レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。
さて、トヨタのこのグラフの水素の重量エネルギー密度は20000Wh//㎏あたりです(グラフの縦軸は対数です)。
水素高位発熱量 141.8MJ/㎏とすると、
002_03_00.pdf (meti.go.jp)
141.8×1000/3.6=39390Wh/㎏
になります。トヨタの数字は水素そのもののエネルギー密度ではないようです。
次に、タンク重量込みの重量エネルギー密度をトヨタ・ミライとホンダ・シビック(米国仕様、樹脂タンク)で比較してみます。
参考として水素そのもの及びガソリンそのものの体積エネルギー密度、リーフの電池重量エネルギー密度と、上のグラフから読み取ったリーフの体積エネルギー密度も併記しました。
なお、シビックのガソリンはプレミアムとしました。
数字の出典は次のとおり。
「ミライ」の水素タンク、3本合計110kg 愚直に距離30%延長 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
(参考 トヨタ高圧水素タンク (toyota.co.jp))
高圧水素タンクの容量は?1回の充填でどのくらいの水素が入りますか? | トヨタ お問い合わせ・よくあるご質問 (toyota.jp)
_シビックタンク容量・重量(jst.go.jp)
標準発熱量・炭素排出係数(総合エネルギー統計)|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)
冒頭のグラフと同じ形(縦軸は対数表示)でグラフを作成すると
縦軸を普通の数字にしてやると
重量エネルギー密度の比は次のとおり。
Liイオン電池 1
水素 14.4
プレミアム 78.7
(参考 比重:プレミアム>レギュラー、重量発熱量:プレミアム<レギュラー)
水素燃料は乗用車用としては成立すると思いますが、モーターサイクル用、トラック用としては疑問ですし、性能に対する重量の影響が半端ない航空機用としては止めておいた方がよいと思います。電動空飛ぶクルマは論外ですが。
で、トヨタのグラフの水素重量エネルギー密度はどうやって求めたのでしょう?
トヨタが公表している自動車のエネルギー源ごとのエネルギー密度です。
日産リーフには電池容量が40kWhのものと60kWhのものがあり、後者の車重が150㎏重くなっています。単純に考えると電池の重量エネルギー密度は
(60-40)×1000/150=133Wh/㎏
になります。上のグラフでは90Wh/kgぐらい(縦軸は対数表示)ですが、日産リーフはさらに重量エネルギー密度が大きいことになります。
次に液体燃料について資源エネルギー庁が公表している数字と比較してみます。
標準発熱量・炭素排出係数(総合エネルギー統計)|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)
HHV:高位発熱量
LHV:低位発熱量
トヨタ資料:冒頭のグラフから私が読み取ったもの
軽油とバイオディーゼル燃料については、高位発熱量ならトヨタ資料は資源エネルギー庁資料とほぼ合いますが、ガソリン、エタノールについてはトヨタ資料は資源エネルギー庁資料と合いません。トヨタ資料の根拠を知りたいところです。
さて、これは液体単独のエネルギー密度です。電池はほぼそのまま自動車に搭載することができますが、燃料はそのままでは自動車に搭載できないのですから、燃料そのものではなく「燃料の入った燃料タンク」の重量、体積を比較対象にすべきだと思います。
(続く)