが全て同じ方向(上下)を向くのに対して、V型4気筒では前後で不釣り合いの向きが90度ずれます。したがって、不釣り合い合計は
並列4気筒:1×4=4
V型4気筒:(2の2乗+2の2乗)の平方根=2.83
で、V型4気筒は並列4気筒の70%程度になります。360度クランクのV4が並列4気筒より振動が少ないとすれば、これが主因でしょう。
ところで81頁の84鈴鹿8耐でのワイン・ガードナーの走行写真で、RS750Rのメーター横面に「4809」と書かれていますが、これはフレーム番号の”RS750RF-4809”を表しているのでしょう。レースでは部品を他車のものと区別するためにフレーム番号(の一部)を記入することがあります。4809はガードナーがレースで用いたマシンです。
http://jfrmc.ganriki.net/rs750/rs750-84.htm
昨日公開しましたタイトルの記事
http://jfrmc.ganriki.net/ow74/ow74.htm
ですが、鈴鹿8時間の記事中に誤りがありました。訂正しお詫びします。
誤「ゼッケン21Tにもフレームパッチがないが、全日本選手権で当初使用されたパッチ無の改良型(別タイプ)と思われる。」
↓
正「ゼッケン21にもフレームパッチがないが、全日本選手権で当初使用されたパッチ無の改良型(別タイプ)と思われる。」
また、フレームパッチが分かりにくいというご意見をいただきましたので、次に箇所に写真を追加しています。
・シーズン後公開マシン(全日本選手権仕様)
・現存するマシン
ところで、フジミから発売される0W74(FZR750)のプラモデルですが、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B004WBC10U/harumakisdigi-22
からすると、現存するマシンをそのままモデル化したようですね。
このプラモデルはフレームパッチ無、スイングアームパッチ無ですから、
・鈴鹿8時間決勝を走ったマシン(プラクティスでは21T)ではなく、プラクティスでゼッケン21だったマシン
・このマシンは、プラクティスの後半はスイングアームパッチ有なので、おそらくフリープラクティス限定仕様になる。プラモの後輪は18インチですが、21がプラクティスで後輪18インチを使用したのであれば。
まあ、レーシングマシンは同機種名であっても仕様が異なることが珍しくありません。プラモデルでは雰囲気が楽しめればいいと思います。
ただ、テールカウルの「YAMAHA」だけは「TECH21」にした方がいいでしょう。