レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。
RACERS ブログ
http://racers.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/524racersvol9-5.html
で私のブログを読まれた方が書き込みされていますね。
RACERSの表紙のイラストの件、気がつかれた方も多いと思いますので、21と21Tの識別点(左側)を書きます。
1 スクリーン左側に書かれたライダー名がKennyかTairaか
2 フェアリング上下分割線に対するTECH21の位置
3 TECH21に対するYAMAHAの位置
4 YAMAHAに対するPLUSの位置
5 SHISEIDOのEの下にあるインレットの有無
6 テールカウルの21のカウル取り付けボルトに対する位置
7 テールカウル上のストライプ前端が伸びる位置
8 フレームに貼られた断熱材とフレームの孔の位置関係
が分りやすいですね。他にもあります。
もちろん、21Tはプラクティス時であって、本番では「T」は剥がされて「21」として出場しています。で、イラストですが、3、6を除き21で、3、6は21Tのものです。また、スイングアームのMICHELINの位置は21、21Tのいずれでもありません。
問題は、現存するマシンが21なのか21Tなのか、あるいは他のマシンの外装を変更したものなのかですが・・・近いうちに記事にしたいと思います。
66頁で1986デイトナマシンのタコメーターがTZ500流用品となっていますが、0W76等YZR500用の誤り。そもそもFZ750(市販)のタコメーターは電気式でTZ500のタコメーターは機械式。わざわざ機械式タコメーター用ケーブル駆動部をFZ750エンジンに設ける訳がない。
74頁でキャブレターについて「'81~'82年のXJ「改」」とあるのはもちろん、'82~'83の誤り。
80頁の「~バルブ挟み角を小さくするのが有効である。バルブの傾きが小さくなればポートの曲がりが小さくなって吸入抵抗の低減につながり~」とあります。この文の後に「バルブ挟み角を小さくすると、それまで寝ていた吸気ポートの向きが起きてくる。この角度とシリンダー前傾角を合わせると、吸気ポートが垂直近くまで起き、水平方向に吸気が流れるサイドドラフトキャブレターだと、吸気通路を大きくねじ曲げないかぎり使えなくなってしまう。」とあるように、バルブ挟み角とポートの曲がりは基本的に無関係です。
その他、すでに http://racers.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/524racersvol9-b.html
のコメント欄で指摘されている85年8耐の開催日の誤りはご愛嬌として、今回の出来は非常によく、貴重な写真がなかったとしても980円以上の価値は十分あると思います。
朝日新聞に航研機についての次のような記述があります。
「試作エンジンで実験していた空気に対する燃料の比率を薄くして燃費を上げる方式は当時の常識に反し、「爆発するのでは」と疑われたという。90年代に乗用車で盛んになった「リーンバーンエンジン」を半世紀も先取りしていた。完全引き込み式の車輪は世界初だ。
航研機のデザインの工夫や軽量化のための徹底した管理は、太平洋戦争初期に性能を誇った零戦や戦後の国産旅客機YS11などにも受け継がれている。後継者たちはほかの産業にも進出し、新幹線や自動車の開発など戦後の復興に貢献した。」(https://aspara.asahi.com/blog/science/date/20101214 から引用)
航研機の空気過剰率がそれほどでもなく、1.2~1.3程度だったという記憶です。燃費を考えるなら希薄領域で運転するのは当然(比熱比↑)で、失火(ミスファイア)寸前の空燃比で運転したのでしょう。燃費優先なら「常識に反し」はおかしな記述です。「常識に反し」というのは、「日本での常識に反し」かもしれませんが。
また、「完全引き込み式の車輪は世界初だ」とありますが、航研機初飛行の1937年5月当時、
http://ja.wikipedia.org/wiki/Me109
のようにな完全引き込み脚の軍用機が「実用化」(試作ではなく)されていました。
また、航研機の技術がその後の国産機にどれだけ活かされたかについては、私は否定的です。
どちらにしてもこの記事を書かれた鍛冶記者は航空機の歴史や技術についての素養に欠けていることは否めず、「中学生の夏休みの宿題」レベルに留まっています。このあたりが新聞の限界で、ネット上ではこれより素晴らしい記事がいくらでも読むことが出来ます。こういう新聞記事を読むと、新聞の価値はすでに終わっており、残っているのはタイアップ記事の「三百代言」の役割だけだと思います。
遅くなりましたが、標題のものを昨日購入しました。今回は、ローソンのYZR500(84-88)です。
ヤマハから提供された新たなデータもあり、ローソンの貴重なインタビュー記事ありです。このシリーズはいつも貴重な記述、写真満載ですので、迷わず購入しています。それにしてもあれから20年以上になるのですから、私も年をとったものです。
さて、少し気になる点を。
(1)78頁に「0W81にはシリンダーにアルミ板のゲタを履かせて、ストロークを延ばし~」とあります。下は1984シーズン後に公開された0W76エンジンで、シリンダー下にスペーサーがあるのがわかります。0W81で同様に加工されたエンジンを見た記憶がありませんが(あくまで記憶です)、記事は「0W76」の間違いではないのか・・・取材中に確認してほしかったところです。