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JFRMCブログ

レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。

KR250/KR350のスイングアーム(2)

JFRMCブログ KR250/KR350のスイングアーム (tou3.com)
の続きです。

 他に、1978年オーストリアGPで優勝したバリントンのKR350


イタリアGPでのグレッグ・ハンスフォードのKR350


イギリスGPでのハンスフォードのKR350


フィンランドGPでのグラントのKR250
78 Imatra - Mick Grant (2).jpg (kakeh.com)

 1979年ドイツGPでのディッチバーンのKR250でも確認できます。



 黒色である理由として次のことを考えました。

1 製作担当者の気まぐれ
2 何等かの仕様違いを外観で明確にするため
3 何らかの改造跡を隠すため(仕様違いも明確になる)
4 CFRP製

 さて、BALLINGTON UNKORKED by Kork Ballington, REDLINE BOOKS 2007)に1978年第3戦(350㏄第2戦)オーストリアGPのところに次の記述があります。

Dozy(メカニック、コークバリントンの実兄) relates, 'Dunlop came up with a rather larger, new generation rear slick. Our designers had not foreseen the inevitabe probability of slicks growing in size so this new monster tyre would  not fit the swingingarm. To remedy this in a hurry, we had to revert to 'bush mechanic tactics' by heating and crushing each arm in a large vice until the desired clearance was obtained.'

  bush mechanicはこの映画を指すと思われます。Bush Mechanics - Wikipedia
 
 この加工後に黒色塗装したとしても不思議ではありません。ただ、カワサキUKはダンロップを使用していたのに対して、ハンスフォードはミシュランを使用していましたが、ミシュランも同様にサイズが大きくなっており、スイングアームに同じような加工が行われたのでしょうか? ハンスフォードの黒色スイングアームも塗装があまりきれいでなくレース現場での塗装のように見えることから、その可能性は十分有り得ます。

 では、1979年は? 1979年オランダGPのこの写真

では黒色もきれいですし、1978年の現場加工のスイングアームがそのまま用いられたとは考えられません。1979年については

1 製作者の気まぐれ
2 何等かの仕様違いを外観で明確にするため
4 CFRP製

のいずれかだと思います。

 なお、ヤマハは0W45(1979年型YZR500)/0W461979年型(YZR750)の排気サイレンサーの外筒をCFRPにしていましたし、0W48(1980年型YZR500)では前フォークのインナーチューブにCFRPのものもありました。
 このようなことからすると、カワサキがKR250/KR350のスイングアームをCFRP化したものを試みていたとしても不思議ではありません。
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KR250/KR350のスイングアーム

 これまで、「スイングアーム」と書いたり「後サスペンションアーム」と書いたりしていましたが、スイングアームに統一します。

 JFRMCブログ 1980年型KR250の後サスペンションアーム (tou3.com)
で、三角スイングアームが1980年後半に姿を見せていたことを示しましたが、1978~79年にこんなスイングアームも用いられました。これは1979年オランダGP。

 テールカウルのAKAIの「AI」が見えているので1979年だということは分ると思います。このマシンはバリントン用と思われますが、多くのKRと異なりスイングアームが黒色です。

 これはその1年前、1978年オランダGP。

 奥のグラントのマシンのスイングアームが黒色です。

 銀色や明るい色であっても、太陽光線の当たる角度等によって黒っぽく見えることもありますが、これらは明らかに黒色です。

 

KR250/KR350のフレーム番号

 1976年10月の日本GPで後ツインショックサスペンションに代わるユニトラックサスペンションのKR250が登場しましたが、1978年型になってアルミスイングアームになりました。そして、この年に登場したKR350はKR250フレームが共通でした。

KR250/KR350 (ganriki.net)
に記載したマシンは何れもアルミスイングアームで、フレーム番号は次のとおりです。「?」はフレームに打刻された数字が「7835」なのか「7305」なのか読みづらかったのものです。おそらく「7835」なのでしょう。
 なお、この7基のフレーム以外にフレーム単体を1基見たことがありますが、フレーム番号はこれらと同じ形式でした。

601F7802      
601F-7803    
601F-7805
601F-7807               
601F-7810      
601F7821      
601F7835?

