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JFRMCブログ

レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。

計測値の検証

 今月号の別冊MC誌にNinja 250Rと400Rの記事があります。その中に
・巡航では400Rの方がラクチン。
・100km/h巡航時、6速で400Rは5600rpmで250Rは8000rpm近く回っているもん。

というような記述がありました。「8000rpm近く」とは7800rpm程度という印象を受けます。

では、計算値を求めてみましょう。
          250R     400R
タイヤ直径   617mm         632mm
1次減速比   3.086            2.095
6速減速比        0.892            1.040
2次減速比        3.071            3.066

とします。実タイヤ直径はタイヤ凹みを5mmと仮定し、上記タイヤ計マイナス10mmとします。
これらの値から100km/h時の回転数を求めると、
250R:7390rpm、400R:5700rpm
という結果になりました。

もちろん、「100km/h」は速度計から求めたものでしょうから、誤差はかなりあります。ただ、両車並走すれば誤差は条件はある程度揃えられます。

 で、記事の回転数表記は
400R:誤差少ない  250R:誤差が多い
ということになります。回転計の誤差は結構大きいようですね。

 もちろん、250Rより400Rの方が巡航時の回転数が低いのは事実です。しかし、雑誌に数字を出す以上、その数字に責任を持っていただきたい。ファクトリーマシンの公表値のように、もともといい加減な数字ではなく、市販車の減速比等の信頼できるデータを用いれば容易に検証できるのですから。

 だいたい、試乗記を読まなくとも、「巡航時は400Rの方がラクチン」ぐらい誰でも分ります。これは一例ですが、記事の内容全体も「ブログ以下」のレベルだと思います。メーカーにはそろそろ「公募による試乗記」のようなものを望みたいところです。
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航研機(朝日新聞の記事)

朝日新聞に航研機についての次のような記述があります。
「試作エンジンで実験していた空気に対する燃料の比率を薄くして燃費を上げる方式は当時の常識に反し、「爆発するのでは」と疑われたという。90年代に乗用車で盛んになった「リーンバーンエンジン」を半世紀も先取りしていた。完全引き込み式の車輪は世界初だ。
航研機のデザインの工夫や軽量化のための徹底した管理は、太平洋戦争初期に性能を誇った零戦や戦後の国産旅客機YS11などにも受け継がれている。後継者たちはほかの産業にも進出し、新幹線や自動車の開発など戦後の復興に貢献した。」(
https://aspara.asahi.com/blog/science/date/20101214 から引用)

 航研機の空気過剰率がそれほどでもなく、1.2~1.3程度だったという記憶です。燃費を考えるなら希薄領域で運転するのは当然(比熱比↑)で、失火(ミスファイア)寸前の空燃比で運転したのでしょう。燃費優先なら「常識に反し」はおかしな記述です。「常識に反し」というのは、「日本での常識に反し」かもしれませんが。
 

 また、「完全引き込み式の車輪は世界初だ」とありますが、航研機初飛行の1937年5月当時、
http://ja.wikipedia.org/wiki/Me109
のようにな完全引き込み脚の軍用機が「実用化」(試作ではなく)されていました。

 また、航研機の技術がその後の国産機にどれだけ活かされたかについては、私は否定的です。

 どちらにしてもこの記事を書かれた鍛冶記者は航空機の歴史や技術についての素養に欠けていることは否めず、「中学生の夏休みの宿題」レベルに留まっています。このあたりが新聞の限界で、ネット上ではこれより素晴らしい記事がいくらでも読むことが出来ます。こういう新聞記事を読むと、新聞の価値はすでに終わっており、残っているのはタイアップ記事の「三百代言」の役割だけだと思います。
 

RACERS Vol07

 遅くなりましたが、標題のものを昨日購入しました。今回は、ローソンのYZR500(84-88)です。
 ヤマハから提供された新たなデータもあり、ローソンの貴重なインタビュー記事ありです。このシリーズはいつも貴重な記述、写真満載ですので、迷わず購入しています。それにしてもあれから20年以上になるのですから、私も年をとったものです。
 
 さて、少し気になる点を。
(1)78頁に「0W81にはシリンダーにアルミ板のゲタを履かせて、ストロークを延ばし~」とあります。下は1984シーズン後に公開された0W76エンジンで、シリンダー下にスペーサーがあるのがわかります。0W81で同様に加工されたエンジンを見た記憶がありませんが(あくまで記憶です)、記事は「0W76」の間違いではないのか・・・取材中に確認してほしかったところです。
ow76-2-1.jpg










(2)79頁のキャブレターのところで「'84年の0W76までは円筒形スロットルバルブのVMW、'85年の0W81からはフラットバルブのTMWが使われた」とあり、同頁の諸元表もそのとおりですし、Vol02の55頁の諸元表中、0W70、0W76のキャブレターもVMWになっています。
 しかし、Vol02の51頁で0W76のフラットバルブキャブレターの写真と「フラットバルブになったキャブレター」という解説があります。同じシリーズの雑誌なのですから前号の記述くらいはチェックしてほしいですね。
 なお、フラットバルブキャブレターは0W70でも1983年第2戦フランスGP以降で用いられています。下はソノートチーム(ライダーはマルク・フォンタン)の0W70で、キャブレターが角張っています。
ow70-u2.jpg







おまけ
 27頁の始まりに「'65、'66年にデイトナで行われて以来~」は「'64、'65年にデイトナで行われて以来~」の誤り。まあ、可愛い誤りですね。

1リッターSS

 10月15日発売の別冊モーターサイクリスト誌の追跡シリーズはヤマハYZF-R1(2009)でした。
 このバイクの燃費について、ヤマハの技術者の発言として「バランサーシャフトがあるので燃費の点では不利」というようなことが書かれています。

 実はこのクラスのバイクはバランサーシャフトを有する例が多いのですが、
YZF-R1:クランクシャフト同速回転バランサー×1本
他車:クランクシャフト2倍速回転バランサー×1~2本
です。

バランサーに関してどちらが燃費に不利なのでしょうか?発言したとされる技術者は車体設計の方だと思いますが・・・

クランクケース減圧と損失

MOTO-GPマシンのエンジン等で用いられるクランクケース減圧システムですが、
・ホンダRC211Vはオイルポンプ
・ヤマハYZR-M1は排気管負圧
により減圧しています(いました)。

RACERS Vol06(カワサキ特集)62頁では「MotoGPマシンではポンプを用いたり負圧を用いたりして強制的に減圧している。損失低減に積極的なZX-RRでは、ロスを減らすためのポンプによるロスを嫌い、排気負圧を用いた強制減圧システムを採用~」とありますので、ポンプを使用する方がロスが大きいと考えているようです。

 では排気負圧を利用する減圧システムではロスがないのでしょうか。連続的に減圧するからには何らかのエネルギーが必要です。当然のことながらこの減圧システムでは排気管の流速を下げる(エネルギー低下)ことになり(排気抵抗を増やしたのと同じ)、排気管だけみれば出力低下のシステムです。もちろん、ポンピングロス低減によりトータルではプラスになります。

 まあ、「エネルギー保存の法則」ですね。勝手に何のロスもなしに減圧できるのであれば苦労はしないでしょう。

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