続いてロードライダー誌 2015-8の記事です。
70頁
「排気タイミングを早めようとして排気ポート上縁を高くすると圧縮比が低下してしまう点だ」
「排気タイミングを早めつつ圧縮比を高めるのは難しい」
排気タイミングを早めると(それだけでは)圧縮比が低くなりますが、その圧縮比対策だけなら、上死点時の燃焼室容積をさらに小さくすればよいのです。
排気タイミングが早めて問題なのは(そのままでは)充填効率が低下するからです。
「圧力波というのは粗密波であり、負の圧力波=密度の谷と考えればよく~開いた排気ポート周辺に密度の谷ができれば、そこに向かって燃焼ガスが流れやすくなるのは容易に想像できる」
圧力=密度としています。それぞれの意味(物理化学上の)が全く理解されていないように思います。
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ロードライダー誌2015-8の72頁に次の記述があります。
「~ピストンバルブや~ロータリーディスクバルブは、1次圧縮を行うクランク室内の圧力とは無関係にポートタイミングを設定することができる」
「~無関係と言うと語弊があるので、クランク室の圧力と吸気ポートの開閉タイミングが常に一致するとは限らない・・・と言った方が良い」
「ところがこれを逆手にとり、混合気の慣性~を考慮したポートタイミングの設定が、上記2方式だと可能である。」
「~比較的近年まで、ピストンバルブやロータリーディスクバルブのレーシングマシンが多かったのは、こうした理由による。」
リードバルブは混合気の慣性を利用できないような書き方ですね。
クランクケースリードバルブも混合気の慣性を利用するのは同じです。というか混合気の慣性によって多くの混合気をクランクケースに押し込むことができます。ポートタイミングの設定を行う必要がないだけです。
ピストンバルブはピストンが上昇行程でも下降行程でも同じピストン位置で吸気ポートが開閉します(開き始め=閉じ終わり)。したがって、ピストンが下降行程になってクランクケース内圧力が高くなっても吸気ポートはすぐには閉じません。だから72頁中段にあるように「低回転で吹き返しが多くなり」ということが起きます。むしろ混合気の慣性(だけではありませんが)を利用しないとうまく作動しないのです。そして混合気の慣性等を利用したとしても限界があり、吸気期間を長く取ることができません。
リードバルブの弱点は吸気抵抗(リードバルブ自体の抵抗)であり、混合気の慣性を利用できないからではないのです。
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ところで、37頁のマシンのフレーム番号がYZR500-B-9601となっていますが、YZR500-B-9607の誤りです。同頁の左下端の写真に「9607」のプレートが写っています。
また、バイルがチーム・レイニーになっていますが、チーム・ロバーツだった記憶です。現在のヤマハのHPでもそうです。
http://global.yamaha-motor.com/race/wgp-50th/race_archive/season1990_99/1996/
他の頁でも、694㏄だったり695㏄だったり、0W19だったり0W20だったり統一がとれてない箇所がある等・・・これ以上は止めておきます。
'89 WGP 500 特集です。42頁に「本誌ではVol.3において、'88年の第6戦西ドイツGPまで使用された下側チャンバー2本が左右降り出しのモデルがXR73で、第7戦オーストリアGPから登場した右2本出しのモデルがXR74と紹介していたが、今回の取材で真実はそうではなかったことが明らかになった。実はXR73は実車になることなく開発中止となったマシンだったのである」
Volume3での誤りはなぜ生じたのでしょうか?Volume3でもスズキ関係者に取材したはずなのに。スズキから提供されたこのような表
から勝手に1988年型第6戦以前がXR73、第7戦以降がXR74と勘違いし関係者に確認しなかったとしか思えません。
この記事を信用し、
http://www.geocities.jp/noda_keni/s/xr72/XR72.htm (修正済み)
の記事を書いたことを反省します。
公開公正しました。
http://jfrmc.ganriki.net/zakkan/kousei/kousei20.htm
でも、校正できないものがあります。「高速コースの3連戦」といった間違った認識を基にした記述です。
でも、1990年のYZR250は好きなマシンなので、このマシンのストリップ写真が掲載されただけでも嬉しいですし、特に本間選手の記事は興味深かったです。これが1000円なのですから、お買い得なことは間違いありませんが・・・
ところで、1986年の0W82についての記述もあるのですが、YPVSなしのバージョンがあったことの記述がありません。またいつかJFRMCで取り上げたいと思います。