 「601」が機種、「F」がフレーム、「78」が年式、続く2桁の数字が実質的な製造番号を示すと思われます。なお、「-」(ハイフン)があるものとないものがありますが、打刻が弱く判別できなかった等々の理由が考えられます。


 では、なぜ全て「78」なのでしょうか? 7810と7835のスイングアームは三角スイングアームで、引退後に組み上げられたものでないなら1980年以降のマシンのはずです。

 1982年シーズン後のカワサキファクトリーが撤退し、2ストローク250/350/500ccマシンの開発も終了したのですが、1978~1982年の5シーズンは開発が行われていたはずです。

 次の理由が考えられます。
〇1978年シーズンに向けて製作されたフレーム、1978年シーズン中に製作されたフレームのみが1982年シーズン終了まで使用された。
〇1979年以降製作されたフレームも1978年型と全く同型なので「78」が打刻された。
〇1979年シーズン以降も新たなフレームが製作されたが、カルネ等の新たな書類を作成する手間を省くため、新たなフレーム番号を打刻せずに、旧型フレームのフレーム番号を打刻した。
〇「78」は年式を表すのではなく、何らかの管理番号。あるいは意味のない数字。
〇1979年シーズン以降用に製作されたフレームの数が少なく、たまたま私が確認できなかっただけ。

あたりが、考えられます。

1980年型KR250のスイングアーム(2)

JFRMCブログ 1980年型KR250のスイングアーム (tou3.com)

 で、1980年シーズン後半のコーク・バリントン用KR250に三角スイングアームのものがあることを示す写真をお見せしましたが、1981~82年、ピエルルイジ・コンフォルティが乗ったKR250にも三角スイングアームのものがあります。

Depotter JohanさんはTwitterを使っています 「#MotoGP 250cc Kawasaki 1982 Pierluigi #Conforti #Livorno top-privateer https://t.co/Zga9yoBUR2」 / Twitter

 1982年ということですが、マシンのカラーリングからすると1981年のようです。マシン横のゼッケンの場所がないので、シーズン前のテスト時のようですから、1982年シーズン前(カラーリング変更前)の可能性もぜロではありませんが。

 こちらは1981年のものということです。

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 こういう「説明書き」は往々にして間違っていることが少なくないのですが、マシンのカラーリング、スポンサーのロゴ等々からすると、1981年のコンフォルティのマシンには三角スイングアームのものがあったと考えています。ただし、実戦では通常型が用いられたようです。

 コンフォルティは1977年イギリスGP、つまり最初のイギリスGPですが、125㏄でモルビデリに乗り初優勝しました。同じようにモルビデリ125で初優勝した後にカワサキに乗ったライダーにアントン・マングがいますが、コンフォルティはマングのような成功を収めることはありませんでした。

1980年型KR250のスイングアーム

RACERS Volume 42 (ganriki.net) で、次のように書いていました。


 1980年、バリントンが乗ったKR250の後サスペンションアームに2種類あり、新型が三角形アーム。シーズン後半のフィンランド、イギリス等で確認できるが、バリントンは旧型を好んだようだ。

 「フィンランド、イギリス等」の「等」はチェコスロバキアですので、はっきりとチェコスロバキアと書き、その写真を追加しました。左下写真です。大きい写真からトリミングしたので、この写真からはチェコスロバキアGPであることはわからないと思いますが、「Maruman LIGHTERS」のステッカーが貼られているので1980年シーズンであることは分ると思います。
 
 右上は現存するKR350(フレーム番号601F7821)で、スイングアームの形の違いがよく分ると思います。




 

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