レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。
動画57秒あたりでエンジン番号1001が見えます。TEAM SUZUKI by Ray Battersby, Osprey 1982/Parker House 2008によると、イギリスに残っていたヘイルウッドのXR22のエンジン/フレーム番号は1001/1006で、動画のエンジン番号はこれと一致します。ですから動画のマシンのフレーム番号は1006でしょう。
このマシンをRGB500とする記事もあります。RGB500はXR27(1979年型)とXR34(1980年型)の公表名ですが、1979年TTに出場したマシンですからXR27ということになります。
しかし、当時の記事でもヘイルウッドが乗ったマシンを1978年型、つまりXR22としていましたし、TEAM SUZUKIの記述もそうですし、何より今回の映像に写るエンジンはXR22に間違いありません。
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1967年マン島TTでホンダに乗り3クラス優勝したヘイルウッドはその後TTから遠ざかかり、11年後の1978年にマン島TTにカムバック、TT-F1でドゥカティに乗り優勝しました。
そして、翌1979年、TT-F1で再びドゥカティに乗りますが、前年の優勝レースタイムより3分近く遅いタイムで5位、ホンダRS1000に乗るアレックス・ジョージが新記録で優勝します。なお、TT初出場のグレーム・クロスビーがモリワキ・カワサキ1000に乗り4位入賞しました。
しかし、シニア(500㏄クラス)でヘイルウッドは1978年型スズキ500ファクトリーマシン・XR22(RGA500)に乗り見事優勝しました。
Mike Hailwood's 14th and final Isle of Man TT Win | Road Racing Legend - YouTube
そしてクラシックTT、ヘイルウッドのマシン選択肢はドゥカティとXR22でしたが、当然XR22を選びます。そして、レースはホンダRCB1000のジョージと一騎打ちになりました。
TTは2台ずつゼッケン順に10秒間隔でスタートするタイムレースですが、ヘイルウッドは3番目(ゼッケン6)、ジョージは5番目(ゼッケン9)スタートで、互いに相手を見ずにタイム上で大接戦を演じます。そしてジョージがそれまでのレース記録を2分30.4秒更新する2時間7.0秒で優勝、ヘイルウッドは彼にとって最後のTTで3.4秒差の2位でした。
U.K.: MIKE HAILWOOD FORCED INTO SECOND PLACE IN HIS LAST ISLE OF MAN T.T. RACE. - British Pathé (britishpathe.com)
次に、前に紹介したこちらのXR34
British GP and Senior TT winning XR34 Suzuki | MCNews
は、記事ではこのマシンをXR34M1で「The bikes debuted at the second round of the season at Jarama in Spain」としていますが、フレーム形状、スイングアームの縦パイプ位置からするとXR34M2にしか見えません。
ただ、シーズン後に雑誌取材に供されたXR34M2のストリップ写真
のマシンとは次の箇所が異なります。
(1) 後サスペンションロッカーアームがアルミ合金製
(2) スイングアームのプッシュロッド取付部にXR34M1のように小穴がある
(続く)
次にスイングアームのプッシュロッド接続箇所付近。
A型
B型(左側) B型右側)
A型にはプッシュロッド接続箇所の後側に穴がありますが、B型にはありません。
そして、スイングアームの縦パイプとプッシュロッド接続箇所の位置関係が異なり、A型の縦パイプ位置が少し後です。
ただ、この違いは左スイングアームだけです。右スイングアームではA型もB型も縦パイプの位置はほぼ同じです。
これは500㏄第6戦フィンランドでのマモラのXR34M。
後サスペンションのロッカーアームピボットの前のパイプ、フェアリングステーの位置からフレームはA型と分りますし、左スイングアームの縦パイプ位置はA型と同じです。
しかし、右スイングアームを拡大すると縦パイプの位置がB型と同じことが分かります。
つまり、A型スイングアームは左右非対称で縦パイプの位置が左右で異なり、右スイングアームではB型と同じ位置で、左スイングアームではB型より後側にあるのです。
さて、XR34Mが初登場した第2戦スペインでのマモラのXR34M。フェアリングステーの位置からするとフレームはA型です。
スイングアームはA型です。
同じく第2戦でのロッシとXR34M。
映りが悪く、サスペンションのロッカーアームピボット付近はよくわかりませんが、フェアリングステーの位置からするとフレームはA型です。
スイングアーム取付部付近。
縦パイプ位置はB型と同じですが、前述のようにA型スイングアームは左右非対称なので不思議ではありません。
次に500㏄第4戦オランダのスタート時のマモラのXR34M。
フレームはA型で、スイングアームの縦パイプ位置はB型と同じです。
(続く)