レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。
MOTOGPの最高速度記録は366.1lm/hです。記録されたムジェロの直線長は1.2km程度ですので、「真の最高速」には不十分な直線長です。現代のMOTOGPレーサーの真の最高速は400km/hに達するでしょうか?
ムジェロ
1972年のデイトナ200マイルレースではスズキTR750(XR11)、カワサキH2Rという2種の2ストローク750㏄3気筒レーサーが登場し、一気に最高速が上昇しました。前者は水冷、後者は空冷です。
予選でTR750勢の最高速を記録したのがジョディ・ニコラスで171.75mph(276.4km/h)※でした。これが他のライバル勢を含めた全体の最高速と思われます。
下は現在のデイトナですが、当時も基本的に同じです。
左右の大きなRのコーナーは31度バンクです。インフィールドのコーナーを出て右のバンクに入りますが、加速条件としては直線と大差ないと思われますので、実質的な直線長は1.9km程度です。
しかも、直線が終わってバンクに入るので直線終わりでブレーキは使用されないか、使用されるとしても僅かでしょう。ムジェロのストレート終わりのようにフルブレーキ、ということはないと思われます。このため、デイトナ(1972年)はムジェロより、実質的に(1900ー1200+200)=900m程度、直線長が長いことになります。
ですから、1972年に記録された276.4km/hは真の最高速にかなり近い数字ではないかと思われます。
※出典:TEAM SUZUKI by Ray Battersby, Osprey 1982/Parker House 2008
前回、取りあげた1967年ルマン24時間での最高速の続きです。
このレース、フォードGT Mk4とフェラーリ330P4との真っ向勝負になり、フォードが優勝、フェラーリが2位になりました。
この2車とポルシェ910、907の諸元、最高速等は次のとおりです。
km/h ルマンで計測された最高速(910の速度は推定)
m/s 上の速度をm/sに換算
PS 最高出力(仏馬力) GT Mk4は500HP(英馬力)を仏馬力に換算
W 上の出力をワットに換算
factor ワットをm/sの3乗で割ったもの(CdAと比例関係)
% GT Mk4のファクターを100とした場合の他車のファクター
幅 車体の全幅(m)
高 車体の全高(m)
factor修正 各車の全幅、全高が異なるため、各車の全幅、全高をGT Mk4と同じにした場合のfactor(概ねCdに比例関係にあると仮定)
% GT Mk4のファクター修正を100とした場合の他車のファクター修正
なお、907はロングテールのルマン仕様なので、ファクター修正が特に小さな数字になっています。
前回書いたように、最高速は風向・風速、気温(出力、空気抵抗)等々の影響を受けますし、何より公表諸元、特に最高出力が信用できるか、という問題はありますが、「最も美しいレーシングカー」と評されることがある330P4のCdはGT Mk4より10%以上大きかったようです。
もちろん、Cdだけでレーシングカーの空力を評価できませんが、直線の長いコースでは大きな意味を持つことは言うまでもありません。
データ出典
ポルシェ 906/910/907/908/917(檜垣和夫、二玄社2006)
フォードGT(檜垣和夫、二玄社2006)
フェラーリ P/P2/P3/P4/DINO/LM/512S/M/312P/PB(檜垣和夫、二玄社2007)
真の最高速は、加速が終わり速度一定になった状態、かつ最高出力を発揮した状態の速度とします。しかし、サーキットで記録される最高速は直線部分がそれほど長くないため、加速する余力を残した状態で減速せざるを得ません。ですから、サーキットでの最高速には車重(以下、体重を含む)も大きく影響します。
しかし、真の最高速に影響するのはCdA(空気抵抗係数Cd×前面面積A)と最高出力で、車重はあまり影響しません。1989年以前のルマン24時間レースではHunaudièresストレートにシケインがなく直線長(緩いベンドを含む)が約5.7km※1もありましたので、真の最高速に近い速度が記録されたのではないかと考えます。
1967年のルマン24時間に出場したポルシェ910、907は何れも2リッター水平対向6気筒で最高出力は220PSでした。
CdAは
910(ショートテール) 0.462㎡(推定※2)
