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レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。

ホンダ75度V型3気筒(2) 

 直列3気筒の前に直列2気筒の1次慣性力の釣合いについて考えます。

 下図はバランサーシャフト付きの180度クランクエンジンの模式図で、上がクランクシャフト、下がバランサーシャフトです。
 各気筒の最大1次慣性力(上死点時、下死点時)をPとして、クランクシャフトのバランスウエイトを0.5P相当分としますと上死点、下死点での不釣合いはそれぞれ0.5Pになります(赤矢印)。
 2本の青矢印はバランサーシャフト(クランクシャフト同速逆回転)のバランスウエイトの遠心力0.5Pです。


 黒矢印はクランクシャフト、バランサーシャフトの回転方向で、すぐ横の赤矢印は不釣合力の回転方向(クランクシャフト回転方向とは逆方向)です。

 クランクシャフトだけ見ますと、2つの赤矢印の向きが逆ですので力は釣合っていますが、図ではクランクシャフト全体が右回りする力(偶力)が生じています。

 バランサーシャフトでは青矢印によりバランサーシャフトに左回りの力(偶力)が生じ、クランクシャフトの偶力を打ち消しています。

 結果として、1次慣性力は釣合い、偶力も生じません。

 次に360度クランク2気筒、単気筒について考えます。

 図はバランサーシャフトが1本の例で、青矢印の大きさはPです。クランクシャフトでの1次慣性力の不釣合いは0.5P×2=Pなので、力としては釣合っていますが、図で分るように全体が前方向に回る力(これも偶力)が働いています。ただし、この図の配置であれば、クランクシャフト、バランサーシャフトが90度回転した状態では偶力は生じません。
 このようにクランクシャフトで1次慣性力が釣り合っていないならバランサーシャフト1本で偶力が生じないように慣性力を釣り合わせることはできず、下図のようにクランクシャフトの前後にバランサーシャフトを配置する必要があります。

 単気筒の場合も基本的な考え方は同じです。

 ところが、360度クランク2気筒、単気筒であってもバランサーシャフトを1本で済ませている例は少なくありません。

 また、270クランク2気筒(下図)もクランクシャフトで1次慣性力が釣り合っていないので、偶力を生じずに1次慣性力を釣り合わせるためにはバランサーシャフトが2本必要ですが、1本で済ませている例が少なくありません。

 
 バランサーシャフト装着は、そこだけ見れば重量増、摩擦損失増ですのでないに越したことはありませんし、装着するにしても本数が少ない方がよいのはいうまでもありません。

 3気筒エンジンはバランサーシャフトなしに1次慣性力が釣合い偶力も生じないようにすることはできませんが、クランクシャフトで1次慣性力が釣り合っていればバランサーシャフト1本で偶力は打ち消されます。
 しかし、クランクシャフトで 1 次慣性力が釣り合っていなくても、バランサーシャフト2本で偶力も生じませんし、バランサーシャフト1本だとしても上の2気筒の例と同様、成立しても不思議ではなく、クランクピンレイアウト、点火間隔の可能性の選択肢は非常に多くなります。

 ただ、2気筒ではなく3気筒なのですから、クランクシャフトで1次慣性力が釣り合っており、バランサーシャフト1本で偶力が打ち消されており、クランクピンレイアウトに制限があるとして以下の記事を進めます。

続く



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ホンダ75度V型3気筒

https://global.honda/jp/news/2024/c241105c.html

 V型3気筒の前に直列3気筒の1次慣性力の釣合いについて考えます。

 1次慣性力はcosθ(θ:上死点からのクランク回転角)に比例します。各気筒の最大1次慣性力(上死点時、下死点時)をPとすると、1次慣性力は

Pcosθ

になります。
クランクシャフトのバランスウエイトを0.5P相当分にすると、1次慣性力の不釣合いは

0.5Pcosθになります。バランスウエイトはシリンダーの縦方向だけでなく横方向に

0.5Psinθ

の力を出し、0.5Pcosθと0.5Psinθの合力は

(常時)0.5

となります。ピストンが上死点にあるときの力の向きは上死点方向ですが、クランクシャフトの回転方向とは逆方向に力の向きを変えていきます(1次不釣合い)。

 下は直列3気筒の模式図で数字がある黒線はシリンダー、3色の太い線は各気筒のクランクピンの向き、3色の矢印は各気筒の1次不釣合いの向きを示します。



 これを真横から見たのが下図です。


 各気筒の1次不釣合いの合力はゼロになります。ただ、最初の図でわかるように偶力が生じていますが、この偶力は1本のバランサーシャフトで打ち消すことが可能です。

 普通の直列4気筒(下図、短い矢印は2次慣性力)

