最近話題の技術ですが、ちょっと古くて申し訳ないのですが、効果と安全性についてのペーパーを読んでみました。素人の疑問点を書きます。
http://solmind.com/hclo/funnmu/7711.pdf
実験条件は
1 浮遊細菌に対する効果
(1)電解ミスト遊離残留塩素濃度 10±3mg/L
(2)対照 水ミスト噴霧
2 浮遊ウイルス
(1)電解ミスト遊離残留塩素濃度 約5mg/L
(2)対照 ミストなし、水ミスト噴霧
3 アレルゲン物質抗原性
(1)電解ミスト遊離残留塩素濃度 約100mg/L
(2)対照 無処理、水ミスト
疑問点は
A 狙う効果によって、なぜこんなに条件が異る? ウイルスに対しては5mg/Lで効果があるのに対して、浮遊細菌に対して10mg/Lでないと効果がないのでしょうか?
B 浮遊細菌に関する実験で、対照に「ミストなし」がないのはなぜ? ミストなしでも効果がある?
安全性試験としてラットの90日間吸入毒性試験を実施しています。
対照群 ユニット内の遊離残留塩素濃度 電解ミスト中の遊離残留塩素濃度
mg/L μg/m3・h
対照群 0 0
A群 10±5 2.3±1.2
B群 65±15 15.0±3.4
C群 125±25 29.0±5.8
「ユニット」が「電解水霧化ユニット」なら、この濃度は電解水そのものの濃度でしょう。電解ミスト中の遊離残留塩素濃度の単位μg/m3・hは、普通は「濃度〇μg/m3のものを1時間」という意味だと思いますが、90日間の実験のはずなのにどういう意味なのかわかりません。
「h」を無視して考えますと、上のABCでは単位がmg/Lなのに、こちらは「μg/m3」ですから、百万分の1の濃度です。全く効果がない濃度での吸入実験ということになりますが、意味があるのでしょうか。
元文献はこちらですので、転記ミスの可能性はあります。
https://ci.nii.ac.jp/naid/10015597365
どうも同じ「電解ミスト中の遊離残留塩素濃度」であっても、「電解ミスト涙滴中の遊離残留塩素濃度(単位はmg/L(液体)」と「空中の電解ミスト中の遊離残留塩素(単位はμg/m3(空間)」の違いのようです。
そもそも、この実験方法で何が分るのでしょうか? この方法で、アスベストやPM2.5、窒素酸化物、硫黄酸化物といった大気汚染物質の健康影響を全て評価できるのでしょうか?
メーカーさんは、この評価方法だけで「安全」を謳っているようですが、安全の意味を理解しているのでしょうか?
というわけで、素人には実験の内容、そして実験自体の意義にも疑問だらけのペーパーでした。