レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。
前回、「直線距離1.8km程度のサーキットにおける、120~125PS※のレーシングマシンの当時の最高速(無風状態)は280km/h前後だったと思われます。」と書きました。
で、次のように仮定して真の最高速がどれくらいか考えます。
●直線に入って全力加速開始時の速度200km/h
●出力122PS
●直線での平均出力115PS(回転数が変化するので)
●出力伝達効率0.87
●後輪平均出力=115×0.87=100PS
●バイク重量225㎏(水、オイル、燃料、ライダーを含む)
さて、
バイク加速の仕事率=後輪平均出力 ー 空気抵抗相当出力 ー 転がり抵抗出力
です。何回も書いたように、空気抵抗(力)は速度の2乗に比例して増大し、空気抵抗に相当する出力(仕事率)は速度の3乗に比例します。ですから空気抵抗相当出力は速度上昇と共に加速度的に増大します。
一方、ころがり抵抗(力)は計算上一定とします。したがって転がり抵抗に相当する出力は速度に比例します。
これらのことから200km/hから1km/h毎の加速度、走行時間、走行距離を求め、走行距離を積算します。
仮に真の最高速を284km/h、その時の
空気抵抗相当出力:転がり抵抗相当出力=19.7:1
として、次のグラフを作成しました。
横軸が速度、左縦軸が走行距離、右縦軸が加速仕事率です。
速度上昇に伴い加速仕事率が大きく低下し、(図にはありませんが)加速度はそれ以上に大きく低下します。280km/hまでの走行距離は1420mとなり、前提となった直線距離1800mに近い数字なりました。
そして、
真の最高速を290km/hとすると、280km/hに達する距離は1050m
真の最高速を300km/hとすると、280km/hに達する距離は809m
となり、前提直線距離1800mと乖離してしまいます。
ですから、このマシンの真の最高速は284km/h前後ではないかと推測します。