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レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。

1975年型0W16の排気管

 下のシーズン前公表写真では左右の排気管の後端が後車軸まで伸びています。このスイングアームは私がA型と呼ぶタイプです。




 スイングアーム部の拡大。




 第1戦フランスGPでのアゴスチーニの0W16びスイングアームはA型です。

 スイングアーム部。

 排気管の後端が後車軸の鉛直線上まで伸びるのはシーズン前公表写真のマシンと同じですが、後端高さが後車軸の下です。スイングアームの沈み込みを考慮しても排気管後端が低くなっています。排気管膨張部からテールパイプが真っすぐ伸びずに少し下向き(路面と平行)に曲がっているのです。

 下は第5戦イタリアGPでの金谷の0W16でスイングアームはB型。排気管は後者軸まで伸びており、形も第1戦でのアゴスチーニの0W16のものに似ています。




 次も金谷のマシン(つまりシーズン前半)でスイングアームはA型ですが、この排気管も第1戦のアゴスチーニの0W16と同型のようです。


 しかし、下は第2戦スペインGPでの金谷秀夫の0W16ですが、排気管の形は上のマシンに似ているものの、排気管後端が後車軸より後に伸びています。スイングアームはB型です。


 下は350cc第8戦フィンランドGPでのアゴスチーニの0W16で、スイングアームはA型です。
 
 排気管はシーズン前公開写真のマシンに似ていますが、後車軸の後まで伸びています。
 レース名不明ですが、下のアゴスチーニのマシンも同様です。


 これらのことから、次のようなことを想像しました。
〇スイングアームのA型とB型の差がスイングアーム長なのかは分らない。
〇シーズン前半に用いられた排気管には少なくとも2種類ある。
〇フィンランドGPでアゴスチーニの0W16に装着された排気管は3番目のタイプ。


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1975年型0W16のフレーム等

1 シーズン前公開写真の0W16
1975年型0W16(350cc)の後サスペンションはモノクロスです。





 スイングアーム部を拡大すると




 左側から見たスイングアームはこんな形です。これをA型とします。



 実戦では次の形のスイングアームも用いられました。これをB型とします。


2 アゴスチーニの0W16
(1)第1戦フランスGP
 A型です。


 スイングアーム部。


(2)350cc第8戦フィンランドGP
 これもA型です。



3 金谷の0W16 
(1)第2戦スペインGP
 B型です



(2)第5戦イタリアGP
 B型です。



(3)レース名不明
 金谷の0W16が全てB型という訳でもないようです。こちらのマシンはA型です。

http://home.kpn.nl/twostrokes/images/OW16vince.thu.JPG

 A型とB型はスイングアーム長が異なり、コースによって使い分けていた可能性もあります。

4 セコットの0W17
 ジョニー・セコットはシーズン当初、250ccクラスでは0W17(通常のツインショック)に乗っていましたが、250cc第6戦オランダGPでモノクロスの0W17が与えられました。


 B型です。

 金谷は第5戦イタリアGPを最後に帰国したので、金谷の0W16がセコットに渡り、0W17エンジンが搭載されたのではないかと想像します。
・・・・・・・・・・・・・・・
 なお、シーズン前公開写真の0W16の燃料タンクはフレームのバックボーン部の両外側下に張り出していますが、上の写真では3-(3)のマシンを除き、シーズン前公開のものとは異なります。

 これはアゴスチーニの0W16でシーズン前公開写真と同様に燃料タンクがフレームのバックボーン部の両外側下に張り出しています。

http://home.kpn.nl/twostrokes/images/OW16.mack.thu.JPG









0W16/0W17のフレーム等(1)

 1973年と1974年の0W16/0W17のフレーム、スイングアームはよく似ています。これはアゴスチーニの1974年型0W16。

 赤、黄、青がそれぞれ1本のパイプです。

 これはTZ350。

 パイプの取り回しが異なることが分ります。

 上の写真でもスイングアーム形状が分ると思いますが、下は異なるアングルから見た1974年型TZ350のスイングアーム。後端が板状になっていますし、クッションユニット取付部より前もきれいな箱型ではありません。

 というより、下写真で分るように板状スイングアームの外側・後車軸前側に別の構造物が溶接されています。


 一方、Teuvo Länsivuoriの1973年型0W16のスイングアーム(登場したオランダGPでの写真)は、きれいな箱型です。

 
 ですから、1973、1974年の0W16/0W17とTZ350/TZ250の車体は全く異なるものです。

 なお、1973年シーズン前半にサーリネン、金谷が使用した0W17のフレーム番号は

0W16-B-305
0W16-B-306
0W16-B-307

だと思います。
 そして、この3台がLänsivuoriに与えられ、1~2台が0W16(350㏄)に改修されたのではないかと思います。

 なお、0W17なのに打刻が0W16と考えたのは、0W16/0W17の2機種のフレームは共通で、2機種の開発計画の計画名が0W16だったことによります。0W20のフレーム打刻が0W19なのと同じです。
OW20-OW23 YAMAHA (ganriki.net)

 また、フレーム番号301~304の0W17がサーキットの現場で用いられなかった理由は、GPに持ち込まれた0W20のフレーム番号が302~304だったからでしょう。仮に250のフレーム番号が0W16-B-302なら、チーム内で単に「302」といった場合、500なのか250なのか区別できなくなるからです。







