忍者ブログ

JFRMCブログ

レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。

現存するKR250(3)



61E-051/601F-7810

 シリンダーヘッド:1978年型
 一体型シリンダー:1979年以前
 クランクケース:1981年以前
 クラッチカバー:1979年に登場した大穴型ではない。ただし、この小穴型は1979年以降も用いられた。
 スイングアーム:1980年に姿を見せた三角型
 カラーリング:1979年仕様 ただし、奇麗すぎるので再塗装されたものか。

 RACERS Volume 42の70頁では、このマシンを「’78年型とされるKHI所蔵の個体。テールカウル形状やスクリーンの大きさなどは間違いないが、リンクに直接接合する三角形のスイングアームは最終の’82年型のみ採用。修復時に再構成された仕様と思われる」としています。

 JFRMCブログ 1980年型KR250のスイングアーム (tou3.com)
 で書いたように三角スイングアームは1980年後半に姿を見せていますから、RACERSの「’82年型のみ採用」は誤りです。そもそも1982年に三角スイングアームのマシンは確認できませんし、できたとしても「1982型=三角スイングアーム」といえるものではなかったことは間違いありません。

 ただし、このマシンは1978年型シリンダーヘッドと1980年型スイングアームの組合せですから、「修復時に再構成された仕様」である可能性は十分あります。

 さて、The Ultimate Motorcycle Book by Hugo Wilson,  Dorling Kindersley 1993にこのマシンと思われる写真が掲載されています。ですから「修復時に組み合わされた」とするなら、遅くとも1993年までにこの状態になっていたことになります。

 もう一つの可能性は「カワサキUKチームから日本にマシンを返却する際に、このような形でマシンを組み上げた」です。

 他メーカーの例ですが、スズキが保有する2台の1982年型RGΓ500の1台のエンジンが1981年型なのも、この類の理由ではないかと思います。
 
 「カワサキUKチームから日本にマシンを返却する際に、このような形でマシンを組み上げた」と仮定しますと「1981年からカワサキUKチームが500㏄クラスに専念したのになぜ?」という疑問が生じますが、次のことが考えられます。

〇KR250を日本に返却する時点では、1981年のUKチーム500㏄クラス専念は決定していなかった。

 あるいは

〇カワサキUKチームが他のKR250/KR350使用レーシングチームに対してパーツ等を提供するため。「使用する予定がない部品を組み合わせて返却すれば、使う可能性のある部品がイギリスに残る」からです。

 なお、三角スイングアームは1980年後半で確認できますが、バリントンはレース本番では使用しなかったようで、返却対象部品になったとしても不思議ではありません。
 
 どちらにしても、このマシンは実戦で使用された形態(部品の組合せ)ではないと考えます。
 


PR

コメント

コメントを書く

お名前:
タイトル:
文字色:
メールアドレス:
URL:
コメント:
パスワード:   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

カレンダー

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 4
5 7 8
13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

リンク

カテゴリー

フリーエリア

最新CM

[12/08 野田]
[12/08 野田]
[12/08 TFR_BIGMOSA]
[12/06 野田]
[12/06 TFR_BIGMOSA]
[12/06 野田]
[12/06 TFR_BIGMOSA]
[12/05 TFR_BIGMOSA]
[12/05 野田]
[12/05 TFR_BIGMOSA]

最新記事

最新TB

プロフィール

HN:
野田健一
性別:
男性

バーコード

RSS

ブログ内検索

アーカイブ

最古記事

P R

カウンター

アクセス解析