レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。
昨日、買いました。'94-'99 ホンダNSR500特集です。これらのマシンが走っていたのは30年程前のことになるのですね。あの頃の鈴鹿サーキットの風景が懐かしいです。
1994~99の6年間、ホンダが500㏄タイトル(個人、メーカー)を獲得しましたが、日本GPに限ると、94、95、96、99は勝てていません。このあたりが面白いところです。
今回の記事で気になったのは53頁の排気管のリキッドインジェクション(水噴射)の説明です。
「排気ポート直後の排気チャンバー内に噴射した水によって排気温度を下げ、排気脈動の反射波の速度を速める目的を持っている」
「反射波が速くなった分、排気ポートから漏れ出た混合気をシリンダー内に押し戻す作用が向上するため、特に脈動効果による排ガスの押し戻し(カデナシー効果)が弱い、低中回転での充填効率がアップして~」
反射波の速度=音速で、音速は温度低下で遅くなります。常識です。
また、ライター氏は
反射波=気体の連続流
と理解しているのでしょうか?
仮に2ストロークエンジンの最大トルク発生時に排気ポートが2.5ms(ミリ秒)開いていて、充填効率が最大になるとします。
回転数を1/2にすると排気ポート開口時間は5msになり、排気チャンバーの反射波が排気ポートに到達するのが早すぎ、新気の流出を防ぐどころか燃焼室からの排ガスの排出を妨げてしまいます。
で、水噴射によって反射波の速度(m/s(メートル毎秒))を下げ、反射波到達時期を適正にしようというものです。
ホンダの技術者がおかしな説明をしたとは思えません。ライター氏が説明を理解できなかっただけと信じたいです。
https://x.com/racersofficial
6月24日発売予定のRACERSはヤマハTZ500(市販レーサー)特集だそうです。
TZ500の価格(スペアパーツ込み)は
TZ500G(1980年型) 195万円
TZ500H(1981年型) 230万円
TZ500J(1982年型) 280万円
でした。
2ストローク市販レーサーで初めて排気制御機構(ヤマハの制御機構はYPVS(ヤマハ・パワー・バルブ・システム))が装着されたマシンというだけでなく、マグネシウム合金製クランクケースの採用等により1980年型は半乾燥で145㎏程度と当時としてはかなり軽量でしたし、1~3速の変速比が各3種用意され、クランクケース右側からギアクラスタを抜き出して交換できるようになっている等、当時の市販レーサーとしてはかなり進んだ内容でした。
1979年型ファクトリーマシン・0W45をベースにしているのですから当然といえば当然です。また、1980年型ファクトリーマシン0W48のクランクケースもTZ500のものになりました。
1980年世界GPでTZ500に乗った浅見選手のTZ500の評価は非常に低かったのですが、オランダGP(ダッチTT)でJack Middelburgが優勝する等しましたし、全日本選手権では大活躍しました。
しかし、1981年にはスクエア4気筒のファクトリーマシン0W54が登場、TZ500が時代遅れのマシンとなることが確定してしまったのです。
写真は1980年日本GPに出場した芳賀信二選手のTZ500G。