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レーシングマシンについての記事は「その他」にもあります。

1974年型0W16

 1974年、250ccのヤマハ0W17は姿を見せず、350ccの0W16がジャコモ・アゴスチーニ、Teuvo Länsivuoriに与えられました。この2人、500㏄クラスとのダブルエントリーです。
 
 1974年350㏄第1戦フランスのみ前年のチャンピオンマシン・MVアグスタ4ストローク4気筒が出場しましたが、第2戦ドイツはトップライダーがボイコットし、MVは第3戦オーストリア以降姿を見せなくなりました。
 そんな訳でアゴスチーニは350㏄クラス全10戦中フランス、オーストリア、イタリア、オランダ、ユーゴスラビアと5勝(入賞したのはこの5勝のみ)しタイトルを手にし、Länsivuoriは1勝(スエーデン)したものの、他に入賞したのは第1戦の2位だけでランキング6位に留まりました。
 1974年型0W16は前年型の前後ドラムブレーキから前輪のみディスクブレーキになったことが目を引きます。基本はシングルディスクで、 Länsivuoriの0W16はツインディスクが基本だったようです。
 これは第1戦フランスでのアゴスチーニと0W16。

 後クッションユニットはチェリアーニ製のようです。前フォークは一見チェリアーニ製ですが、チェリアーニ製に似せただけのようです。

 その他のレースで、アゴスチーニは後クッションユニットに引き続きチェリアーニ製を用いたようです。
  Länsivuoriの0W16のサスペンションは基本的に0W16本来のものでした。
 
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1973年の0W16/0W17(2) Teuvo Länsivuoriのマシン

 250㏄第6戦・350㏄第7戦オランダから、サーリネンと同じフィンランド人Teuvo Länsivuoriに0W16、0W17が貸与されました。このレースが0W16の初登場です。

 その0W16。

 フェアリング、タンク、シートからTZ350のように見えますが、フレーム、スイングアームが0W17と同じで、排気管が0W17よりかなり長いので0W16とわかります。もちろん、前後ブレーキもTZと異なります。
 そのスイングアームですが、クッションユニット取付部の位置は「前側」です。

 これは350㏄第9戦スエーデンと思われる写真。基本的にオランダ時と同じ仕様ですが、前ブレーキパネル前側のプレートカバーのみTZのものが装着されているようです。

 Länsivuoriは350㏄クラスで0W16に乗り2勝、TZ350での1勝(ドイツ)と合わせ3勝し、単純合計得点ではアゴスチーニ(MVアグスタ)を上回ったのですが、優勝回数、2位入賞回数がアゴスチーニより少なかったため、有効得点差3点でランキング2位でした。

 そして、オランダでのLänsivuoriと0W17。フェアリングは0W17のものです。

 排気管は突き出し型です。スイングアームも別写真からすると前側型です。

 そして250㏄第9戦スエーデンと思われる写真。

 排気管突き出し型、スイングアームも前側型ですが、オランダとは異なりTZ250のフェアリングが装着されています。
 
 250㏄クラスでLänsivuoriは0W17で2勝しましたが、4勝したディーター・ブラウン(シーズンの大半でTD3(空冷)に乗り終盤でTZ250に)に敗れランキング2位。
 
 
参考

 マカオGPに河崎裕之が0W16に乗り出場しましたが、4周目にシフトペダルが破損し4位に留まりました。

 スイングアームは他の写真からすると「後側型」。



1973年の0W16/0W17

 順番が前後しますが、1973年の0W16/0W17についても触れます。

 250㏄第1戦フランスでサーリネン、金谷が0W17に乗り、第2戦オーストリア、第3戦ドイツと3戦連続してサーリネン、金谷が1-2位を占めました。

 そして第4戦イタリアでの多重衝突事故でサーリネンが亡くなり、ヤマハがレース活動の一時休止を発表したのですが、第6戦オランダ(オランダは(本来第7戦だが、イタリアがレース不成立のため第6戦に)から0W17はサーリネンと同じフィンランド人のTeuvo Länsivuoriに貸与されました。そして、このオランダで350㏄の0W16も登場、Länsivuoriに貸与されました。