ヤマハ0W16/0W17エンジン

 前に書いたように、私は0W16/0W17エンジンは、TZ350/TZ250のプロトタイプというべきYZ634/YZ635エンジンのボアピッチ、軸配置等を受け継ぎ、0W19/0W20も参考とし、YZ634/YZ635よりコンパクトになるよう再設計されたものと考えています。
JFRMCブログ ヤマハ0W16/17エンジンとTZ350/TZ250エンジンの差異(2) (tou3.com) 
 このため、0W16/17エンジンとTZエンジンは同じ2ストローク水冷並列2気筒で、クランクシャフト右端ギアで同じ、クランクシャフト→変速機メインシャフト→変速機カウンターシャフトの3軸構成なのも同じです。吸気制御もピストンバルブで同じ。

 
 そして、0W16のボア×ストロークは、当時のヤマハニュースでは64×54mm(TZ350と同じ)とされています。
141_YamahaNews_J_1975.pdf (yamaha-motor.com) (20頁のYZR350の記事)

 0W17のボア×ストロークの公式数字は見当たりませんが、56×50mmとする海外記事があります。私はTZ250と同じ54×54mmだった可能性はあると思います。

 さて、(これも前述のように)TZと異なり0W16/0W17の回転計ケーブル取付部はクランクシャフト右端辺りにあります。これはアゴスチーニの1974年型0W16(350㏄)(再掲)。
 
  しかし、1973年型0W16の回転計取付部の形状は異なります。シーズン中、オランダGPで登場したLänsivuoriの1973年型0W16(写真のレース名不明)。

http://home.kpn.nl/twostrokes/images/OW16teuvo.thu.JPG

 水ポンプ作動部、回転計ケーブル駆動部が並んでいます。おそらく1973年型0W17(250㏄)もこれと同じでしょう。

 また、シリンダーヘッド端に段があるのは下の1973年型0W17(250㏄)と同じですが、右前・右後端(左前・左後端)のナット(スタッドボルトに繋がる)の座面の高さが異なります。


 そして、1974年型0W16ではシリンダーヘッド端の段はなくなり、1975年型0W16/0W17も同様です。1975年型0W16/0W17の回転計ケーブル取付部も1974年型と同じです。
 1975年型0W16のシーズン前公表写真。






ヤマハ0W16/17エンジンとTZ350/TZ250エンジンの差異(2)

JFRMCブログ ヤマハ0W16/17エンジンとTZ350/TZ250エンジンの差異 (tou3.com)

 で書いたように、TZ350/250ではクランクケース後部にある回転計ケーブル取出部が0W16/0W17にはありません。
 0W16/0W17では回転計ケーブルはクランクシャフト右端からギアで作動されます。これはアゴスチーニの1974年型0W16(YZR350)。

 右上に伸びている明るい色のケーブルが回転計ケーブルで、クランクシャフト→平行シャフト→ウォームギアで作動されます。
 その左上の黒色のケーブルがクラッチケーブルです。TZではこの撮影位置からクラッチケーブルは見えません。クラッチ作動機構も異なるのです。

 これはTZのパーツリストの図。

 クラッチケーブルが32ジョイントを介して26プッシュスクリューを引っ張ると、プッシュスクリューが回転し左側にずれプッシュロッド(番号なし)を押しクラッチが切れます。
 
 0W16/0W17は、同時期に登場した0W19/0W20(700/500)、0W19をベースとしたTZ750と同じクラッチ作動機構です。
 これはTZ750のパーツリスト図。

 クラッチケーブルが33プッシュレバーを引っ張ると30プッシュレバーアクスルが回転しプッシュロッド(番号なし)を押しクラッチが切れます。ですから、0W16/0W17ではプッシュレバーアクスルが収まる部分がクランクケースにあります。
 これは1975年型0W17(YZR250)(再掲)。

 前チェーンスプロケットの前にプッシュレバーアクスルが収まる部分が写っています。

 さて、これは前出のアゴスチーニの1974年型0W16エンジンを拡大したもの。

 黄色矢印が指すのがクランクシャフト右端が収まる部分ですが、これとクラッチの位置関係からすると、
Yamaha Racing Motorcycles: All Factory and Production Road-Racing Two-Strokes from 1955 to 1993 by Colin MacKellar, The Crowood Press  
の「engine running backward, and an extra jackshaft driven from centre of crankshaft」
は誤りで、各軸配置等は(キックシャフトの有無を除き)TZと同じで、クラッチギアはクランクシャフト右端ギアから直接駆動されると考えられます。

 ただ、このエンジンの外観は下のTZエンジンとはかなり異なり、クランクケース上下方向がコンパクトになっているように見えます。

モトパドック キムラ TZ350エンジン (fc2.com) 

   次に、これはサーリネンの1973年型0W17。

 シリンダーヘッド左端(写真手前側)に段があります。これは1973型0W20(YZR500)の2種類のシリンダーヘッドのうち、下のシーズン前公開写真、実戦時のものによく似た形状ですし、シリンダー形状も吸気ポート周辺を除けば0W20によく似ています。

シーズン前公開写真


 おそらく第1戦フランスGP。
 
 私は0W16/0W17エンジンは、TZ350/TZ250のプロトタイプというべきYZ634/YZ635エンジンのボアピッチ、軸配置等を受け継ぎ、0W19/0W20も参考とし、YZ634/YZ635よりコンパクトになるよう再設計されたものと考えています。



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