忍者ブログ

JFRMCブログ

レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。

スズキXR34M1とXR34M2(5)

 XR34M2とされるイアン・キングのXR34Mを見ていきます。

車体左側
車体右側

 フレーム形状、スイングアームの縦パイプの位置が左右で異なること、スイングアームのプッシュロッド取付部の穴、そして後サスペンションのロッカーアーム(車体左側写真を拡大してください)からすると、このマシンは第2戦スペインで登場したXR34M1にしか見えません。
 

 次に、前に紹介したこちらのXR34
British GP and Senior TT winning XR34 Suzuki | MCNews
は、記事ではこのマシンをXR34M1で「The bikes debuted at the second round of the season at Jarama in Spain」としていますが、フレーム形状、スイングアームの縦パイプ位置からするとXR34M2にしか見えません。


 ただ、シーズン後に雑誌取材に供されたXR34M2のストリップ写真


のマシンとは次の箇所が異なります。

(1) 後サスペンションロッカーアームがアルミ合金製

(2) スイングアームのプッシュロッド取付部にXR34M1のように小穴がある

(続く)

PR

スズキXR34M1とXR34M2(4)

 下左は500㏄第7戦イギリスでのマモラのXR34M。レース中かプラクティス中かは不明。右に比較のためオランダでのマモラのマシンの写真を示します。

 イギリス              オランダ 
 
 フェアリング向かって左上のボルト(クイックファスナー)の位置が異なります。
 また、後サスペンションのロッカーアームビボットの前のパイプが左のマシンでは見当たりません。
 このマシンのフレームはシーズン後に雑誌の取材に供されたB型(下)と同型です。

 RACERS Volume 12(2012三栄書房)57頁のXR34Mは同じイギリスGPで撮影されたものですが、これと同一個体と思われます。
 
 そして、これと同型のマシンは500㏄第6戦フィンランド以前では確認できません。

 ですから、前に紹介したMOTOCOURSE 1980-81のイギリスGPの記述
 He(注 Mamola) had a new machine for Silverstone~. The new frame for his RG500 Suzuki was slightly lighter as it had two less tubes supporting the rocker arm pivot. More importantly, it had a slightly revised leverage ratio endowed the rear suspension with better rising rate characteristics.

は正しく、このB型フレームが500㏄第7戦イギリスで姿を見せたと考えられます。
 
 そして、A型は第2戦スペインで登場したことから、これが最初のXR34M、即ちXR34M1であり、500㏄第7戦イギリスで登場したB型がXR34M2と考えられます。

(続く)


スズキXR34M1とXR34M2(3)

  次にスイングアームのプッシュロッド接続箇所付近。
A型


B型(左側)    B型右側)
 
 
 A型にはプッシュロッド接続箇所の後側に穴がありますが、B型にはありません。

 そして、スイングアームの縦パイプとプッシュロッド接続箇所の位置関係が異なり、A型の縦パイプ位置が少し後です。 
 ただ、この違いは左スイングアームだけです。右スイングアームではA型もB型も縦パイプの位置はほぼ同じです。

 これは500㏄第6戦フィンランドでのマモラのXR34M。

 後サスペンションのロッカーアームピボットの前のパイプ、フェアリングステーの位置からフレームはA型と分りますし、左スイングアームの縦パイプ位置はA型と同じです。

 しかし、右スイングアームを拡大すると縦パイプの位置がB型と同じことが分かります。

 つまり、A型スイングアームは左右非対称で縦パイプの位置が左右で異なり、右スイングアームではB型と同じ位置で、左スイングアームではB型より後側にあるのです。

 さて、XR34Mが初登場した第2戦スペインでのマモラのXR34M。フェアリングステーの位置からするとフレームはA型です。


 
 スイングアームはA型です。

 同じく第2戦でのロッシとXR34M。

 映りが悪く、サスペンションのロッカーアームピボット付近はよくわかりませんが、フェアリングステーの位置からするとフレームはA型です。


 スイングアーム取付部付近。

 縦パイプ位置はB型と同じですが、前述のようにA型スイングアームは左右非対称なので不思議ではありません。

 次に500㏄第4戦オランダのスタート時のマモラのXR34M。

 フレームはA型で、スイングアームの縦パイプ位置はB型と同じです。

(続く)



