レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。
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市販車の方は1976年型で大きくモデルチェンジします。350㏄が400㏄になったのです。そして、クランクケース前側のフレームへのマウント部に、TZと同様、ラバーブッシュが嵌め込まれるようになりますが、これは鋳型の違いによるかどうかはわかりません。一方、他の部分のクランクケースの外形も変わります。
これは73-75RDのアッパークランクケース上面左側の形状。
76~RDは
、
撮影方向が違いますが、形状が変わったことが分ります。そして、TZでもおそらく同時期に同じように変化しました。
そして、ヤマハ250/350cc市販レーサーのクランクケース(2)で示した下のTZのクランクケース右側の赤で示したリブはRDのクランクケースでも76年型から姿を見せます。また、前側のフレームマウント部にもラバーブッシュが入ります。
青で示したネジ穴のうち左側のものは75年以前のRDでも付いているものがあります。右側のものは76年型から姿を見せます。パーツリストを見ると、76年型RDで右クランクケースカバー装着にこのネジ穴を使うようになります。
TZではこのネジ穴は用いられず、上の写真でも実際にはネジ穴は開いてません。一般市販車では必要で市販レーサーでは使わないネジ穴部分が市販レーサーにあります。
これらのことから、76年型以降のRDとTZのクランクケースは、少なくとも外形は同じではないかと思われたかもしれません。
(続く)
1 一般市販車DX250(DS7)/RX350(R5)
2 一般市販車RD250/350(1973~1975)
3 市販レーサーTD-3/TR-3(250/350cc)
4 市販レーサーTZ250/350(1973~1975)
のクランクケースの部品番号中、機種を示す番号は1と2が278で共通、3と4が328で共通です。
1、2と3、4のクランクケースの明らかな違いはエンジン前方のフレーム搭載部分です。
これはRX350のクランクケースのエンジンマウント部。
これはTD-3のロワクランクケースのエンジンマウント部。
TD-3ではマウント部の孔にラバーブッシュが嵌め込まれ、さらにエンジンマウントスペーサーがブッシュ内を通っています。そしてエンジンマウントスペーサーがフレームにボルトで取り付けられます。
一方、R5ではラバーブッシュはなく孔も小さい。ですから、少なくともこの箇所だけでDX250/RX350とTD-3/TR-3のクランクケースは共通ではないといえます。
ただし、この部分だけでは鋳造の型が異なるとはいえません。クランクケースのこの部分に関しては同じ型で、鋳造後の加工が異なるだけと思われるからです。
(続く)
「市販レーサー・TR3/TZ350のクランクケースはRX350(R5)と共通」という記事を見るようになったのはこの20年くらいでしょうか。記憶が曖昧ですが、このような記事に最初から違和感を感じていました。というのは昔は「市販車と市販レーサーのクランクケースは別」という記事だったのです。
これはオートバイ誌76-4号に掲載されたRD350にTZ350、TZ750のパーツを組み合わせたマシン。
車体がRDでエンジンは当初RX350をベースに初期型TZ750(公表は694㏄、ボア×ストロークからの単純計算では695㏄)の2気筒分のシリンダー周りを組み付けることから計画がスタートしましたが、結局、TZ350のクランクケースを使用することになりました。この理由は「クランクケースは当初RXのものを流用しようとしたが、ウォーターポンプがうまくつかない~またクランクケースの強度もRXとTZでは異なっているので、思い切ってTZのものに変更してしまったという。」ということです。
この記事以外にもTZのクランクケースは市販車のものに似ていても異なるものという雑誌記事を読んだ記憶があります。
これらはいわゆる与太話なのでしょうか?
(続く)
なお、写真のマシンのオーナーは「石井重行」となっていました。石井さんはヤマハを1976年に退社しスポーツショップイシイを開店したのですが、http://www.oxgroup.co.jp/oxgroup_site/history.htmlでは開店は1976年6月です。掲載されたのが1976年4月号(発売は3月1日?)ですから、開店準備を進めていた頃に取材協力したのでしょう。