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レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。

3RC146

1960年代のホンダ125㏄4気筒レーサーについては、

RC146→2RC146→4RC146

という流れが知られていますが、3RC146が欠けています。担当者の気まぐれで3RC146を飛ばして4RC146と名付けたのか、あるいは3RC146を開発したが実戦登場しなかったのか、実戦登場したが公表名が2RC146のままだったのか・・・

 こちら

1964 Honda RC146: resisting the two-stroke revolution | TABAC - Classic GP Assen (classicgp-assen.com)

の写真、近年撮影されたものですが、このマシンのエンジンは2RC146と4RC146の中間的な特徴があります。

〇前後カムシャフトケース端カバーの形状が四角形(4RC146Eと同じ)
〇後カムシャフトケース部端カバーのボルト数が2RC146E、4RC146Eと異なり3
〇カムシャフトケース部端カバーのボルト数3(4RC146Eと同じ)
〇シリンダーヘッドオイルパイプがシリンダーヘッドと別部品(4RC146Eと同じ)
〇シリンダー冷却フィン数7(4RC146Eと同じ)
〇クランクケース前端に排気管取付部あり(2RC146Eと同じ)
〇フラットバルブキャブレター(4RC146Eと同じ)

 このエンジンが3RC146Eなのでしょうか?
 それとも新造品?
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現存するホンダ2RC146 1964年型125㏄4気筒



 2007年に撮影した写真です。この個体の略歴はよくわかりません。

 さて、ホンダの八木氏が書かれた資料ではこのマシンを8段変速としていますが、

 Honda Collection Hall | コレクションサーチ (mobilityland.co.jp)

 の解説では7段変速になっています。


 ただ、コレクションホールの解説は
「1964年マン島TTで1-3位を独占。全12戦9勝してマニュファクチャラーズタイトルを獲得」と、1964年に11戦中10戦に出場し7勝したホンダの戦績を誤るぐらいのレベルですし、八木氏の資料も誤りが散見されるので、悩ましいところです。
 
 それにしても1964年の125㏄世界選手権レース数とホンダ優勝数を間違える・・・どんな資料を見たら間違えることができるのか不思議なくらいです。

 なお、1964の各クラスを通じた世界選手権GP数は12ですが、今のように全GP全クラス開催ではなく、1964年ベルギーGPで125㏄レースは行われなかったので、ホンダ125㏄が出場可能だった世界選手権レース数は11です。

「12戦」という誤りはこれが原因かもしれませんが、優勝数を2つも間違えるのはどうかと思いますし、それが「世界のホンダ」関係のウェブサイトに掲載されているのです。

ホンダRC146-4RC146

RC146/2RC146/4RC146  HONDA (ganriki.net)
を1964年まで公開しました。1965年、現存するマシンは後日公開します。

 記事の中に出てくる1964年日本GPの写真。

 雑誌等では写真説明に書かれた撮影年が間違っていることがあります。例えばRACERS Volume 70の27頁では、1964年の写真に1965年の解説(しかも誤った解説)が添えられています。 

JFRMCブログ 公開校正 RACERS Volume 70(3) (tou3.com)

 しかし、この写真は1964年日本GP結果を伝える雑誌に掲載されたものなので、日本GPで撮影されたものに間違いありません。少なくとも1965年に撮影されたものではありません。


 それにも関わらず、エンジンが現存する4RC146E-405エンジン

とよく似ており、1964年東ドイツGPで撮影されたという写真のエンジン(下)とはかなり異なります。当時の雑誌記事にもシリンダーヘッド形状が変更されたことが書かれています。

 このため「4RC146は1965年第5戦マン島で登場した」という従来の記事には疑問符を付けざるをえません。

 このことが私の記事の基本になっています。



ホンダ4RC146E-405

JFRMCブログ ホンダ 4RC146 (tou3.com)

で、私が4RC146を初めて見たのは1980年であることを書きましたが、今現存するマシンのエンジン番号も

4RC146E-405

です。「405」が見えます。ただ、エンジンの大部分が新造されているようです。






ホンダの八木氏等

が書いた1960年代のホンダレーサーに関する次の論文があります。

世界二輪グランプリレースに出場したホンダ レース用エンジンの開発史」 本田技術研究所 論文サイト (hondarandd.jp)(論文1)

「ホンダの二輪レース用機関の出力特性 -機関諸元の選定- 」本田技術研究所 論文サイト (hondarandd.jp)(論文2)

 非常に参考になるのですが、一方で記述、数値におかしなところが散見されるので悩みの種でもあります。

 論文2に掲載されたエンジン出力曲線はRACERS Volume70の97頁にそのまま掲載されています。次の画像は125㏄エンジンの性能曲線図から切り出して線を加筆したもの。



RC145:15.15kW(20.6PS)/13000rpm
RC146:16.5kW(22.5PS)/15000rpm

辺りです。
 一方、論文1では
RC145:22.5PS/14000rpm
RC146:22PS/15000rpm
となっています。

 論文2のグラフのRC145の数値は明らかに他エンジン(おそらく2RC143)の値と取り違えていると思われますし、RC146の出力も論文1と異なっています。

 雑誌等の記事で「RC146の出力はRC145に及ばなかった」となっているのは論文1の記述によるようですが、論文2からすると同値になります。

 エンジン出力には個体差があるので、RC146の出力数値が2つあったとしても不思議ではないのですが、他機種のエンジン出力と比較する際には要注意という見本かなと思います。
 市販車のエンジンの「これが〇〇の出力」というようなものではないのです。

 なお、元々の数値はPSで測定されており論文2作成のためkW換算する際に1PS=0.7355kWではなく0.75kWで換算したのかなとも思いましたが、RC148等々については論文1と論文2で数値に差がありませんでした。


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