スズキXR34M1とXR34M2(2)

 XR34Mは1980年第2戦スペインで登場しましたが、下は第3戦フランスGPでのマルコ・ルッキネリのXR34M。これを仮にA型としましょう。


 そして、これはシーズン後に雑誌の取材に供されたXR34M。これを仮にB型とします。


 後サスペンションのロッカーアームピボット付近を拡大すると、
A型


B型 

 ピボットから前に伸びるパイプがBにはありません。MOTOCOURSE 1980-81でイギリスGPで登場したとされるフレームに関する記述のとおりです。
 また、ロッカーアーム、クッションユニットも異なります。

 次にバックボーン部。

A型

B型


 略図で示すと
A型


B型


 ステアリングダンパーが取り付けられるパイプとシートレールパイプの位置関係が異なり、B型ではバックボーンパイプ前後でほぼ同じなのに対して、A型では段があります。
 また、略図上で白丸で示すフェアリングステー取付部の位置が異なります。
(続く)




スズキXR34M1とXR34M2

 XR34は1980年型スズキRGB500の機種記号で、XR34Mはフルフローターサスペンション車です。

 私が
XR34 SUZUKI (ganriki.net)
を書いたのは2003年7月です。もう18年以上経ったのですね。
 この記事の中でXR34M1とXR34M2の区別について触れていますが、現存するXR34Mに関する他サイトの記事では私の解釈とは逆の説明になっています。


Q&A with Top Fuel Motorcycle Champion Ian King | Dragbike.com
あるイアン・キング所有のXR34はXR34M2とされています。


 こちらのXR34MもXR34M2とされています。
(20+) モトサイクレットサワダ - 投稿 | Facebook

 さて、XR34M1とXR34M2という名称を(おそらく)世界で初めて記述したTEAM SUZUKI by Ray Battersby, Osprey 1982/Parker House 2008の234頁のストリップ写真のマシンはXR34M2とされています。

 私にはこれらのマシンは何れもXR34M1に見えます。

  そしてこちらのXR34はXR34M1とされていますが、私にはXR34M2に見えます。

British GP and Senior TT winning XR34 Suzuki | MCNews

 そこで
XR34 SUZUKI (ganriki.net)
を補足する意味でXR34M1とXR34M2の区別について詳しく触れます。

  まず、TEAM SUZUKIの記述を紹介します。

The first monoshock Suzuki was the XR34M1, first raced in Spain but quickly superseded by the later XR34M2.

  では、XR34M2はいつ登場したのでしょうか?

 MOTOCOURSE 1980-81では、500㏄第2戦スペインで登場したモノショックのフレームとは別の新型のモノショックのフレームがイギリスGPで登場したことが書かれています。

 He(注 Mamola) had a new machine for Silverstone~. The new frame for his RG500 Suzuki was slightly lighter as it had two less tubes supporting the rocker arm pivot. More importantly, it had a slightly revised leverage ratio endowed the rear suspension with better rising rate characteristics.

  これらの記述からすると、イギリスGPで登場したのがXR34M2と考えられます。
(続く)



カレンダー

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 4
5 7 8 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

リンク

カテゴリー

フリーエリア

最新CM

[12/08 野田]
[12/08 野田]
[12/08 TFR_BIGMOSA]
[12/06 野田]
[12/06 TFR_BIGMOSA]
[12/06 野田]
[12/06 TFR_BIGMOSA]
[12/05 TFR_BIGMOSA]
[12/05 野田]
[12/05 TFR_BIGMOSA]

最新記事

最新TB

プロフィール

HN:
野田健一
性別:
男性

バーコード

RSS

ブログ内検索

アーカイブ

最古記事

P R

カウンター

アクセス解析