であれば各気筒の1次不釣合いは釣合っていますし偶力も生じませんが、偶力が生ずることを許容するならヤマハのクロスプレーンクランクシャフトのようなクランクピン配列も可能です(下図)。


 しかし、3気筒エンジンでは各気筒の1次不釣合いの向きを120度間隔で配置する方法以外で各気筒の1次不釣合いを釣り合わせることはできません※。
 V型3気筒の1次不釣合いの釣り合わせを考える上で、このことがまず基本となります。

※1983年発売の某社の250㏄90度V型3気筒エンジンは中央気筒の往復運動質量を他気筒の2倍にすることにより1次不釣合いを釣り合わせていた。その弊害についてはここに書くまでもない。

スズキXR35(1981年型RGΓ500)

別館に追加しました。
https://jfrmc.ganriki.net/bekkan/s/xr35/XR35.htm

1003/XR350-15は、現在スズキ歴史館に展示されていますが、この写真は

30年以上前に撮影したものです。

カンピロバクター食中毒

https://x.com/KGN_works/status/1885119674968641975

「実態を把握しきれていない」
「カンピロは微好気性だし」

そのとおりです。微好気性ですので、普通の検査ですと引っ掛かりません。こんなものを使って培養します。
https://tam-co.jp/products/mgc/bikouki.php

 また、潜伏期間は2~7日と幅があるのが把握しきれない理由の一つです。家庭ですと、原因食の喫食後

2日後 1人目発症
3日後 2人目発症
5日後 3人目発症
7日後 4人目発症

というように発症することが珍しくないため、食中毒と気が付きにくいのです。
 これが職場、学校ですと

2日後 5人休む
3日後 20人休む
4日後 40人休む

というようなことになりますので、発覚しやすくなります。ある学校でバーベキューをしたところ、食い盛り世代が生焼けの鶏肉を争って食べて食中毒になったことがありました。

 カンピロバクターが食中毒菌として行政に認知されたのは1982年で、こんな通達が出ています。
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta5773&dataType=1&pageNo=1

 この頃は、カンピロバクター食中毒がギランバレー症候群の原因になることは知られていなかったと思いますが、それから43年経過しました。当時よりカンピロバクター食中毒の発生状況が悪化したのか、当時よりは把握されるようになっただけなのか・・・







カワサキ・スノーモービル用エンジン

  カワサキのスノーモービル用エンジンは1969年8月投入のKT150AERS(292㏄)に始まります。当時はアメリカのスノーモービルメーカーへのエンジン供給でした。
 1976年にはカワサキブランドのスノーモービルの生産を開始、1977年には新エンジンTC440A(435㏄70馬力が登場します。このエンジンは改良されTC440B、TC440Cとなり、1980年にTC440Dになります。

 TC440Dの諸元(内燃機関1981-2、山海堂)

形式:水冷直列2気筒
ボア×ストローク:68×60mm
吸気制御:ピストンバルブ
排気量:436㏄
圧縮比:7.0
最高出力:77PS/8200rpm
最大トルク:6.73kgf・m/8100rpm

 最高出力は近似的に排気量に比例し、気筒あたり排気量の1/3乗に反比例するとしてTC440Dの出力を換算すると

400㏄2気筒:73PS/8400rpm
350㏄2気筒:67PS/8800rpm
250㏄2気筒:53PS/9900rpm

あたりになります※。ヤマハRZ250の35PS(1980年国内発売)、RZ350の45PS(1981年国内発売)はもちろん、1983年発売のRZ250R(43PS)、RZ350R(55PS)に比べてもかなりの高出力です。

 このエンジンはもちろん分離給油ですが、燃料消費量/オイル消費量は

アイドリング時 300:1程度
全開時 30:1程度

でした。


※2ストロークエンジンで小排気量エンジンの出力を大排気量エンジン(同気筒数)に換算すると、大排気量エンジンの実測出力の方が少な目になるので、この換算結果より出力を上げることは容易でしょう。

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