レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。
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遅くなりましたが、タイトルの内容です。
今回のカワサキKR1000の記事ですが非常に興味深いものになっています。以前、バイカーズステーション誌にカワサキ側のインタビュー記事がありましたが、今回はフランス側への取材により、初めて知る事実、写真が少なくありません。
例によって、少し気になる記事を。
1 80頁に「'80シーズンに向けて、パフォーマンスでは4バルブヘッドも試作していた」として写真が掲載されており、さらに「四角形のマニホールドにシャッター状のスライドバルブが組み込まれた~測定機器の一部なのか、あるいは燃料噴射の可能性を探っていたのか・・・・」とあります。
さて、次は1978年の初めのモトライダー誌面に掲載された写真です(雑誌をスクラップ編集したので、詳細の月号は不明ですが、おそらく4月号)
4バルブヘッドで、燃料噴射(ボッシュ)とあります。燃料噴射についてのセルジュ・ロッセ(原文のまま)のコメントもあります。そんなわけで、RACERSの4バルブの写真は1978年シーズン向けのものではないかと思います。
そもそも
・2→4バルブヘッドにシリンダーヘッドを変更
・キャブレター→燃料噴射
は、1980年のTT-F1レギュレーションに引っかかり、世界耐久選手権には出場できません。4バルブヘッド+燃料噴射を開発するのは1979年シーズン以前でなければ無意味なのです。
2 86頁にば「バルブの挟み角は30°を3.8°に拡大するなど微妙に変更~」とありますが、明らかに間違いですね。また、この「30°」は(これが正しいとするならば)吸気バルブのみの角度(倒れ角)でしょう。
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例の縦しわの件ですが、購入店とは別の2店で確認したところ、程度の差こそあれ、9-10頁と35-36頁に縦しわが入っているのは同じでした・・・
RACERS ブログ
http://racers.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/524racersvol9-5.html
で私のブログを読まれた方が書き込みされていますね。
RACERSの表紙のイラストの件、気がつかれた方も多いと思いますので、21と21Tの識別点(左側)を書きます。
1 スクリーン左側に書かれたライダー名がKennyかTairaか
2 フェアリング上下分割線に対するTECH21の位置
3 TECH21に対するYAMAHAの位置
4 YAMAHAに対するPLUSの位置
5 SHISEIDOのEの下にあるインレットの有無
6 テールカウルの21のカウル取り付けボルトに対する位置
7 テールカウル上のストライプ前端が伸びる位置
8 フレームに貼られた断熱材とフレームの孔の位置関係
が分りやすいですね。他にもあります。
もちろん、21Tはプラクティス時であって、本番では「T」は剥がされて「21」として出場しています。で、イラストですが、3、6を除き21で、3、6は21Tのものです。また、スイングアームのMICHELINの位置は21、21Tのいずれでもありません。
問題は、現存するマシンが21なのか21Tなのか、あるいは他のマシンの外装を変更したものなのかですが・・・近いうちに記事にしたいと思います。

少し、気になったところを書きます。(5月29日加筆)
1985年8耐プラクティスでロバーツ/平はゼッケン21と21Tを用いましたが、レースで用いられたのは21Tです。で、今回のRACERS Vol09 の表紙はレース終盤、エンジントラブルでピットウォールにたどり着いた状況が描かれているようですが、実はレース使用マシンではなく、プラクティスでゼッケン21だったマシンです。
34頁の「064」について、「TT-F1に出場できるようにするには~ミニマム200台を生産する必要があった。」の200台は1000台の誤りだと思います。また同頁のイラストですが、以前に公開されていた写真が今回掲載されなかったのはなぜなのでしょう?
66頁で1986デイトナマシンのタコメーターがTZ500流用品となっていますが、0W76等YZR500用の誤り。そもそもFZ750(市販)のタコメーターは電気式でTZ500のタコメーターは機械式。わざわざ機械式タコメーター用ケーブル駆動部をFZ750エンジンに設ける訳がない。
74頁でキャブレターについて「'81~'82年のXJ「改」」とあるのはもちろん、'82~'83の誤り。
80頁の「~バルブ挟み角を小さくするのが有効である。バルブの傾きが小さくなればポートの曲がりが小さくなって吸入抵抗の低減につながり~」とあります。この文の後に「バルブ挟み角を小さくすると、それまで寝ていた吸気ポートの向きが起きてくる。この角度とシリンダー前傾角を合わせると、吸気ポートが垂直近くまで起き、水平方向に吸気が流れるサイドドラフトキャブレターだと、吸気通路を大きくねじ曲げないかぎり使えなくなってしまう。」とあるように、バルブ挟み角とポートの曲がりは基本的に無関係です。
その他、すでに http://racers.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/524racersvol9-b.html
のコメント欄で指摘されている85年8耐の開催日の誤りはご愛嬌として、今回の出来は非常によく、貴重な写真がなかったとしても980円以上の価値は十分あると思います。

今月号の別冊MC誌にNinja 250Rと400Rの記事があります。その中に
・巡航では400Rの方がラクチン。
・100km/h巡航時、6速で400Rは5600rpmで250Rは8000rpm近く回っているもん。
というような記述がありました。「8000rpm近く」とは7800rpm程度という印象を受けます。
では、計算値を求めてみましょう。
250R 400R
タイヤ直径 617mm 632mm
1次減速比 3.086 2.095
6速減速比 0.892 1.040
2次減速比 3.071 3.066
とします。実タイヤ直径はタイヤ凹みを5mmと仮定し、上記タイヤ計マイナス10mmとします。
これらの値から100km/h時の回転数を求めると、
250R:7390rpm、400R:5700rpm
という結果になりました。
もちろん、「100km/h」は速度計から求めたものでしょうから、誤差はかなりあります。ただ、両車並走すれば誤差は条件はある程度揃えられます。
で、記事の回転数表記は
400R:誤差少ない 250R:誤差が多い
ということになります。回転計の誤差は結構大きいようですね。
もちろん、250Rより400Rの方が巡航時の回転数が低いのは事実です。しかし、雑誌に数字を出す以上、その数字に責任を持っていただきたい。ファクトリーマシンの公表値のように、もともといい加減な数字ではなく、市販車の減速比等の信頼できるデータを用いれば容易に検証できるのですから。
だいたい、試乗記を読まなくとも、「巡航時は400Rの方がラクチン」ぐらい誰でも分ります。これは一例ですが、記事の内容全体も「ブログ以下」のレベルだと思います。メーカーにはそろそろ「公募による試乗記」のようなものを望みたいところです。