 その0W17ですが、排気管に2種類あったようです。

 第1戦フランスでのサーリネンと0W17。

 排気管前部がフェアンリングの下部前側から突き出しています。そして排気管後端が後車軸までは伸びていません。

 レース名不明(ドイツGP?)ですが、同じくサーリネンと0W17。

 こちらは排気管前部がフェアリング下部前側に突き出ていません。また、排気管の後端が後車軸まで届いています。下の金谷と0W17(ドイツGP?)の排気管も同じ型です。


 高速コースで知られるモンツァでの(運命の)第4戦イタリアのスタートの写真では、サーリネン、金谷、何れも「突き出る」タイプに乗りました。

 排気管に2種類あり、コースにより使い分けしていたようです。

   次にスイングアームについて。

 2枚目の写真の拡大。サーリネンのマシンです。


 3枚目の写真の拡大。金谷のマシンです。


 スイングアームにクッションユニットが取り付けられる場所がサーリネンのマシンより前にあります。

 なお、シーズン前半、世界GPに持ち込まれた0W17は(前にも書きましたが)

0W16-B-305
0W16-B-306
0W16-B-307

の3台と思われます。


1975年前半の0W17(3) セコットのマシン

 1975年シーズン前半、セコットのマシンのフレームが写った写真を見たことはありませんが、下の第1戦フランスでのスイングアーム写真からすると、1974年型0W16フレームと思われます。また、この写真ではわかりませんが、高井のマシンと異なり、後ブレーキドラムも1974年型0W16のままです。

 

 さて、前々回、セコットのマシンのフェアリングが1974年型と同型と書きました。

 下の写真は第1戦フランスの後、4月上旬、イモラ200の前座レースで撮影されたものと思われますが、かなりくたびれたフェアリングです。


 そして、これは1974年最終戦スペインの350㏄クラスでのアゴスチーニの0W16。

 
 右ゼッケン下のCHAMPION、Castrol、DUNLOPのステッカーの位置関係が全く同じこと、前ゼッケン右(写真向かって左)の黄色ステッカーも同じですし、フェアリング上部・ハンドルバー上側の切り欠きも同じことから、このセコットのマシンのフェアリングは1974年シーズン終了時のままと思われます。
 もちろん、第1戦フランスで使用されたフェアリングもこれと同じです。

 以上のことから、
セコットのマシンも基本的な成り立ちは高井の0W17と同じで、高井の手記のとおりアゴスチーニの0W16を改修したものと考えられます。

 なお、フェアリングの違いから、0W16→0W17への改修は、高井の0W17は日本で、セコットの0W17は日本以外で行われたものと思います。

 さて、セコットの第2戦の写真がありませんが、250㏄第3戦ドイツの写真を見るとフェアリングは75年型が装着されています。

 そして、250㏄第4戦イタリアで使用したマシンは、それまでの3戦と異なりTZ250フェアリングが装着されています(下写真)。

 このマシンがTZ250なのか「0W17+TZ250フェアリング」なのか確証はありませんが、常識的には「0W17+TZ250フェアリング」と考えるべきでしょう。ただ、ドイツでセコットが転倒リタイアしていることから、このレースのみTZを使用した可能性はあると考えます。

1975年シーズン前半の0W17(2) 高井のマシン

 下写真は第1戦フランスでの高井のマシンですが、スイングアームがTZとは異なる角型断面です。


 次に、下の第2戦スペインでの高井のマシン。

 スイングアームが第1戦時と同じく箱型断面であることが分りますし、フレームパイプの取り回しがTZと異なり、1974年以前の0W16/0W17のものです。
 下の写真において各色が1本のパイプを示していますが、上のスペインGPの写真は下の1974年型0W16と同じです。なお、1973年型0W16/0W17も1974年型と同じ取り回しです。

TZフレーム


1974年型0W16フレーム


  もちろん、0W17とTZ250ではクランクケースが異なるので、フレームがTZでない以上、エンジンもTZではなく0W17であることは言うまでもありません。   

  以上のことから(高井の手記とは異なり)高井のマシンは0W17であり、

〇1974年型0W16を250㏄に改修したもの
〇クッションユニットはサーマルフロー付の新型
〇フェアングは1975年型0W16のもの

と考えられます。

 なお、スペインGPの写真から、後ブレーキドラムはTZのものと思われます。


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