907(ロングテール) 0.352㎡
ルマンでの最高速は
910 267km/h(推定、出典では907は910より30km/h近く速く、とある)
907 295km/h
(出典:「ポルシェ 906/910/907/908/917」(檜垣和夫、二玄社2006)
真の最高速は出力/CdAの1/3乗に略比例しますので、910を基準にし、そのCdAを907と同等にすると
267×(0.462/0.352)^(1/3)=293 km/h
実測値とほぼ同じ数字になります。もちろん、最高速は風向・風速、気温(出力、空気抵抗)等々の影響を受けるので、計算値と実測値の差が2km/h程度しかないというのは奇跡的です。
※ wikipedia、toyotagazooracing.comでは約6kmとなっているが、google(下)では5.7km程度に見える。
※2 出典の次の数値、記述を参考にした。
906 空気抵抗係数0.346
910ロングテール仕様 前面面積1.319㎡
「910~ホイール径が13インチとなり、前面投影面積が減ったにもかかわらず、空気抵抗は906とさほど変わらなかった。つまり空気抵抗係数は906より悪化していたのである」
姫路城の新入城料、外国人“4倍”料金は見送りに 市外の18歳以上は2~3倍、18歳未満は一律無料
9月4日に私のブログ
https://jfrmc.tou3.com/Date/20240904/1/
でも書きましたが、改修に多大な国費が投じられた施設の入場料について、姫路市民と姫路市民以外にこれだけの差をつけることが適切なのでしょうか?
9月姫路市議会の議事録(次の検索システムで「姫路城」で検索して該当する会議録を読みました)
https://himeji.gijiroku.com/g07_Shitsumon.asp
を見ても、多大な国費が投じられていること、姫路市民以外を大幅値上げすることの問題を指摘する質問はなかったようです。
あれから3か月経過し、相変わらず姫路市民以外の国民の料金をこれだけ値上げする案が出て来たということは、姫路市当局はもちろん、市議会各会派も問題ないと考えているということなのでしょう。
なお、平成の大改修費用は(前回書いたように)国費18億円、姫路市費10億円ですが、姫路市10億円のうち5億2千万円が全国からの寄付です。
https://www.shikoku-np.co.jp/national/life_topic/20150324000443
マツダの宣伝文句です。
https://www.mazda.co.jp/beadriver/dynamics/thought/02/
https://www.mazda.co.jp/cars/roadster/feature/
マツダは次のように言ってます。
「~日常の運転シーンにおける人馬一体感を大事にしています。ハンドルの動きひとつとっても、普段の運転では本当に微小な動きをしています。ブレーキも非常に微妙なタッチで動かす。そういう微小な動きの中で、ドライバー自身の思いとクルマの動きが一致するかどうかで、安心感や一体感が決まってくると思います。その延長線上に、大きな加速/減速や、山道を曲がる場面があります」
つまり、人と馬が一体ではなく、人の思いと馬が一体ということのようです。
人馬一体を表現する言葉として「鞍上人なく鞍下馬なし」があります。この言葉を知ったのは私が高校生の頃で、あるバイクの本に書かれていたのです。その頃はそんなものかなと思いましたが、あるライダーの走りを映像で見て、彼がマシンと噛合った動きをして猛烈な速さでコーナーを走り抜ける姿、それでいて全く力んだ様子がない姿、彼とマシンがペアダンスしているかの動きを見て、これが人馬一体だと感じました。
バイクの場合、ライダーの体全体がバイクの操縦装置の一部です。ライダーの体の動き一つでバイクは全く異なる挙動をします。逆に人馬一体でなければマシンを早く走らせることはできないのではないでしょうか?
なお、バイクは特許上は「鞍乗型車両」と呼ばれることがありますし、馬も鞍乗型車両です。馬は道路交通法上は軽車両ですから。
一方、四輪自動車では、体は操縦装置ではなく、手、足は操縦装置を作動させるためのものでしかありません。マツダ・ロードスターにはバイク的な要素がある、と言われることがありますが、運転そのものについて、私はそんなことを感じたことはありません。手と足でマシンを制御するのは他の四輪と同じですから。
そんな訳で、私は四輪については「人馬車一体」の方が適切ではないかと思います。